(ニューヨーク) - 主要8か国首脳会議(G8)メンバーは6月にトロントで行われる主要国首脳会議(サミット)でビルマ問題を議題にするべきである。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、各国外相に宛てた本日付書簡で、G8の場でビルマ問題を取り上げることを求めた。G8外相会合は3月29日~30日にケベック州ガティノーで開催され、この場で、国際の安全に影響を及ぼす主要な問題を協議するとともにサミットの議題を確定する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、G8各国に対し、ビルマでの戦争犯罪を調査する国連調査委員会の設置を支持することを求めると共に、現軍事政権(国家平和発展評議会=SPDC)に対しては各国のよりよい協調態勢に基づく対象限定型制裁を実施すること、並びに、今年2010年中に予定される総選挙を信頼に値する選挙とするために必須のビルマ国内の政治改革の実現に向けて一致して強く働きかけるよう求めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレーン・ピアソンは、「ビルマ軍政に自国民の権利保護の必要性をしっかり理解させるためには、ビルマ問題に対してG8が優先的に取り組むというハイプロファイルな対応が、緊急に必要だ」と述べる。「G8サミットは、戦争犯罪に対するアカウンタビリティー(真相究明と責任追及)と対象限定型制裁を議題にすべきだ。またG8首脳は、今年の総選挙が信頼に値するものとなるよう、強く働きかけるべきだ。」

G8の構成国はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、英国、米国。

この書簡でヒューマン・ライツ・ウォッチは、G8メンバー国に対して、ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者トマス・オヘア・キンタナ氏の2010年3月8日付報告を支持するよう求めた。キンタナ氏のこの報告書は、国連に対して、ビルマで起きているとされる戦争犯罪と人道に対する罪に関する調査委員会の設置を検討することを提案。国連はこれまでも長年、ビルマ国内における組織的で広範に渡る様々な人権侵害が横行している実態及び責任者が不処罰のままである現実を文書に取りまとめてきた。具体的には、民間人の強制移住、成年女性や少女に対する性暴力、子ども兵士の強制徴用と使用、紛争地帯での拷問や超法規的処刑が広範に横行している実態などである。

「ビルマ国軍は、これほど長期に渡り少数民族に対する重大な権利侵害を行っており、しかも、そうした重大な残虐行為の責任者が不処罰のままでアカウンタビリティーがまったくない」と前出のピアソンは述べる。「G8は、国連のビルマ独立専門家の調査結果に従って行動すべきであり、ビルマの全ての当事者が行った犯罪行為に関する独立調査を支持すべきだ。」

また、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、複数のG8メンバー国がビルマ軍政への対象限定型制裁を実施しているものの、調整及び実施に不十分な点があるために効果を十分発揮していないと指摘。G8首脳に対し、軍政首脳や有力な政商への対象限定型制裁について連携を密にするよう求めている。また、G8は、国連安全保障理事会による対ビルマ武器禁輸の実施も支持すべきだ。武器禁輸は、ビルマ軍事政権が武器のための技術やインフラを入手するのを制限することができ、北朝鮮などの武器供給国とビルマ軍政との間で強まっている軍事的つながりにたがをはめることにもなる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際社会が一致してビルマ国内改革を求めることなしには、今年予定されている総選挙が、自由・公正かつ開かれた選挙となることもないし、この選挙が民主的な変革をもたらすこともないであろう、と述べる。ビルマの2008年憲法には、軍が文民機構の主導権を握ることを定めた条項が存在し、現役将校たちに議会の議席が割り振られ、主要閣僚ポストは軍人が就くと規定されている。数週間前に発表された一連の選挙関連法では、政党に対し、現在刑を受けている党員を除名しなければ政党登録の取り消しに直面することが定められており、軍事政権に反対してきたベテラン活動家たちの選挙参加を制限することが意図されている。ビルマでは現在も、政治的な動機に基づく容疑により2,100人以上が投獄されたままである。

「G8首脳は、対ビルマ制裁措置について、制裁をより効果的なものにするためにしっかり協調すべきだ」と前出のピアソンは述べる。「今年総選挙が行われることを踏まえれば、G8側はこのタイミングを絶対に逃すべきではない。ビルマの総選挙を信頼に値する選挙にするためには、何が必要なのか、軍政にはっきり伝えるべきだ。」