SW, a young man from the Kinama neighborhood of Bujumbura, told Human Rights Watch he was armed with this pistol by state authorities in order to attack members of opposition parties.

© 2009 Collection privée

(ブジュンブラ)-ブルンジ政府は、政治的動機による殺人、襲撃、恣意的な逮捕を、至急止めさせなければならない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表したレポートで述べた。政府と、旧反政府勢力である国民解放軍(FNL)との間では、和平交渉が進展しているが、それにも拘らず政治的暴力と弾圧が続き、平和的な手段で批判的意見を表明することを困難にし、2010年に予定されている大統領・国会議員・地方議員選挙に向けた体制作りを脅かしている。

権力の追求:ブルンジでの政治的暴力と弾圧」(全86ページ)は、国民解放軍(FNL)と、民主防衛国民会議・民主防衛勢力(CNDD-FDD)が多数派を占める政府の両当事者が、敵対勢力及び各陣営内で批判的意見を述べる者に対して、政治的暴力と脅迫を加えてきた事件の数々を詳述している。

「与党も旧FNL反乱軍も、政治的ライバルを脅迫し、自らの権力を確立するため、躊躇いもなく人権を侵害する構えである」、とヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局長 ジョルジェット・ギャグノンは述べた。「しかしそれは、ブルンジの人々のための意味のある選挙や良い将来への障害となっている。」

このレポートは、2008年1月から2009年4月の間に、FNLメンバーとCNDD-FDD 関係者(警察官、行政当局者、国家情報機関員を含む)が地方レベルで衝突した際に起きた23件の殺人事件と、12件の発砲事件及び手榴弾による攻撃をとりまとめている。また、2008年中頃以降、警察や行政によっておこなわれた120を超える身柄拘束事件(明らかに政治的所属を理由としした拘束)についても報告している。

被害者の大半は、遠方の地方若しくは都市部の周縁化された地域で生活している。政府は、2005年に政権についた際、人権保護に尽力すると約束し、FNLも、和平会談の過程で、司法捜査や訴追に協力すると声明を出している。しかし、事実上、人権侵害を犯した誰一人として訴追されていない現実がある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、同国の和平プロセスや選挙準備に関与している資金提供国政府や外交官らに対して、襲撃の停止と、襲撃に関わったとみられる者すべてを訴追するよう、働きかけることを求めた。

FNLは最近、武装解除を行い、反政府運動組織から政党に移行した。しかし、FNLと他の反政府勢力のメンバーは、比較的平和な時でさえも、国家機関要員や与党の活動家の標的とされている現状のままでは、FLNが武装解除をして政党への移行してからといって、政治権力をめぐる対立のなかで起きる人権侵害はなくならない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。例えば、4月、和平会談が進み、FNLが武装解除を準備していた時期に、政府情報機関員たちは、選挙により選ばれた地方行政官で、活発なFNL支持者でもあったブルンジ民主戦線所属のエマニュエル・ミンユラノ(Emmanuel Minyurano)を殺害した。

平和と発展連合(Union for Peace and Development:UPD-Zigamibanga)や連帯と民主主義運動(MSD)などの他の政党メンバー多数も、恣意的に逮捕された。政府は、政治的に反対意見を唱える者の弾圧のため他の手段も講じ、2008年6月には国会から22名の野党議員を追放し、野党の会議を何度も妨害した。

FNLも人権侵害を行っている。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は、2007年、FLNが、自らの党員への支配を強める目的で、FNLを離脱したメンバーが非武装で占拠していたキャンプを攻撃したことを明らかにしている。これは、停戦合意と国際人道法に違反する行為である。さらに2009年1月と2月には、FNL党員たちが、党活動家のひとりであるアブラハム・ンジェンダクマナ(Abraham Ngendakumana)を殺害し、もうひとりの党員ジーン・バプティステ・ンサビナマ(Jean Baptiste Nsabimana)を拉致・拷問したことも、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は明らかにしている。和平プロセスでのFNL決定事項に、その2名が公然と反対した後のことだった。

他党の財産を破壊するなどの象徴的暴力が多く発生している。ブルンジでは、こうした行為の後には、もっと大規模な暴力事件が発生することが多い。2008年12月以来、少なくとも10州で、正体不明の襲撃者が与党の集会所50箇所以上を焼き討ちした。このような事件への反応もあり、与党党員の青年組織であるイムボネラクレ(Imbonerakure)は、夜明け前に、一定の地域で棒やこん棒で武装し、政治的に対立する勢力の人々を脅迫するために殺人をほのめかす叫び声をあげながら、街頭行進を開始している。

ブルンジへの資金提供国政府やその他の関係者は、形式的な和平合意の実現に焦点をあて、ブルンジ国内で発生していた政治的暴力の活発化及びそうした犯罪の責任者の不処罰の問題には十分な注意が払われてこなかった。各国の外交官たちは、幾つかの政治的動機に基づいた逮捕を批判してきたことは事実だが、自らの政治的意見ゆえに恣意的に逮捕され、議会から追放されたブルンジの政治家たちの市民的権利や政治的権利を、こうした外国の外交官たちはもっと積極的に守る機会があったのにこうした機会は十分に生かされなかったことをヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。和平プロセスで重要な役割を果たした、ブルンジ国内の国連ミッションは、非公式かつ慎重に人権侵害について取りまとめはしたが、公けに人権侵害を非難しなかった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ブルンジ政府に対し、政治的暴力を止め、報告書で明らかにした23件の殺害事件や他の犯罪を捜査・訴追し、もって、暴力の責任者たちを法の下で裁き、責任追及を開始することを求めるとともに、2010年に自由で公正な選挙を行うため直ちに準備をするよう要求した。FNLは、自らの党員及びCNDD-FDD党員に対する人権侵害を止め、FNL党員による犯罪を捜査する警察や検察官に協力することで、平和的な政党になる約束を明確にすべきである。

「殺害・逮捕その他の弾圧が蔓延するなか、ブルンジ国民たちは、政治的意見を表明すれば、報復にあうという恐怖の中で生きている」とギャグノンは述べた。「与党と旧反政府軍双方が、その行動に対する責任を問われるようにならない限り、ブルンジ国民の権利は危機にさらされたままである。」