(ニューヨーク) -「ビルマ民主化運動の指導者ティンウー氏(84)の自宅軟禁期限が2010年2月13日に迫っている。ビルマ軍事政権は、ティンウー氏を即時釈放すべきだ」ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。ティンウー氏と同時に、人権活動家ニーニーアウン氏も即時釈放するべきである。米国の市民権(国籍)を持つ氏は、事実無根の容疑をかけられた上に不当な裁判にかけられ、2月10日に3年の刑を宣告されたばかり。

軍事政権に反対し民主化を求める政党・国民民主連盟(NLD)のティンウー副議長は、この7年あまりを刑務所での収監とラングーンでの自宅軟禁下で過ごした。氏は、毎年更新される軟禁命令で身柄を拘束され、2003年以降は面会者や他のNLD幹部との接触も禁じられている。この自宅軟禁命令は、ビルマの人権状況に関する国連特別報告者トマス・オヘア・キンタナ氏が同国に到着する1日前に期限切れになる。キンタナ国連特別報告者は、2月20日までビルマに滞在予定である。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは「ティンウー氏は、勇気をもって軍事政権に反対の意志表示を行い、代償をあえて引き受けた」と語る。「ビルマ軍政幹部は今年、総選挙を実施するとしている。氏が予定通り解放されるかどうかは、総選挙を前にして、非常に慎ましい形ではあれ、軍事政権が多様な意見の存在を認める意志があるかをうらなう判断材料となる。」

ティンウー氏は2003年5月、政治的な動機に基づき、公安紊乱罪という容疑で逮捕された。軍政派の民兵組織が、氏やアウンサンスーチーNLD書記長ら党幹部一行の車列を上ビルマのディペーイン近郊で襲撃した際のことだ。ティンウー氏は、1988年のNLD結党に関わり、1989年から1995年も自宅軟禁されていた。

ニーニーアウン(別名チョーゾールウィン)氏は2月10日、悪名高いラングーンのインセイン刑務所内の非公開法廷で、出入国管理法違反と外貨所持の不申告、文書偽造を理由に3年の刑を宣告された。いずれの容疑も政治的な動機に基づく。

ビルマ生まれのニーニーアウン氏は20年以上前にインセイン刑務所に短期間収監された際に拷問を受けた。釈放後はタイに逃れ、1993年に難民認定されて米国に渡り、後に米国市民権(国籍)を取得した。氏は、米国とタイで、ビルマの政治囚釈放を求める非暴力のキャンペーンに関わっていた。

氏は、2009年9月3日、ラングーン空港で入国しようとしたときに逮捕された。当初は、国家安全保障関連の法令に違反した容疑とされた。後日、その他の不当な容疑が付け加えられた。氏は米国旅券の所持者であるにもかかわらず、偽造したビルマの国民登録証を所持したということが公訴事実とされたほか、出入国に関するその他の法令違反があるとして起訴された。氏は、税関検査時に外貨所持を申告しなかった容疑も問われているが、ビルマ当局は、氏が税関を通過する前に氏の身柄を拘束した。

「ニーニーアウン氏が今日までも収監されている本当の理由は、政治囚のために勇敢に活動してきたからだ」と、アダムズは述べた。「ビルマ軍政幹部は、ためらうこともなく米国国民を収監している。これは、ビルマ軍事政権が、ビルマ政府との高級レベルの政治対話を模索する米国政府の最近の努力を軽視していることの表れだ。」

昨年2009年、ビルマ軍事政権は国内で少なくとも270人の政治活動家を逮捕。政治囚の人数は推計2,195人となった。同じ期間に釈放されたのは266人。2009年10月以降には、活動家44人に有罪判決が言い渡された。その刑期は、おおよそ、5年から52年の間となっている。12月12日には、裁判所は、マンダレーの仏教僧ウー・ナンダバンタ師に71年の刑を宣告した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの「2010年までに2100人」キャンペーンは、国際社会に対し、2010年中の実施が発表されているビルマ総選挙の実施より前に、政治囚全員の釈放を実現させるよう強く働きかけることを呼びかけている(なお「2100人」はキャンペーン開始時の政治囚の人数)。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などビルマに影響力を持つ各国に対し、政治囚全員の釈放を明確に求めるよう要請する。

「トマス・オヘア・キンタナ国連特別報告者には、今回の訪問にぴったりの任務がある」と前出のアダムズは述べた。「氏は、ビルマ政府に対してティンウー氏、ニーニーアウン氏はじめ、数千人の政治囚の即時釈放を強く求めるべきだ。そして、わずかな囚人を釈放し、空いた刑務所の房を新たな被害者で埋めるという恥ずべき茶番を止めさせるべきだ。」