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中国/香港:国家安全維持法による一斉逮捕

警察が、民主活動家・政府批判者を逮捕。有力独立系紙を家宅捜索

Police officers inside Hong Kong local newspaper Apple Daily headquarters as police officers arrested Apple Daily founder, Jimmy Lai, at his home in Hong Kong, August 10, 2020.   © 2020 Apple Daily via AP

(ニューヨーク)―香港政府当局は、8月10日に「国家安全保障」という曖昧な容疑で逮捕した民主派10人を直ちに釈放し、立件を取り下げるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。各国政府は国連人権専門家50人による呼びかけを支持し、中国に関する国連人権理事会特別会合を招集し、中国への新たな監視メカニズムを確立すべきである。

「今回の民主派や活動家の逮捕は、蘋果日報(リンゴ日報)のような独立メディアを含む香港の市民社会を解体する試みだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチアジア局長ブラッド・アダムスは述べた。「習近平体制下の中国共産党は、本土の世論への警戒感を長年示しており、施行されたばかりの国家安全維持法(国安法)を使い、香港の独立した意見を潰し、中国共産党批判者との長年の対立に決着をつけようとしている。」

8月10日、中国政府当局は「香港に関連する問題で悪質な行動をとっている」として、ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表ケネス・ロスら米国人11人に対しても、詳細の不明な制裁措置を科した。香港入管当局は今年1月には、ヒューマン・ライツ・ウォッチ年次報告書の発表記者会見を現地で行おうとしたロス代表の香港上陸を拒否した。本報告書は冒頭で、中国政府が人権擁護の国際的な取り組みに対する攻撃を強めていると指摘するエッセーを掲載していた。

8月10日、警官200人以上が、民主派の大手日刊紙「蘋果日報」本社を家宅捜索し、創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏を「外国勢力との結託」と「扇動」、「詐欺共謀」の容疑で逮捕した。警察はまた、ライ氏の息子2人と、同紙の親会社である壱伝媒(ネクスト・デジタル)社の重役4人も逮捕した。幹部の1人である周達權(ロイストン・チョウ・タットクエン)氏は「外国勢力との結託」と「詐欺共謀」の容疑で逮捕され、他の幹部とライ氏の息子たちはいずれかの容疑が逮捕理由となっている。海外在住のもう1人の重役マーク・サイモン氏も香港警察に指名手配されたと、蘋果日報紙が伝えた。

香港警察はまた、著名な民主派リーダーの周庭(アグネス・チョウ)氏、活動家のウィルソン・リーとアンディ・リー各氏も「外国勢力との結託」容疑で逮捕した。ウィルソン・リーとアンディ・リーの両氏は「資金洗浄」容疑でも逮捕されたが、これは民主派グループの攬炒團隊(Fight for Freedom, Stand with Hong Kong)との関係によるものと伝えられる。

香港警察広報官は、「外国勢力との結託」罪について、この3人が「他国に香港への制裁を求める」組織の運営に関与としていたことを指すと述べた。またジミー・ライ氏とネクスト・デジタル社幹部は、「外国の銀行口座を使って」同社に送金していたと主張している。

香港の記者組合、香港ジャーナリスト協会、香港外国特派員クラブは、今回の一連の家宅捜索と逮捕を非難した。

今回の逮捕と制裁は、米国政府が8月7日に発表した、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港特別行政区行政長官や香港警察署長など中国と香港の政府高官11人を、香港の自治権侵害に関する制裁対象者としたことへの報復の一環の可能性もある。

香港国家安全維持法の文言は過度に広範かつ曖昧である。「外国勢力」との結託(最高刑は終身刑)は、香港政府や中国政府への制裁を要求することや、両政府への「敵対的活動」が犯罪行為となる。これらの文言はかなり広く解釈でき、外国政府に対し、香港や中国に国内法が保障する権利の尊重を求めるよう訴えるなどの、非暴力的平和的な活動や基本的権利の行使も含まれてしまう。

蘋果日報紙への攻撃の背景には、独立系中国語メディアの規制という願望があると思われる。中国本土のメディアは長い間、検閲と厳しい規制にさらされてきた。中国政府は様々な手段を講じて、世界各地で中国語メディアの検閲を試みている。蘋果日報紙は、印刷版とデジタル版の双方が世界的に流通しており、中国共産党プロパガンダを代弁役となっていない希少な独立系中国語メディアである。

7月31日、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど17の民間団体は、世界40カ国の政府に公開書簡を送付し、香港の人権擁護のために行動するよう求めた。本書簡では、中国と香港の政府関係者への対象限定型制裁のほか、国連人権専門家による呼びかけの支持など、さまざまな提言が盛り込まれている。

ドイツ日本などの外国政府は、中国政府による国安法の強制を含む中国政府の最近の香港政策を批判している。香港との犯罪人引渡し条約を停止した国も多い。英国は多数の香港人に市民権取得の手段を提供している。米国は、中国と香港の政府高官に対象限定型制裁を科した唯一の政府である。

「各国政府と国連は、香港の権利と自由への攻撃を押し戻すため力を合わせるべきだ」と、前出のアダムス局長は述べた。「人権抑圧を強める中国政府には一致団結して戦略をとる必要がある。中国本土では一世代にわたり小さなしかし重要な人権利向上の動きがあったが、習近平政権下の中国政府はこれを後退させた。香港を同じ運命に陥らせてはならない。」

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