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マレーシア:スーチー氏の誕生日を祝ったビルマ人を釈放せよ

庇護希望者の権利保護を

(ニューヨーク) - マレーシア・スランゴール州プタリンジャヤ市では、2009年6月19日にビルマ民主化指導者アウンサンスーチー氏の64回目の誕生日を静かに祝ったビルマ人庇護希望者が、現在も身柄を拘束されている。「警察当局は彼らを釈放すべきである」ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日(6月23日)このように述べた。

「マレーシア当局は、アウンサンスーチー氏の誕生日を祝う平和的な行事を取り締まることで、まさに物笑いの種になっている」、とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレーン・ピアソンは述べた。「祖国の民主化を要求していたビルマ人庇護希望者を拘束することで、マレーシア政府は、ビルマを専制的に支配する軍政幹部への支持を宣伝してしまったのだ。」

スーチー氏に対する恣意的な身柄の拘束を非難するとともに、同氏を被告としてラングーンで行なわれている裁判を非難することを目的として世界各地で集会が行われた。マレーシアで予定されていた集会もその一つだった。ノーベル賞受賞者であるスーチー氏は、過去20年のうちの14年間、自由を剥奪された状態に置かれている。

マレーシア当局は、この誕生日祝賀行事の際に、参加者たちを監視したり脅迫しただけでなく、逮捕まで行なった。こうしたマレーシア政府の行為は、表現の自由や非暴力の集会を行う権利を侵害するものだ。当日のイベントは、マレーシア野党連合Pakatan Rakyatとプタリンジャヤ市評議会が祝賀会を共催。イベント内容は、マレーシア人とビルマ人の参加者による出し物などが中心となっていた。午後7時頃から、制服と私服両方の警察官が、公園内で会場準備を行う主催者側の様子や、参加者が集まってくる様子を、ビデオと写真に収めていた。また、マレーシア人やビルマ人の参加者に尋問をする警察官の姿もあった。

参加団体側は、規制について警察と再三にわたって話し合おうとしたが、警察側はこの申し出を完全に拒否。現場責任者の名前すら明かさなかった。警察は、公園に通じるすべての道を封鎖した。総勢100人以上の警官と機動隊が、約50人が参加した今回のイベントに対処するために配置された。

午後9時頃、警察は、祝賀行事に参加するために会場にやってきたビルマ人16人を出入国管理法違反容疑で逮捕した。だが、当初は、「警備上の問題」と「集会の違法性」を理由として挙げていた。この逮捕劇を受け、主催者側は行事を中止した。

逮捕された16人のうち2人は在留資格があったために釈放された。現在も拘束されている14人のうち9人は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発給した証明書を所持していたが、難民認定審査が終了していない人もいる。その他の5人はUNHCRに登録されていない。

アルジュナイディ・モハメド・プタリンジャヤ市警察本部長は報道機関に対し、拘束されているビルマ人は入国管理局に移送されたと述べた。入管への移送は強制送還につながる長いプロセスの第一歩だ。6月22日の時点で、14人全員が警察に身柄を拘束されたままだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは当局に対し、逮捕された人々全員(UNHCR未登録者も含む)への完全なアクセスをUNHCRに許可するよう求めた。

難民と庇護希望者の拘束は、UNHCR執行委員会(ExCom)が確立した基準に反する。難民および庇護希望者の拘束に関する1986年のUNHCR執行委員会結論第44号(XXXVII)は「拘束は、随伴する苦痛に鑑みて、通常は回避されるべきであるという意見を表明」している。そして「必要な場合、拘束は、身元を確認し、難民の地位もしくは庇護の申請の基礎となる要素を確定し、難民もしくは庇護希望者が庇護を申請しようと意図する国の機関の判断を誤らせる目的で旅行および/もしくは身分証明書を破棄しもしくは不真正文書を使用した場合に対処し、または、国の安全もしくは公の秩序を保護するために、法律で定められた理由にもとづいてのみ行うことができる」と述べている。執行委員会の結論は法的な拘束力を持たないが、執行委員会参加国の同意に基づいて採択されたものであり、国際社会の見解を広く反映したものとして、説得的な権威を有している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、難民と庇護希望者に対するマレーシア政府の処遇をこれまでも何度も非難してきた。難民や庇護希望者たちは、非正規滞在者と同様、いかなる時にも逮捕される可能性がある。また、国際的な保護の必要性に対する十分なスクリーニングの対象とならずに送還されることも多い。収容された人々は劣悪な環境に苦しみ、様々な権利を侵害されている。鞭打ちなどの物理的暴力や虐待、過密収容、粗末な食事、不十分な水、医療に対する不十分なアクセスなどの問題が存在する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、拘束されているビルマ人が、その生命や自由が脅かされかねないいかなる場所にも絶対に送還されるべきではないと述べた。例えばマレーシア・タイ国境では、人身売買や組織犯罪から更なる脅威を被る恐れがある。国境地帯に送還されたビルマ人のうち、資力がある人たちは、密入国業者や人身売買業者を使ってマレーシアに再び戻ってくるケースも多い。しかし資力がなければ、タイの漁船やプランテーション、売春施設に売られることになる。6月16日に米国国務省が発表した『2009年人身売買報告書』は、マレーシアを一番下の第3階層に格下げし、国境でのビルマ人の人身売買に関して懸念を表明した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、マレーシア政府に対し、主要な国際人権条約のうち、特に1951年の難民の地位に関する条約と1967年の議定書、1990年の全ての移民労働者とその家族の権利保護に関する国際条約を批准するよう重ねて求めた。昨年2月にジュネーブで開かれた国連人権理事会では、マレーシアに関する普遍的定期審査(UPR)が行なわれた。その際、複数の理事国がマレーシア政府は難民条約を批准すべきという勧告を行ったが、政府側はこれを拒絶した。

「マレーシア政府が移住者と難民にひどい扱いをしてきたのは公然の秘密となっている。同国政府が新たなスタートを切る1つの方法は、同国内で祖国の民主化を求めるビルマ人の処遇を改善することにある」、とピアソンは述べた。

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