我々がスリランカ北部バンニで見たのは、壊滅的な光景だった。ほこりっぽい路上には市民の遺体が転がり、病院や住宅は迫撃砲やロケット弾で破壊されていた。戦闘地域の市民は、銃弾が飛び交う中、避難場所を求め逃げまどっていた。戦場から病院や武装された「福祉センター」に何とか逃げられた人々も、適切な医療が受けられずに瀕死の状態で横たわっていた。

政府軍と「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の間で戦闘が激化するバンニでは、死と破壊が悪夢のように繰り返されている。我々の調査では1月前半以降、2000人の市民が死亡した。政府軍とLTTE双方は戦時国際法を無視し、政府が「安全地帯」と呼ぶ地域でも軍が無差別発砲を繰り返している。

LTTEは、政府側に逃れようとする市民に発砲してきた。LTTEの支配下では、子どもを含む市民が多数、強制的に徴兵されたり、戦場で危険な仕事を強要されてきた。

運良くLTTEから逃げ延びた人たちに話を聞いたが、そこにも希望はない。政府はタミル人に残虐行為を働いた。避難先の政府の「福祉センター」は、設備が貧弱で、行動の自由はなく、武装された収容キャンプのようだった。

政府は去年9月以降、人道支援機関やメディアに北部の戦闘地域への立ち入りを禁止し、戦争は一方的な勝利であると伝えた。(これで)政府の軍事行動や戦場に残された市民の悲惨な現状についての、独立した取材は不可能になった。

国際社会は政府とLTTEの両者に働きかけて、市民の虐殺をやめさせることに失敗してきた。今こそ日本やインド、米国などの関係国が、ラジャパクサ政権とLTTEの両者に、紛争の犠牲者たちが公正で威厳のある生活を送れるよう確約させなければならない。両者は人道的な支援ルートの確保で合意し、戦時国際法を守るべきだ。

政府がタミル人の長年の不満を真剣に解決したいのなら、人権を尊重し、残虐行為の責任を問わなければならない。そうでない限り、どんな戦場の勝利も、永続的な平和にはつながらない。

(訳・鵜塚健)