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スーダン:ハルツームで逮捕され消息不明の人びとの所在を明らかにせよ

ダルフール出身の数百人が5月の反政府攻撃以来消息を絶ったまま

(ニューヨーク) - スーダン政府は、2008年5月の首都への反政府勢力の攻撃以来、ハルツームで逮捕された数百人に上る男性、女性と子どもたちの所在を直ちに明らかにしなければならない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表された最新の報告書で述べた。政府は、被拘禁者の拷問及び虐待の責任者を裁判にかけらなければならない。

28頁の報告書「ハルツームでの弾圧:5月10日の攻撃以来の一斉検挙、拷問と失踪」は、ダルフールに拠点を置く反政府勢力グループ、正義と平等運動(JEM)による5月10日の攻撃後スーダン政府がハルツームで行っている弾圧の実態を記録している。目撃者たちによると、戦闘で60人以上の民間人が死亡したという。政府は、数百人もの人びとを逮捕したが、その身元、所在または身柄拘束の基礎となる嫌疑も明らかにしていない。逮捕された人びとの多くは、スーダンのダルフール地方出身者か、又は外見上ダルフール出身に見えた人びとであった。このことは、政府が、逮捕に際して差別的な意図をもっていたことを示唆する。

「ハルツームの数百人もの人びとが、ダルフール出身という理由で駆り集められ、情け容赦なく殴打され、過密な監獄に放り込まれた。そこで死亡した者もいる。」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局長、ジョージェット・ギャグノンは述べた。「スーダン当局は、全ての人びとの身元や所在を明らかにする義務がある。そして、こうした人びとを、何らかの刑事犯罪に該当するとして起訴するか、あるいは直ちに釈放しなければならない。」

本報告書「ハルツームでの弾圧」は、ヒューマン・ライツ・ウォッチが2008年5月に30人以上(釈放された被拘禁者や「失踪」した人びとの親族など)に対して行ったインタビューに基づいて作成された。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、スーダン全国情報治安サービス(Sudanese National Intelligence Security Service: NISS)が、5月10以来逮捕したと考えられる200人以上の氏名を入手した。拘禁されていた者の中には、逮捕者数は総勢3千人程度に上るかもしれないと述べる者もいた。

目撃者たちは、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、刑務所や秘密拘禁施設での虐待と環境はすさまじく、その結果、拘禁中に少なくとも10人が死亡したと報告した。スーダン政府は、多くのケースで、逮捕した個人の身元情報、その所在、あるいはかけられた容疑をなんら明らかにしていない。こうした取扱いは、国際法に違反する強制失踪に該当する。

釈放された被拘禁者のひとりは、ヒューマン・ライツ・ウォッチに、こう語った。

「(拘禁されていた6日)間に、人びとは取調べのため連れ去られ、拷問された。そして、うち何人かは帰って来なかった。何時間も、屋外の日なたのコンクリート上でひざと肘でバランスを取らせておくなどの拷問が行われていた。その後しばらくして焼けるように熱くなる。毎日、2,3人は、食料や水がなくて、あるいは拷問のために死んでいった。」

現地メディアの検閲及びジャーナリストと人権の守り手に対する迫害も、5月10日の攻撃以降増加している。当局は、新聞が、5月10日の事件における政府の役割や進行中の逮捕などについて触れた政府に批判的とみなされる記事や、ダルフール並びに南北境界上の石油の豊富な係争中の地域アビェイ(Abyei)での最近の戦闘のような当局が微妙な問題と見なす事柄についての記事を掲載することを妨害している。

「人権の守り手とジャーナリストに対する取り締まりは、スーダン政府が、表現の自由を何とも思っていないことを示している」とギャグノンは述べた。「当局は、ジャーナリストと人権の守り手への嫌がらせを止めるべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際社会に対し、スーダンに以下の点を要求するよう呼びかけている。

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