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スリランカ:国内避難民の違法な拘束やめよ

30万人近いタミル人が劣悪な環境の収容所に

(ニューヨーク)-スリランカ政府は、スリランカ内戦により避難を余儀なくされた30万近いタミル人の違法な拘禁を止めるべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。スリランカ内戦は5月に終結したばかり。

スリランカ政府は、国際法に反し、北部での戦闘により移動を余儀なくされた人々を、1年以上にわたり事実上全員(家族全員を含む)、軍が運営するキャンプに拘禁してきた。スリランカ政府は、年末までに殆ど全員が故郷に帰れるだろう、と述べる。しかし、過去のスリランカ政府の行い、そして拘禁中の人々の解放に向けた具体的な計画がないことを考慮すると、無期限拘束の懸念が募る、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

「30万人のタミル人の男性・女性・子どもを、まるでタミルの虎の戦闘員のように扱うのは、国家的な恥と心得るべきだ」、とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長 ブラッド・アダムズは述べた。「避難民となったタミルの民間人には、他のスリランカ人と同じように、自由に対する権利と移動の自由がある。」

スリランカ当局が、タミルの虎の戦闘員を探しだすために、戦闘地域から逃れてきた人々をスクリーニングすることは理解できる。しかし、人びとを恣意的に拘束したり、移動の自由に対する不必要な制限を設けることは、国際法により禁止されている。よって、拘束された者を、速やかに裁判官と面接させた上で刑事犯罪で訴追するか、さもなくば、釈放しなくてはならない。人権法は、安全上の理由による移動の自由の制約を認めているが、その制約は、明確な法律的根拠に基づき、必要な範囲に制限され、脅威に比例するものでなくてはならない。

2008年3月以来、スリランカ政府は、タミル・イーラム・解放の虎が支配していた地域から逃れてきたほぼ全ての民間人を、「福祉センター」及び「暫定救援村」と政府が呼ぶ施設に拘束してきた。解放されたのは、高齢者を中心とする少数の人びとだけで、受け入れ家庭や高齢者用施設に行くことができた。しかし、圧倒的大多数は今も拘束されたままである。6月5日現在、スリランカ当局は北部のヴァヴニヤ(Vavuniya)、マナー(Mannar)、ジャフナ(Jaffna)、トリンコマリー(Trincomalee)の4地域にある40のキャンプに278,263名の人々が拘束されている、と国連は報告した。

拘束されている者の多くは、この地域に近い親戚がいて、キャンプを出ることが許されれば、こうした親戚たちと一緒に暮らすことが出来る。

「多くの人々は、他に行く所がないからキャンプにいるのではない」とアダムスは述べた。「政府が出て行くのを許さないために、キャンプに閉じ込められているのである。」

近時の国内避難民の大量流入以前は、スリランカ政府は、最大3年間、避難民をキャンプに拘束する提案をしていた。その計画によれば、キャンプ内に親戚がいる者は、最初の検査の後、出入りを許されるが、若者や単身者はキャンプを出ることは許されない、というものだった。国際社会からの抗議の後、政府は計画を変更し、「2009年の終わりまでには、国内避難民の80%を再定住させる」とした。しかし、スリランカ政府が、これまでに、厳重な通行証システムや、キャンプを出ることへの厳しい制限を通して、国内避難民の権利を制約してきたことを考えると、国内避難民は何年間もキャンプに閉じ込められる可能性がある、との懸念が高まっている。

2年前の戦闘により、北西部のマナー地域の故郷から逃れざるを得なくなった2000名以上の人々が、収容されていたキャンプから解放されたのは、やっと今年の5月である。

キャンプの環境は劣悪である。事実上全てのキャンプは過密状態であり、一部には、国連難民高等弁務官事務所が適切とする人数の2倍も収容している所もある。食糧配給は無秩序状態であり、水は不足し、衛生施設も不十分だ。キャンプに暮らす人々は、適切な医療を受けられず、感染病がキャンプ内で発生している。

5月16日以来、スリランカ軍が管轄するキャンプ管理組織は、キャンプ内で活動する人道援助団体に、キャンプ内に入れる車両やスタッフの数を制限するなど、数々の制約を強いてきた。こうした制限のため、緊急に必要な援助の供与が遅れている。スリランカ軍は、支援団体が人びとの保護活動のためにキャンプに立ち入ることを許さず、住民との会話も禁止しているため、国内避難民を更に孤立化させている。スリランカ軍は、軍が主催・監視する視察を除き、キャンプ内にジャーナリストが立ち入りることも禁止している。

「こうしたキャンプ内の劣悪な環境は、雨季の到来で更に悪化する可能性がある」とアダムズは述べた。「親戚や友人のもとで暮らしたいと願う民間人を拘束し続けるのは、無責任なだけでなく、違法である。」

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