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(ジュネーブ) - 各国政府は、間もなくジュネーブで予定されている多国間軍縮会議にて、完全自律稼働型兵器の先制的な全面禁止にむけ交渉を行うことを見据え、協議を公式化することに賛同すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した報告書内で述べた。

As the debate about “killer robots” continues, the threat they pose looms large. © 2016 Russell Christian for Human Rights Watch

報告書「論証:キラーロボットの危険性と先制的禁止の必要性」は、完全自律稼働型兵器の全面禁止に反対する16の論点に反論するものだ。

自律型致死兵器システムかつ「キラーロボット(殺傷ロボット)」としても知られる完全自律稼働型兵器は、人間の意味あるコントロールなしに標的を選択し攻撃することができる。これらの兵器は、2016年12月12日〜16日に開催される特定通常兵器使用禁止制限条約(以下CCW)第5回検討会議の対象となる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの武器局上級調査員で、「ストップ・キラーロボット」キャンペーンの共同創始者でもあるボニー・ドチャティは、「もはや口先だけで討論している段階から、先制的な全面禁止を追求する段階に進むべき時がきている」と述べる。「各国政府は、兵器の標的およびいつ攻撃するかをめぐり、人間による制御の維持を保障する必要がある。」

本報告書は、ドチャティ上級調査員が講師を務めるハーバード大学法科大学院の国際人権クリニックと共同で発表されたものだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチとハーバード・クリニックは、キラーロボットの危険性について法的、道徳的、安全面などの側面から検証。 これらすべての懸念に応えるには、全面禁止以外の選択はないと結論付けた。 限られた規制の導入や新兵器システムの開発・獲得をめぐるベストプラクティスの成文化といった他の措置には、数多くの欠点がある。

CCW第5回検討会議に参加する国は12月16日、2017年も自律型致死兵器システムについての審議を継続するのか否か、またどのような形で審議を行うべきかについて、全会一致で合意しなければならない。「ストップ・キラーロボット」キャンペーンの調整役を務めるヒューマン・ライツ・ウォッチは、各国政府が問題をより深く掘り下げ、全面禁止の新たな国際法策定に向けて行動するために、公式な政府専門家グループを設置すべきだと考える。

「ストップ・キラーロボット」キャンペーンの取組みに触発され、CCW締約国は2014年から、自律型致死兵器システムに関する3週間の非公式会合を開いてきた。今度の検討会議で政府専門家グループが設置されれば、協議を公式化し結果を出す期待が生まれ、各国が単なる話し合い以上に進むことを促す効果があろう。

これまでの報告書でヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際人道法や国際人権法の遵守にあたって完全自律稼働型兵器が突きつけるであろう課題を詳述したうえで、こうした兵器が引き起こす違法な危害に伴うアカウンタビリティ(法的責任)の欠如問題について分析してきた。また当該兵器は道徳的な領域も超えかねず、かつ人道上および安全上のリスクが、軍事的利益の可能性を凌駕するであろう。

121のCCW締約国のうち、米国、イギリス、中国、イスラエル、ロシア、韓国など数カ国が、自律稼働性のレベルが高い兵器システムを開発中だ。完全自律稼働型兵器にまつわる懸念に異を唱える批評家たちは、テクノロジーの未来についての推測的議論や、技術開発は兵器の引き起こすすべての危険性に対処できるという誤った仮説に依存していると言わざるを得ない。

前出のドチャティ上級調査員は12月14日午後1時15分に、ジュネーブの国連会議室XXIVにおける「ストップ・キラーロボット」キャンペーンのブリーフィングにて、本報告書を発表する予定だ。

「完全自律稼働型兵器の全面禁止は達成可能であり、かつ効果的であることを、過去の軍縮をめぐる条約の成功例が証明してくれている」とドチャティ上級調査員は述べる。

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