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(ナイロビ)-ウガンダでは、物議をかもす問題を調査・提言する団体に対し、政府が嫌がらせを強めていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日公表した報告書で述べた。複数の団体が最近、会議の中止強制や脅迫、嫌がらせ、懲罰的な官僚による干渉に遭っている。ウガンダ政府はNGOへの敵対的な物言いと再三にわたる妨害を止めるべきだ。

全50ページの報告書「批判抑圧:ウガンダでの市民社会に対する脅迫と妨害」は、石油収入についての透明性や土地取得の補償金、司法改革やガバナンスの改革、人権保護、特にレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(L)、以下LGBT)の権利保護などの問題に焦点を当てて活動する団体に対し、政府が攻撃を強めている実態を取りまとめている。政府閣僚と地方政府レベルの両方が活動の妨害に関与してきた、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ上級調査員であるマリア・バーネットは「ウガンダ政府は市民社会側に極めて強い圧力を加えており、特に、政府当局者の政治的・金銭的な権益に切り込む性格の団体が圧力の的になっている。市民社会には、政府による報復を恐れることなく調査や政策議論への参加ができる自由が不可欠だ」と語っている。

ムセベニ大統領は1986年から権力の座にあり、次の任期をめざして準備中であると広く考えられている。しかし2011年に再選されて以来、政治的緊張は高まり、ウガンダ市民からの政府への批判も増大してきた。その状況をうまくコントロールすべく、与党幹部である政府高官は、ガバナンスと公的資金のマネジメントへの市民の意識について、NGOが与えそうな影響への監視を強化していることを、ヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。

報告書は、ヒューマン・ライツ・ウォッチが2011年の間中行っていた調査や、2012年5月から7月までの国内調査に加えて、ウガンダのNGO規制とその他関連法への精査を基に作成されている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、広範囲にわたる課題について活動する国内各地の団体や援助提供国・機関、警察、政府関係者25人を含む41人の人びとから、聞き取り調査をした。

ウガンダには、NGOの活動を規制する「NGO法」があり、内務大臣が運営するNGO委員会にNGOの登録を義務付けている。ウガンダの情報機関員が、市民社会の活動を監視する同委員会の一員となっており、つまり、NGOは国家への潜在的脅威として取り扱われている。

2006年に改正されたNGO法は、長くて複雑な規制要件と分かりにくい手続きを通して、NGOの活動を規制している。NGOは、何らかの調査を行う許可を受けるにも同法の順守を求められる。2009年4月に8つのNGOが、同法の規定の一部が、憲法と「市民的及び政治的権利に関する国際規約」「東アフリカ共同体条約」に抵触するとして、憲法裁判所に異議申し立てをした。その裁判は未だに審理のスケジュールさえ立っていない。

極めて多数の(おそらくは数千に上る)NGOが、ウガンダでは活動している。政府はそれらNGOの一部、特にサービス提供に関与する団体には、大きな自由裁量を認めている。しかし石油収入に関する透明性や土地、統治、人権保護などの問題を取り扱う団体は、その活動を行うについても、公の場における改革提言についても、益々困難な状況におかれていることを、ヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。

2010年に内務省とNGOのリーダーたちが「NGO政策」に関して交渉を行った。この「NGO政策」文書は、市民社会関心にこたえる重要な第1歩となりえる基本的に建設的な内容の文書である。しかし政府はその政策を実行段階に正式に移してはおらず、法的な重みもない。政府のNGO委員会による最近の取り組みは、その政策が意図するところを全く裏切るものだ。例えば、「NGO政策」は、「個別NGOの組織化やネットワークづくり、組織の傘下にまとまる形での連携」を強化すべきであると言明しているのだが、同委員会は2012年6月に、統治と石油収入の透明性に関して活動している団体に対して、「未登録の緩やかな連合体」への参加を取り止めるよう伝えている。NGO法はNGOの連合体をどのように登録するのかや、そもそも法人として登録しなければならないのかについて、規定していない。

政府は2012年5月、複数の不法な土地取得を取りまとめたある団体の研究に対する調査を、NGO委員会に命令した。同委員会は、そのNGOが違法土地取得問題ついて調査したその報告書について謝罪し、報告書を撤回しなければならず、さもなくば、登録を抹消すると勧告しており、それは法律上の権限逸脱にあたる。

