Efforts to bring those responsible for atrocities in Syria before European courts are starting to bear fruit, notably in Swedish and German courts. While various authorities in Europe have opened investigations of serious international crimes committed in Syria, Sweden and Germany are the first two countries that have prosecuted and convicted people for these crimes.

 
(ニューヨーク)— 欧州の裁判所でシリアにおける残虐行為の責任を問う取り組みが、スウェーデンとドイツでとりわけ実を結びはじめている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。欧州の様々な当局が、シリアで行われた重大な国際犯罪をめぐる捜査を開始。スウェーデンとドイツは、これら犯罪の責任を負う者を訴追して有罪判決を下した最初の2カ国となった。

報告書「難民の避難の原因となった犯罪:スウェーデンおよびドイツの裁判所で下されるシリアのための法の裁き」は、シリアで戦争犯罪や人道に対する罪、ジェノサイド罪に関与した者の捜査・訴追をしているスウェーデンとドイツの取り組みを概説したもの。ヒューマン・ライツ・ウォッチは両国の法廷関係者や弁護士50人、シリア難民45人に聞き取り調査を実施し、これらの事案を取り上げる際に両国の捜査官や検察官が直面した困難や、難民および庇護希望者が経験した当局とのやり取りを調査・検証した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ国際司法プログラムのサンドラ研究員であるマリア・エレナ・ビニョリは、「他の方法が遮断されている現在、欧州での刑事捜査は、それ以外どこにもシリアでの犯罪を訴えることのできない被害者にとって、希望の光となっている」と指摘する。「シリアでの残虐行為に関して裁判を行い、加害者に有罪判決を下した最初の国として、スウェーデンとドイツは戦争犯罪者に対し、その代償を払うことになると警告した。」

シリア難民たちはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、一祖国で行われた残虐行為の責任者を裁くことの重要性を一貫して強調してきた。

現在スウェーデンに住み、シリア内戦で家族数名を失ったサミラさんは、「私の兄弟はアサド政権の14発の弾丸に倒れました」と話す。「家族は全員死んでしまいました。 子ども5人が処刑されたのを見ました。斬首です。私は1週間寝られませんでした。 [中略] 人間性を取り戻すには、法の裁きが絶対に必要です。」


ドイツでシリア難民の被害者のために活動しているムハンマドさんは、シリア政府に関し次のように言う。「政治的な打開案がいつか合意され、欧州に逃げられるだろうと考えています。 彼らは、人びとの人生すべてを呪いにかけてしまった。だから今度は彼らが、同じように感じる番だと思っています。被害者に希望のメッセージを、加害者には犯罪から逃れられないというメッセージを送る必要があります。」

9月25日、スウェーデンは世界で初めて、シリア政府軍の関係者に、シリアでの犯罪で有罪判決を下した。被告は、犠牲者の胸に足を置いた写真を自ら投稿したため身元が特定。遺体尊厳冒瀆で有罪となった。

スウェーデンとドイツはともに、包括的な国内法やしっかりした戦争犯罪特別ユニット、こうした事案に関するこれまでの経験など、重大犯罪を成功裏に捜査・訴追する要素を有している。加えて、多数のシリア難民および庇護希望者を抱えていることから、これまでは不可能だった被害者や目撃者の証言、重要な証拠が入手できるようになった。さらには被疑者の一部が両国内に滞在しているため、当局の管轄が及ぶ状況にある。

とはいえ、スウェーデンとドイツがいくつかの困難に直面していることが、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査で明らかになった。

前出のビニョリ研究員は、「この種の事案で通常想定される困難に加えて、シリアがまだ内戦中なので、犯罪現場に行かれないという困難が加わっている」と指摘する。「スウェーデンとドイツの政府当局はこの問題を乗り越えるため、ほかから情報を得るしかない。たとえば、シリア難民やその他の欧州諸国で同様の活動をしている人びと、国連機関、シリアでの残虐行為を調査・文書化しているNGOなどだ。」

多くのシリア難民や庇護希望者は、シリアの重大犯罪を捜査・訴追する制度の存在、これらの国々で法の裁きの取組みに自らも貢献できる可能性、被害者が刑事訴訟に参加できる権利などについて知らない。

また今回の調査で、シリア難民や庇護希望者から関連情報を収集する困難性も明らかになった。理由は、シリアに残る家族が報復にあう可能性への恐怖、警察や政府関係者に対する不信感(シリアでの経験に由来)、受け入れ国や国際社会から見放されたという感覚など様々だ。

スウェーデンとドイツには、刑事事件の被害者や証人を保護する制度がある。公正な裁判の基準を尊重しながらも、両国はシリアにいる証人の家族のために、証人保護の強化策を検討すべきだ。

こうした困難のため、これまで結論が出たのはわずかな事案に過ぎず、シリアで被害者を苦しめた人権侵害の規模や性質をしっかり反映していない。これまでの事案は、反体制派武装組織の階級が低いメンバーに対するものがほとんどである。

ドイツの場合ではこれまで、事案の大半が重大な国際犯罪としてではなく、テロ罪として裁かれてきた。このままでは、ドイツ当局が国内の脅威との闘いにのみ焦点を当てているというメッセージを送りかねない。テロリズムの訴追に向けた努力と同時に、戦争犯罪や人道に対する罪、ジェノサイド罪を捜査・訴追する努力も必要だ。

両国の当局には、さらなる努力が求められている。戦争犯罪特別ユニットへの十分なリソースと人員の確保、継続的なトレーニングの提供、アウトリーチ/広報活動を通じたシリア難民および庇護希望者との協力体制の構築方法の検討が必要だ。

ビニョリ研究員は、「欧州諸国はスウェーデンとドイツの動きにならい、欧州にいるシリア難民のための法の裁き実現にむけ、取り組みを拡大していかなければならない」と述べる。「これまでの事例だけでは不十分だ。シリアで続く不処罰に対応するための、より包括的な司法プロセスの必要性が浮き彫りになっている。」