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ジョージ・ソロス氏 1億ドル(約85億円)をヒューマン・ライツ・ウォッチに寄付

ヒューマン・ライツ・ウォッチの世界的活動の拡大に向け、オープン・ソサエティ財団のチャレンジグラント、グローバル進出のために

(ニューヨーク)-投資家で慈善家でもあるジョージ・ソロス氏(George Soros)が本日、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、今後10年に渡り1億ドル(現在約85億円)のチャレンジグラントを提供すると公表した。このチャレンジグラントは、ソロス氏が会長を務めるオープン・ソサエティ財団(Open Society Foundations)を通じて提供される。今回の寄付は、ソロス氏がこれまでNGOに寄付した中で過去最高額。ヒューマン・ライツ・ウォッチのグローバルな活動を拡大・深化させるとともに、人権を世界中でより効果的に保護・促進するために使われる。

このチャレンジグラントは、マッチング・ギフトのような制度。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(政府からの資金を一切受けない)が、ソロス氏からの寄付額と同額の1億ドルを、非政府の個人などから別途に寄付として集めることが求められている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、このソロス氏のチャレンジグラントに加えて自ら別途集めるマッチファンディング、そしてそれ以外の資金調達を合わせた資金をもって、真の世界的組織になるための変革に向けた戦略を実行する予定である。ヒューマン・ライツ・ウォッチがこの計画を実行するためには、5年で年間予算を現在の4,800万ドルから8,000万ドルに増やす必要がある。

「ヒューマン・ライツ・ウォッチは私が支援する団体のなかでも最も成果を上げている団体の一つだ」と、オープン・ソサエティ財団創設者で会長でもあるジョージ・ソロス氏は述べる。「人権は、私たちの様々な願望を実現するための基礎。人権こそが開かれた社会の核にある。」

ソロス氏は「とりわけ、これまで伝統的に人権を支持してきた欧州や北米に住む慈善家以外の慈善家に働きかけたい」と述べた。

このチャレンジグラントは、ヒューマン・ライツ・ウォッチの国際化を支援することを目的としている。この寄付により、世界中の主要国の首都にアドボカシー・オフィスを開設してスタッフを置くことができるほか、人権問題のある諸国での調査活動を深化させることが可能となる。とりわけ、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、発展途上国の新興国政府に対し、人権政策をとるようロビーイング・政策提言を行う機能を強化する予定である。

「真にグローバルな活動を行う組織になれば、ヒューマン・ライツ・ウォッチはより一層大きな影響力をもつことができる」とソロス氏は述べる。「ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界各国の首都にスタッフを置くべきだ。そして、各地の問題の解決に取り組み、地域の人権団体と協働するとともに、各国の政府当局者と関与すべきだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今後5年の間に、収入の半分を米国外から調達するとともに理事会メンバーの大多数を米国外の理事とすることを目指している。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、人権侵害に国際的関心を集め、声なき虐げられた人びとの声を発信するとともに、抑圧者の罪の責任を問う。ヒューマン・ライツ・ウォッチの客観的かつ徹底した調査と、戦略的なターゲテッド・アドボカシー(戦略的なロビイング/政策提言)は、変革へ向けた強力な働きかけとなり、人権侵害を犯した者が負うコストを高める。1978年以来、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、人権課題の根本的な解決を目指して闘い、世界中の人びとに法の正義と安全をもたらしてきた。

「世界の多極化が進む中、影響力を持つ政府のほぼすべてに、ヒューマン・ライツ・ウォッチのメッセージが確実に伝わるよう、我々は努力しなければならない」とヒューマン・ライツ・ウォッチのエグゼクティブ・ディレクターであるケネス・ロスは述べる。「重大な人権侵害を止めるには、発展途上国の新興国政府など、強い影響力をもつすべての政府から、人権保護にむけた圧力を生み出すことが必要である。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、90ヶ国近くで人権問題の解決に取り組み、およそ300人のスタッフを有する。毎年、約100本の報告書及び数百のニュース・リリースを発表。今回のチャレンジグラントの資金で、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、アフリカとアジア各地などにまだ存在するレポートネットワークの不足を解消するとともに、あまりに少ない数のスタッフで調査してきた課題について、より深い調査を行うことができるようになる。

さらに、調査の成果を最大化する目的で、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、各国国内・地域の問題に関して各国政府に対しより効果的に関与し、地元メディアのジャーナリストたちとの関係を強化するためのスタッフを増強する。様々な主要国に、調査員とロビーイング(政策提言)担当のアドボケットをより多く配置することで、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、政府関係者、ジャーナリスト、市民社会と、より効果的に協働できるようになる。そうすれば、さらに前向きの変革を実現できる組織に成長できよう。

前出のロスは、「我々は、ジョージ・ソロス氏が今回示した行動が、世界各地の慈善家への刺激となることを欲する。そして、人権活動への寄付が促進され、もって世界中の人権ムーブメントの成長につながることを望む」と述べる。

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