大規模な電力事業に伴う土地使用に対する公正な補償を地元コミュニティーが受けられるよう支援活動をしている別のNGOは、その事業に関与している政府機関から「ほとんど政府計画の妨害工作だ」と言われた。政府はあらゆるNGOに対し、原油生産地域を訪れる場合には、エネルギー・地下資源省の事務次官から、書面での許可を求めることを義務付けているが、それは法律や公的政策に基づくものではない。そうした政策や慣行は、事業による影響を受けるコミュニティーとのやりとりの障害になると共に、政府への説明責任追及や、透明性確保に関する調査・政策提言を妨げている。

あるNGOの代表はヒューマン・ライツ・ウォッチに、以下のように話した。「もしあなたの調査が、この国の権力者や、この国から金を持ち出す方法に対して、待ったを掛けるものであれば、あなたは重大な危険にさらされます。人権保護を唱えようものなら、あなたは開発反対論者として、また経済的破壊工作員としてみなされてしまいます。土地や石油、あるべき統治について意見を述べてはなりません。ほんの手始めの段階にもかかわらず、緊張は高まっています。」

加えて、政府によるウガンダ人LGBTの人びとに対する敵意と嫌がらせも続いている。政府高官らによる同性愛の悪魔扱いは、社会的に弱い立場のコミュニティーを狙いうちにし、一般市民に意図的に誤った情報を与え、憎悪を煽り、援助提供国・機関の関心を逸らしている。同性愛に関する犯罪規定ゆえ、LGBT団体はNGO委員会に登録することはできないため、団体はひっそり活動することを強いられている。過去数ヶ月の間でも、LGBTの人びとの権利尊重を求める政策提言に焦点を当てた2つのワークショップが、法的根拠はないのに、州の「倫理と高潔性」担当大臣の命令に従った警察により、中止を強制され、また複数の活動家が一時的に拘留されている。その大臣は、LGBTの権利を守るNGOは登録を抹消される、と明言している。

2011年2月の選挙以来、与党の指導力に対する一般市民の不満が高まる中、多くの人びとは、同性愛の脅威を声高に取り上げ、容赦ない弾圧を加える政府の姿勢を、支持獲得のための軽薄な人気取り戦略であると見ている。ウガンダでのLGBTコミュニティーは、一般市民からの嫌がらせと暴力を極めて受けやすいままだ。LGBTコミュニティーへの敵意が人権保護団体全体への誹謗中傷に使われると共に、あらゆる分野での活動を損なっている事態に不安を感じると、複数のNGOがヒューマン・ライツ・ウォッチに話していた。

前出のアフリカ調査員バーネットは「ウガンダで同性愛について議論をしたり、同性愛を合法化すべきと提言をしたりすることは、違法ではない。よって、政府当局者は、そうした活動が違法であるかのような行動をとるべきではない。政府当局者は、自分たちの政策を支持する市民だけではなく、あらゆる市民の権利を守る義務があることを忘れてはならない」と指摘した。

活動環境が益々厳しくなっていることを踏まえ、ウガンダのNGOのスタッフや代表らは、物議をかもす課題に関して調査・提言活動を持続できるかどうかや、また、雇用している地元のスタッフの安全を確保できるかどうかについて、深刻な懸念を表明していた。そのようなNGOの代表たちは、敵対的な環境下におかれることで、任務を実行出来なくなるのではないかと不安を感じているとヒューマン・ライツ・ウォッチに話し、さらに一部の代表者は、一定の活動を維持するために活動の自己検閲をはじめていることを認めていた。

ウガンダ政府は、あらゆるNGO、特に政治的に敏感な課題や物議をかもす課題に取り組むNGOへのアプローチを変え、あらゆる市民社会の活動領域を改善するべきである。また敵対的な物言いを抑え、NGOを治安への潜在的脅威として取り扱う法律を改正し、市民社会が重要な役割を果たしていることを認めるべきである。ウガンダ政府の国際的パートナー、特にNGO委員会への資金援助を検討している援助国・機関は同じく、市民社会の活動への不当な干渉中止の必要性について、自らの懸念を積極的に述べるべきだ。

前出のバーネット調査員は「政府は、人権を尊重する民主主義における重要な要素である市民社会を攻撃するのではなく、市民社会が議論の活性化に向け必要不可欠な役割を果たしていることを認めて支持すべきである。特に、表現と結社の自由に対する政府の敵対的姿勢がエスカレートしていることを踏まえ、ウガンダ政府の国際的パートナーは、NGOへの脅威に関する懸念について積極的に発言しなければならない」と指摘する。

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