(ジュネーブ)-新設ウェブサイト「投票カウント(Votes Count)」は、世界各地で起きている重大な人権侵害に対し、国連人権理事会の理事国がどのような立場をとっているかを白日の下に大いにさらす、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。同サイトは、人権侵害のある国々の状況に対し、各理事国が出した結論を集積・分析したうえで、明らかにする。
ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ・ディレクター、ジュリエット・デ・リべロは、「各国政府はこれまで、人権理事会のあるジュネーブは自国から遠く離れているし、自らの立場を監視する者などごくわずかにすぎないと確信し、安心してきた」と指摘する。「が、ジュネーブでの行動をジュネーブだけに留めるべきではない。この新設サイトは、一般市民やジャーナリストに自国政府を監視のすべと行動を起こす機会を与えるものといえる。」
国連人権理事会は、大規模で組織的な人権侵害の事態に対応するというのがマンデイト(使命)だ。しかし一部の国は、さしせまった状態にある国についてさえ批判するのを好まない。人権理事会は当該国が同意したときに限り行動すべきだ、と主張する国もある。
新設サイトは、各国が理事会のマンデイトを完全かつ客観的に果たしているか否かを評価する手助けとなる。
同サイトは、2012年以降に起きた人権侵害をめぐる理事会の行動に焦点を当てるもの。この期間、理事会は人権問題を抱える国への対応で大いなる進歩を果たした。その要因には、米国やスイスを含む若干の国が指導力を発揮したこと、ナイジェリアやタイのような国々もこれに強力に協力したこと、そしてメキシコ、ブラジル、チリほかが人権問題を抱える国をめぐる理事会の行動を一貫して支援したことなどが挙げられる。
こうした前進もあるものの、人権問題を抱える国をめぐる理事会の行動には依然として重大な欠陥がある。理事会はウズベキスタンやアフガニスタン、中国など、深刻な人権問題を長期にわたり内包する一部の国の事態にはほとんど関心を払っていないからだ。腰が引けている状態のケースはそのほかにもある。人権侵害の事態に対する行動をめぐる理事国の選択主義と二重基準もまた、「投票カウント」で議論される。
同サイトは、データ調査専用のコンピューター・システム「シルク(Silk)」の支援を受けて開発された。次に挙げるような注目度の高い決議案に関する投票に先立ち、本ウェブは公開された。
● 北朝鮮の「人道に対する罪」にアカウンタビリティを求める決議
● スリランカにおける戦争犯罪疑惑に対する国際調査団設置を求める決議
● 無人航空機の使用と人権に関する決議
前出のデ・リベロ ディレクターは、「人権理事会における投票行動に関して集計を取り続けることは、理事国の偽善行為と行動不足を明らかにするだけではない。同時に、建設的な変革を後押しした国々にも光を当てることになる」と述べる。「人権問題に関心を寄せる人びとがこうした情報で身を固めて各国政府の責任を問い、人権理事会にマンデートをまっとうするよう強く求めることもできるようになる。」
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