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国連人権理事会:スーダンの人権状況の監視の継続を

人権理事会は特別報告者のマンデートの延長が必須

(ジュネーブ)-国連人権理事会は、スーダンの人権状況に関する特別報告者のマンデートを終了させるというスーダン政府の要求を拒否するべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチ本日、理事会メンバー国に宛てた書簡で述べた。

シマ・サマル(Sima Samar)特別報告者は、国連の主要な人権機関である国連人権理事会に対して、6月16日、スーダン全域で人びとが直面する様々な重大人権問題を取りまとめた最新報告書を提出する予定である。スーダンでの人権状況にほとんど具体的改善が見られない、というサマル特別報告者の結論にも拘らず、スーダン政府とその友好国グループは、サマル特別報告者のマンデートが人権理事会で延長されるのを阻止しようとしている。

「スーダンでは、重大な人権危機が進行中であり、何百万人もがその影響を受けている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ アドボカシーディレクターのジュリエット・デ・リヴェロは述べた。「この重要局面でスーダンに対する特別の監視を取り止めることは、重大な人権侵害の監視と解決という人権理事会の責務から逃れることを意味する。」

サマル特別報告者は、スーダン国民統一政府と南スーダン政府の両者と協力して、両政府の人権保護義務の履行を支援するなど、スーダンにおける建設的役割を追求してきた。サマル特別報告者の報告書は、スーダンの重大な人権問題をとりまとめており、ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査して取りまとめてきたスーダンの人権問題も多く触れられている。スーダン治安部隊による人権活動家に対する嫌がらせ、恣意的逮捕・拘留、そしてメディアに対する検閲と制約の増大などが、ヒューマン・ライツ・ウォッチが取り上げ、サマル報告者も触れたスーダンの重大な人権問題の例である。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、こうした制約は、現時点で2010年2月に予定されている選挙を、自由かつ公正に行なう障害になると懸念を表明してきた。

サマル特別報告者は、ダルフールと南部スーダンにおける治安問題、そして、民間人保護と法の支配のためのメカニズムの欠如が続いている問題も取り上げた。2009年も、武力紛争の結果、これまでに千名を越す民間人が死亡したと報告されている。しかも、北部スーダンなどで援助の40%を提供していた人道援助機関を政府が追放しため、極めて多数の人びとが危機的状態に置かれている。

サマル特別報告者は、2008年5月、アビエイ (Abyei)で、北部のスーダン軍(SAF)と南部のスーダン人民解放軍(SPLA)との間に起きた戦闘の際の人権侵害など、過去の重大な人権侵害の責任者を、スーダン政府が捜査・訴追せずに放置し続けている問題もはっきり指摘した。

スーダンの特別報告者制度は、国連その他の国際機関も含め、現時点で、スーダン全域の情勢を監視し調査結果を公けにする唯一のメカニズムとなっている。ダルフール アフリカ連合・国連合合平和維持ミッション(UNAMID)にも人権担当官が配属されているものの、担当範囲はダルフールに限られる上に、ダルフール全域で活動し報告を公けにするという権限も制限されている。同様に、国連スーダンミッション(UNMIS)に配属されている人権担当官も南部スーダンに焦点をあてており、同じく、報告を公けにする権限が制限されている。

スーダン政府による3月の国際援助機関の追放の後、スーダン政府による現地団体の閉鎖や人権活動家やジャーナリストへの弾圧がますます強まっており、国連人権理事会の任命する特別報告者の役割は、ますます重要になっている。

「スーダンでの人権侵害に対し、なかなか声があげられない状況になっている。この静けさは危険な兆候だ」とデ・リヴェロは述べた。 「人権理事会のメンバー国は、スーダン人の被害者たちの支援のため、特別報告者のマンデートを延長すべきである。」

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