A 29-year-old Zimbabwean refugee lives with her baby in dire poverty in Johannesburg, South Africa. After the March 2008 elections in Zimbabwe, ZANU-PF militia killed her brother and burned down her house because of her support for the opposition Movement for Democratic Change [MDC]. She said that the assailants brutally beat her, despite her being heavily pregnant at the time, and left her for dead.

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(ヨハネスブルク)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日公表した報告書において、ジンバブエ政府は、2008年の選挙以降に起きた殺人・拷問その他政治的動機に基づいた暴力事件を捜査・訴追していないと指摘し、そうした状況が新たな人権侵害を助長している、と述べた。

本報告書「絶え間ない恐怖:ジンバブエにおける不処罰と暴力の連鎖」(全40ページ)は、2008年の大統領選挙における決選投票の最中及びそれ以降に起きた、政府治安部隊とその協力者による政治的動機に基づく殺人・拷問・拉致事件のうちの代表的な事件について詳細な追跡調査を行い、法の裁きが下されていない実態を検証している。ヒューマン・ライツ・ウォッチはジンバブエ連立政権に対し、重大な人権侵害事件への緊急かつ信頼のおける、公平で透明性を確保した捜査を行うとともに、責任者を地位や階級に関わりなく懲戒若しくは訴追するよう求めた。

「2008年選挙の後、人権状況改善を公約した連立政権だが、それは全て口だけで全く行動が伴わなかった。」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局長ダニエル・ベケレは語った。「政府が襲撃者を処罰しなければ、政治的暴力や拷問に余念がない者を野放しにし、つけ上がらせるだけだ。」

2011年2月11日、ハラレ市(ジンバブエの首都)警察は、北アフリカにおける最近の民主化デモに関するビデオ鑑賞会に対し強制捜査を行った。警察は部屋にいた人びと全員を逮捕。足の裏を殴るなどしたという。この事件は、来年の選挙を前にして、ロバート・ムガベ大統領及び、以前は単独与党だったジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線 (ZANU-PF) が対抗勢力と見なした者に対して行う政治的暴力の氷山の一角にすぎない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれまでにも2008年選挙の際の暴力事件を調査して取りまとめ、ZANU-PF党率いる政府が、大規模かつ組織的な人権侵害における責任を問われるべきであると主張してきた。その調査結果は、ZANU-PF党の最高幹部たちが、最大200名にのぼる人びとを殺害し、5,000名以上に暴行や拷問を加え、およそ36,000名の人びとを避難民としたことについて責任があることを明らかにしたものだった。

「それらの犯罪に対する法的責任は、ほとんどどころか、全く果たされていない」とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べる。「犠牲者及びその家族が政治的暴力に対する告訴状を提出しても、警察は無視も同然の態度を取り、立件された場合でも法廷で審理は滞ってしまう。政府は人権侵害を捜査せよという地元NGOの要求に応えていないのである。」

2008年選挙の際に重大な犯罪を行った者の多くが、被害者と同じコミュニティ内、または近隣で自由の身で生活を続けている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、こうした状況ゆえに被害者たちが今後も暴力事件が起きるのではと不安に思うのも当然だと、懸念を表明している。地元の人権団体の報告によれば、2008年選挙での決選投票の際、人びとに拷問や暴行を加えた治安部隊やZANU-PF党の支持者は、発議された憲法改正の住民投票や将来行われる選挙に先立ち、犠牲者たちを更なる暴力で脅迫している、とのことである。

しかも、ジンバブエ連立政権は、2008年11月及び12月に、治安部隊が40名以上の人権活動家及び民主改革運動(MDC)党員を拉致し拷問した責任を依然として問うていない。MDC党は以前の野党であり、現在は名目上連立政権の一翼を担っていることになっている。この事件に関しては、裁判でも拷問があったとの判決が下され、被害者である活動家たちが実行に関与した政府関係者たちを明らかにしたにも拘わらず、一人の逮捕者も出ていないのである。

過去の人権侵害を裁き真相を究明するトランジショナルジャスティス(移行期の正義・司法)の設立についてもほとんど進展が見られない。「国民の癒し・和解・統合機関 (Organ for National Healing, Reconciliation, and Integration)」は、連立政権樹立後に創設されたが、法の裁きや法的責任を問う権限を全く持ち合わせていない。憲法は、重大な人権侵害に関与した者や有罪判決を受けた者に対し恩赦・特赦・減刑などを与える権利をムガベ大統領に認めており、この条項は選挙後のロードマップでは改訂が想定されていたものの、実際には実現に至っていない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは連立政権に対し、不処罰問題を終焉させるために、必要な全ての手段を講じるよう求めた。2008年選挙期間中の事件を含む過去の重大な人権侵害を調査するため、信頼性の高いNGO関係者も迎えて構成された中立的な調査委員会を設立することを、具体的な方法として挙げている。

「法の支配を回復するとともに、重大な人権侵害への不処罰を終わりにしない限り、ジンバブエは、自由・公正・信頼に足る選挙など行えないだろう」と前出のベケレは語る。「政府は政治的暴力を止め、法の裁きを実現できることを明らかにする必要がある。」