(ニューヨーク)-イランの裁判所は、ジャーナリストのロクサナ・サベリに対し、スパイ容疑で有罪判決を言い渡したが、この裁判は、サベリの弁護人に準備の機会や適切に弁護する機会を与えない拙速な非公開裁判だった、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。2009年4月18日、イランの裁判所は、サベリに禁固8年の刑を言い渡した。
「11週間に及ぶサベリの拘束と1日で終わった裁判には、透明性が完全に欠如しており、不当だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東副局長ジョー・ストークは述べた。「イランのお粗末な裁判基準によっても、茶番にすぎない。」
イラン当局は、ナショナル・パブリック・ラジオとABCラジオに所属するフリーランス ジャーナリストであるサベリ(31歳)に対する容疑は、ジャーナリスト活動を装った米国政府のためのスパイ活動であるとした。
イラン政府は、1月30日、酒の購入容疑でサベリをテヘランで逮捕した、とサベリの父親はヒューマン・ライツ・ウォッチに語った。イラン政府は、サベリが家族や弁護士に連絡することを2週間近く拒否。ノース・ダコタに住む家族に監視つきの短い電話をかけることがサベリに許されたのが2月10日だった。次の2週間、イラン政府は、外部との接触を一切許可しなかった。そして3月1日、家族はサベリが拘束されている事実を公表。それから数日して、家族は、サマド・コラムシャヒ(Samad Khorramshahi)弁護士をサベリの弁護人につけた。弁護士がサベリに初めて面会できたのは3月8日だった。
イラン革命裁判所次席検事は、4月8日、サベリの容疑がスパイ容疑であることを発表。その後、4月14日の裁判のたった数日前、彼女の逮捕から実に10週間以上経過して初めて、弁護士は、正式に起訴状を渡された。
イラン法と刑事訴訟手続は、イランの政府当局に対し、逮捕後24時間以内に容疑事実を被疑者に告知することを義務付けている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
「公開の裁判を受ける権利そして適切な弁護を受ける権利は、公正な裁判の基本的な要件だ」とストークは述べた。「イラン革命裁判所は、サベリにそのどちらをも与えなかった。」
サベリの弁護人は、判決に対して上訴する方針であると明らかにした。