(ニューヨーク)-中国政府は、盲目の人権保護活動家である陳光誠(Chen Guangcheng)氏の安全を直ちに保証し、彼に対し拘禁を含むいかなる権利制限もしないと保証しなければならない、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2006年以来、陳氏の釈放を求め続けている。

盲目の法律活動家である陳氏は、2012年4月22日、山東省の東師古村の自宅から脱出。彼は、中国政府により19ヶ月間、違法に自宅軟禁されていた。複数の活動家によると、陳氏は北京市内の“100%安全な場所に”いると伝えられている。本日早朝、中国語ウェブサイト新聞博訊(ボクサン)で広まっているビデオ映像の中で、陳氏自身がその逃亡について語っている。そのビデオの中で陳氏は、温家宝首相に個人的に介入するよう求め、陳氏とその家族に対する監禁を立件するとともに、何の法的根拠もなく、警官が制服を着るでもなく「自宅に乱入し、暴行し負傷させるよう地元警察と地元当局に命令し、私の治療を拒否した者」に対する捜査を求めた。 

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国局長ソフィー・リチャードソンは「中央政府は長い間、陳氏とその家族に対する人権侵害を容認・煽動してきた。人権侵害を指示した可能性さえある。中央政府は、とうの昔に、100%合法的活動を行っていたにすぎない陳氏に対する山東省当局による迫害を止めるべきだった」と語る。

陳氏は、2005年6月、厳しい人口抑制関連法の執行として、多数の人びとへの中絶と不妊手術を強制した山東省臨沂(リンギ)の当局者を相手取って、集団訴訟を提起。

地元当局は、2005年、陳氏とその家族を7ヶ月間自宅に軟禁。さらに、臨沂市警察は陳氏を2006年3月から3ヶ月間“失踪”させ、その上で2006年6月10日になって、彼を臨沂市 の拘禁施設に拘束していると公表。6月21日になってから、臨沂市 人民検察院は、陳氏を、“交通を混乱させるための財産を損壊し群衆を集合させた”といういわれなき罪で正式に逮捕した。陳氏の弁護士は、目撃者への聞き取り調査や証拠収集を阻まれた。2006年8月24日、陳氏は有罪とされ4年3ヶ月の刑を言い渡された。

刑期を満了した陳氏は2010年9月9日、臨沂市の刑務所から釈放された。しかし、釈放された直後から、陳氏と妻の袁偉静氏は自宅に軟禁された。2011年2月9日、NGOチャイナ・エイドは、自宅軟禁の過酷な環境を明らかにするビデオを公表。その数日後、CNNの取材クルーは陳氏にインタビューするのを阻まれている

2011年2月、過酷な監禁に苦しむ陳氏と袁偉静氏の状況を撮影した1時間のビデオが、チャイナ・エイドによって公表された。陳夫妻が密かに撮影した映像だった。陳夫妻は、そのビデオが公表された後、激しい暴行を受けたと報告されている。中国国民はもちろん、外国の外交官、CNNやニューヨーク・タイムズ、ル・モンドなどの報道機関のジャーナリストらが陳氏を訪問しようと試みたものの、脅迫され、時には暴力を受けた。

2011年7月以来、陳氏を実際訪問してみることで陳氏支持を表明しようと、自宅周辺の違法な阻止線を破ろうとする中国国民が急増。そのような活動家は、警察と私服暴力集団の妨害に遭ってきた。この私服暴力集団は、当局の命を受けて活動しているとみられ、活動家を違法逮捕したり、山東省臨沂市東師古村の陳氏の故郷に人びとが辿りつかないよう阻止。陳氏の村に行こうとして、暴行され強盗に遭った活動家たちもいる。陳氏夫婦は、娘の前で、地元市長などの当局者によって4時間にわたり残虐な暴行を受けたと報告されている。

2011年10月、陳の6歳の娘、陳克斯はそれまで阻止されていた学校への出席を許された。一方、「陳光誠自由作戦」と呼ばれた、数十人の中国市民や活動家が陳を訪問しようとする国内キャンペーンも勢いを増した。博訊(ボクサン)で現在公表されているビデオで、陳氏は、自分と家族を監禁し続けて来た山東省当局者と治安機関員が“正気とは思えないほどの報復”に向けて家族を標的にするのではと懸念を表明している。陳氏は、自宅監禁中に、看守が陳氏の妻を骨折させたことや、最近行われた誕生会で陳氏の高齢の母親に暴力を加えたと述べている。

陳家族と支援者たちが違法な弾圧の犠牲となってきた長い歴史に照らせば、陳氏に近い人びとの地位、所在、安全に重大な懸念がある。とりわけ懸念されているのは、陳の妻である袁偉静氏、陳の娘である陳克斯氏、陳氏が山東省から脱出するのを助けたとされている活動家の何培蓉(He Peirong)氏、そして陳氏の甥の陳可貴氏である。陳可貴氏は、今週頭に政府当局者を巻き込んだ暴力的対立の後、現在警察に追跡されていると、国営メディアは報道している。

前出の中国局長リチャードソンは「国際社会は、陳氏とその家族そして支援者を保護するよう、速やかに行動すべきである。そして、事態を監視するために山東省に外交官を派遣するべきだ。中国政府はこの事件に対し、残虐な対応を始めている。弾圧のエスカレートを止めるためには、各国政府が公に懸念を表明する必要がある」と指摘する。