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東京新聞・中日新聞 2020年5月15日

あさって十七日は国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日。原語の頭文字をとって「IDAHOBITの日」、日本でもアイダホの日として親しまれる。三十年前のこの日、世界保健機関(WHO)が同性愛を精神障害から除いた。反差別の日として、世界中で性の多様性を祝う日だ。今年のテーマは「沈黙を破る」。

日本の各種調査では、3~10%程度が性的少数者(LGBT)と回答。学校にも職場にも、近所にも当然いるし、家族にいてもおかしくない。つまり、LGBTは「私たち」のことだ。しかし多くの当事者は差別や暴力を恐れてカミングアウトできず、見えにくい存在となっている。社会的圧力の強い日本で「沈黙を破る」のはまだ難しい。

来年は東京五輪がある。オリンピック憲章は性的指向を含むいかなる差別も禁止する。あと一年でLGBT差別をなくし、多様性と包摂の社会を作れるだろうか?そんな危機感から、国内外九十六団体が先月、五輪までにLGBT差別禁止法制定を求める公開書簡を安倍晋三首相に送った。

首相は昨年「いかなる場面でも、性的マイノリティーに対する不当な差別や偏見はあってはならない」と国会答弁した。であれば、LGBT差別禁止法が必要だ。日本を、五輪にふさわしい国にするために。そして沈黙を破れる国にするために。
(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

 

 

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