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シリア:戦闘機による空爆で40人以上の一般市民 死亡

トルコ国境付近の町アザズへの攻撃  負傷者100人超える

(アザズ)-シリア政府軍戦闘機によるアザズの住宅地への空爆で、子どもや女性を含む一般市民40人以上が死亡、少なくとも100人が負傷したと、アザズで現地調査をした後の本日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。2012年8月15日の空爆では少なくとも2発の爆弾が、北部アレッポ州アザズ町のアルハラ・アルカブリー(al-Hara al-Kablie)居住区にある1区画を完全に破壊した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは空爆の2時間後に現場に入って検証。目撃者や被害者、医療関係者、犠牲者の遺族から聞き取り調査を行った。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの緊急対応プログラム部長代理アナ・ネイスタットは、「この恐ろしい攻撃で多くの市民に死傷者が出て、住宅地の1区画全体が破壊された」と述べる。「またしてもシリア政府軍は、一般の人びとの命を軽視する非情な攻撃を行ったのだ。」

アザズ住民たちの話によると、午後3時ごろに1機の戦闘機が少なくとも2発の爆弾を住宅地に投下した。そのわずか数秒後内に、約70メートル四方(フットボール場の半分以上の大きさ)の区画内にあった数十軒の民家が壊滅。周辺の通りに面していた民家も、壁や天井が崩れるといった大ダメージを受けた。空爆地域の周辺道路では建物の窓が割れたり、壁の一部が崩壊したりしている。

攻撃地点に近接して反体制派自由シリア軍の施設が2つあるため、それがシリア軍機の標的だった可能性がある。1つは空爆された区画から通り2本を隔てたところにあり、元はバース党の建物だったが、現在は自由シリア軍の地域旅団本部として使われている。もう1つは、同軍が政府軍兵士や親政府民兵組織シャビーハの隊員を「治安拘禁」しておく施設だ。どちらの施設も爆撃の被害は受けていない。

救出に向かった人びとはブルドーザー2台を使って、がれきの下敷きになった死傷者の救出作業に当たった。現場の医療従事者たちは、午後7時までに25遺体を回収し、がれきを続けて捜索中だと述べた。遺体の埋葬を手伝っていたある男性は、夜中までに33人がアザズで埋葬されたと話していた。

犠牲者の正確な数を確認するのは困難である。負傷者のほとんどは、国境近くにあるトルコ側の病院に搬送された。アザズの約20キロ北に位置するトルコの町キリスにある病院のボランティアがヒューマン・ライツ・ウォッチに語ったところによると、これまでアザズから負傷者61人が搬送されてきており、ほかに男性7人、女性2人、子ども4人の計13人が道中あるいは到着直後に死亡した。また、別に少なくとも16人の重傷者が、アザズから約80キロ離れたトルコの町ガーズィアンテップの病院に搬送されたと、同病院の医師が語った。

アザズ住民の“アフメド”は、家にいた少なくとも12人の家族が空爆で殺されたと証言。彼は、まだほかに家族4人ががれきの下敷きになっていると考えており、次のように話した:

「家から100メートルくらいの所で飛行機が見えて、それから爆撃と破壊の音が聞こえたんだ。兄弟3人がそこで暮らしていた。父、母、女姉妹、男兄弟の妻など、家族12人を今日埋葬したよ。兄弟のワリードはバラバラになっていたから、最初は彼だって分からなかった。兄弟の子どもたちも埋葬した。一番小さい赤ちゃんは生後40日だったよ。」

自宅跡の上ですすり泣いていた“アリ”は次のように話した:

「屋上でトマトスープを作っていたら、突然飛行機の音が聞こえてきた。大きなバーンという音が何回か聞こえて床に投げ出されたんだ。立ちあがったら、爆弾の破片かがれきが胸にささってけがをした妻が見えた。妻は病院に連れて行かれたけど、どうなったのかまだ知らないんだ。」

 “アイマン”はヒューマン・ライツ・ウォッチに次のように話した:

「男兄弟、女姉妹、父の妻が今日殺された。アサド大統領はこの地域で何を探していたんだろう? …ここには兵器なんてない。家族とは遠く離れたところで暮らしているんだけど、爆発音が聞こえたからやってきたら、破壊の惨状を目の当たりにしたってわけだ。皆が遺体をがれきの下から掘り出してくれた時もここにいた。殺された家族の中には9歳と6歳の子もいたよ。」

国際人道法(戦争法)は、シリア政府と反政府武装勢力すべてに適用される。戦争法は一般市民に対する直接攻撃を禁じている。民家や共同住宅などの民間施設もまた、それらが軍事目的で使用されている場合以外は攻撃できない。攻撃目標が軍事用か民間用か定かでない場合には、民間用とみなさなければならない。

戦争法はまた、軍事目標の直接攻撃ではない攻撃など、軍事目標と民間目標を区別しない無差別攻撃も禁じている。攻撃から期待される具体的かつ直接的な軍事的利益と釣り合わない、二次的な市民の犠牲が予想されうる攻撃も禁止されている。

軍指揮官は、軍事目標を直接狙える攻撃法を選択する義務があり、一般市民に対する二次的危害を最小限にとどめなければならない。使用する兵器が不正確なため、一般市民に対する危害の多大な可能性を含まずには軍事目標を狙えない場合には、それらの兵器を使用してはならない。大きな爆発半径を持つ空中投下型爆弾のような兵器が人口密集地帯で使用された場合、無差別攻撃とみなされうる。

戦争法は都市部での戦闘そのものを禁止しているわけではない。が、一般市民が多く存在する状況下では、市民に対する危害を最小限にとどめる措置を講ずるという一層重い責任を、紛争のあらゆる当事者が負っているのである。全紛争当事者は、軍事行動の際、一般住民に危害を及ぼさないよう常に配慮し、人びとの生命と財産の損失を避けるべく、実行可能なあらゆる予防措置を取る必要がある。こうした必要な措置の例として、攻撃目標が市民あるいは民間施設ではなく、軍事目標であること確保するために実行可能なすべての措置を取ること、状況が許す場合に攻撃の「実効ある事前警告」を行うことなどが挙げられる。

また紛争の全勢力は、人口密集地帯への展開を避けると共に、自軍の周辺にいる市民を移動させるよう努めなければならない。同時に、攻撃側の勢力も、単に人口密集地帯に軍事目標を配した責任は防御側にあるとして、一般市民への危害を考慮する義務から逃れることは許されない。

各国政府は、自国の政府軍に重大な戦争法違反を犯した疑惑がある場合には、これを捜査する義務を負っている。犯意を持って—意図的あるいは重過失を持って—行われた違反行為は戦争犯罪にあたる。政府は、戦争犯罪の責任者を公正な裁判の国際基準に従い、犯人を見つけ出して訴追するよう義務づけられている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは国連安保理の理事国に対し、シリア政府に対する武器輸出禁止措置、ならびに人権侵害の責任者である政府高官を対象にした制裁措置を発動すると共に、シリア紛争を国際刑事裁判所に付託するよう要請した。

前出のネイスタット部長代理は、「アレッポ北部のシリア政府軍は、人口密集地帯で重砲による砲撃や空爆を行っており、一般市民が毎日殺され、傷つけられている」と指摘する。「すべての国連安保理理事国は、『一般市民の保護』が空虚な言葉以上の意味を持つということを示すべきだ。」

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