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イラン:未成年者への死刑執行命令の取り消しを

モハンマド・レザー・ハッダーディー、犯行時15歳の殺人容疑で7月7日に死刑執行の危機

 (ニューヨーク) - イラン司法権はモハンマド・レザー・ハッダーディーの死刑執行を直ちに停止し、死刑宣告自体を完全に取り消すべきだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。ハッダーディー(23)の死刑は2010年7月7日に予定されている。罪状はわずか15歳の時に犯したとされる殺人だ。国際法では少年犯罪に対する死刑宣告は禁じられている。

7 月4日に、ハッダーディーの家族は召喚状を受け取り、息子の死刑が7月7日に予定されていることを知った。刑務所当局は今回を入れて少なくとも3回、死刑が直に執行されるとの通知を家族に行っている。2009年5月27日に、アーヤトッラー・ハーシェミー・シャーフルーディー司法権長(当時)は最終段階で介入し、執行を停止させた。政府は執行日を2009年7月16日に改めたが、司法権は再度執行停止を命じた。

「ハッダーディーへの死刑執行命令は不当であるだけでなく、残酷で非人間的だ」とヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長サラ・リー・ウィットソンは述べた。「家族にとっても、過去7年間で子どもが間もなく処刑されるとの通知を何度も受け取る苦痛に耐えることは不必要に残酷だ。」

イラン国内法は、イスラム法の記述にならい思春期で成人に達すると定める。1991年民法によれば、「思春期」とは、男子は太陰暦15歳(太陽暦14年5ヵ月)で、女子は同9歳(同8年8ヵ月)であり、裁判所はこの年の子どもに成人として判決を下すことができる。

イランは国連子どもの権利条約と、市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准している。両条約は明確に犯行時18歳未満の犯罪について死刑宣告を禁じている。

2004 年1月6日に、シーラーズの裁判所は、ハッダーディーらに対して、モハンマド・バゲル・ラフマトの車を盗む目的で同氏を拉致し、遺体を隠匿したとして有罪判決を下した。さらにハッダーディーをラフマトの殺人で有罪とした。遺体は、道路脇で燃やされた後に埋められていた。 ハッダーディーの弁護士モハンマド・モスタファーイーによれば、ハッダーディーは当初、他の容疑者がラフマトの頭を石で殴り、車のトランクに閉じ込めたあとで、ベルトでラフマトを窒息させたと証言した。その後2003年10月30日に、ハッダーディーは法廷の場で再度殺害を認めた。

ハッダーディーの家族が一番新しい召喚状を受け取った後に、ヒューマン・ライツ・ウォッチが父親に連絡すると、死刑執行前に息子に面会するためにシーラ-ズに向かっているところだった。ここ数週間で息子とは一度だけ話したという。父親は当局に息子の助命を嘆願すると共に、本人の無実を示唆する強力な証拠に基づいた再審の実施を求めている。これによれば、ハッダーディーは他の被告に騙されて、殺人の罪をかぶれば見返りとして家族に金を渡すと信じ込まされた、という。

殺人事件が起きた時点で、ハッダーディーは被告人の中で唯一18歳未満だった。

モスタファーイー弁護士は自身のブログの中で、依頼人であるハッダーディーは他の被告に騙されたと気づいたので、裁判所に書簡を送り、殺人には一切関与しておらず、虚偽の約束にだまされて容疑を認めただけだと述べた事実を示している。しかしながら、最高裁判所第24支部は2005年7月3日にハッダーディーの死刑を確定した。モスタファーイー弁護士は、ハッダーディーが殺人について無罪であることを示す証拠を他にも提示している。

「ハッダーディーが被告人の中で一番若かったために、他の被告人たちから罪をかぶらされたとする主張は、それだけで死刑執行を停止する十分な理由となる」と前述のウィットソンは述べた。

イランは少年犯罪者の処刑(未成年で犯した罪による死刑)が世界で最も多い。2005年1月以降、イラン以外で少年犯罪者を処刑したことがわかっているのはサウジアラビア、スーダン、パキスタンとイエメンの4カ国だけだ。司法権は、2004年にアーヤトッラー・ハーシェミー・シャーフルーディー司法権長(当時)が犯行当時18歳未満で有罪とされた人物への死刑宣告を禁ずるとしていたにも関わらず、ハッダーディーに死刑判決を下している。

イランは少なくとも2009年に4人、2008年に8人の少年犯罪者を処刑した。イランの人権派弁護士筋によると、現在100人以上の少年犯罪者に死刑が宣告されている。

「当人が有罪か無罪かという以前に、子どもの段階で犯した罪について死刑は一切執行されるべきではない」とウィットソンは述べた。「イラン司法権はハッダーディーを助命し、子どもによる犯罪に関する死刑執行の禁止という同国に課せられた国際的義務に従うべきだ。」

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