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ジンバブエ:求められる選挙前の人権改革

南部アフリカ開発共同体や援助国による 改革に向けた圧力 必要

 

(ヨハネスブルク)-ジンバブエの「挙国一致政府」は、2013年に予定されている総選挙を信頼性が高く、自由で公正なものにするために必須の「グローバル政治合意」で合意された改革の実行を怠っている。

報告書「時間との競争:ジンバブエ総選挙前に必要な司法と制度の改革」(全28ページ)は、挙国一致政府が試みてきた立法・選挙改革を分析・評価。挙国一致政府は激しい暴力に血塗られた2008年選挙の後の2009年に成立、前与党のジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(以下ZANU-PF)と、前野党の民主改革運動(以下MDC)の2党から成る。深刻な対立を抱える挙国一致政府は主要な法律や司法制度の改革を行えなかったため、著しくZANU-PFに有利に偏ったままだ。挙国一致政府は、2008年の選挙暴力を含む、過去における人権侵害の加害者に対する責任追及も行ってない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局局長ダニエル・ベケレは、「2013年に信頼性の高い、自由で公正な選挙を行うためには、ジンバブエ政府が政治的公平性を保ち、そして人権を尊重する環境を作る必要がある。つまり、圧政的法律を改正し、政治的に偏向した警察幹部と選挙運営幹部を公平な専門家と入れ替えるということだ」と指摘する。

ジンバブエ国民の多くは、必要な改革なしに2013年予定の選挙が行われた場合、2008年選挙のときのような広範な暴力と人権侵害をもたらすのではないかと懸念している。

挙国一致政府は、「情報アクセスおよびプライバシー保護法」、「治安維持法」、「刑事(成文法及び改革)法」などの弾圧的法律を全く改正していない。これらの法律は、あいまいな名誉毀損条項と過酷な刑罰で、基本的諸権利を厳しく抑制するために使われてきた。ZANU-PFは、治安部隊・選挙機関・政府放送などの国家主要機関における政治的偏向を終焉させるための、真の総合的制度改革にいまだ同意していない。

新たに創設されたジンバブエ人権委員会は人権状況改善に役立つ可能性があるが、その権限(マンデイト)は、挙国一致政府が結成された2009年2月以後に行われた人権侵害に関する調査・報告に限定されており、2008年の広範な選挙暴動を除外している。

再編されたジンバブエ選挙管理委員会には新たな委員長が就任したが、事務局職員はおおむね以前の委員会から働いている親ZANU-PF派が占めている。市民社会と民主改革運動(以下MDC)派は、選挙管理委員会職員に対する独立監査とそれに続き専門的知識を持った党派性のない職員の採用を求めているが、ZANU-PFはこれに抵抗している。

アフリカ南部15カ国の政府間機関である南部アフリカ開発共同体(以下SADC)は、ジンバブエの選挙実施を承認する前に、ジンバブエの国内状況が「民主的選挙を管理するためのSADC原則と指針」における基準を満たしているのか、独自に評価・認定しなければならない。SADCはまた、暴力と威嚇を抑制すべく、SADCとアフリカ連合選挙監視員をジンバブエに早期に十分な数派遣するとともに、選挙後もしばらく現地に駐在させるべきだ。

また、欧州連合と米国も、人権状況が具体的に改善されるまで、ロバート・ムガベ大統領とその側近に対する渡航禁止や資産凍結などの制限措置を維持すべきである。

前出のベケレ局長は、「SADCはジンバブエの政治指導者らに対し、重要な改革を求めるだけではなく、改革をしなければどうなるかについても明確にすべきだ。SADCと援助国政府は、ジンバブエの人権尊重の改善に向けて、個人に対する制裁などの措置を課すことを躊躇してはならない」と指摘する。

背景

2008年6月にジンバブエで行われた大統領選挙決選投票では、親ZANU-PF派とその支持者によるMDC活動家に対する広範な威嚇と政治的暴力が行われ、200人以上の死者が出た。

2008年の選挙はSADC基準を満たすものではない、とSADC選挙監視団は結論づけ、それが2008年11月のグロ―バル政治合意の交渉と合意に繋がった。挙国一致政府は、真に自由で公正な選挙の改革に向けた道を開くために2009年2月に成立した。

ムガベ大統領は今年3月に選挙を行うと表明。国政選挙の時期はジンバブエ憲法で規定されており、議員任期は早期解散されない限り、大統領として選出された人物の就任日から数えて5年と定められている。ムガベ大統領は2008年6月29日に就任しているので、大統領と国会の任期は、2013年6月29日で切れる。憲法はその日から4カ月以内に新たな選挙を実施するよう義務づけている。ムガベ大統領が表明した3月に選挙が行われない場合、憲法上の選挙実施最終期日は10月29日ということになる。

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