(ワシントンDC)-就任100日、オバマ大統領は、人権侵害を伴うブッシュ政権のテロ対策を改善し、大きな進展を実現したものの、しかし重大な問題のある政策もある、と本日発表したバックグラウンドペーパーでヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。 「オバマ政権 就任100日の評価」と題された報告書は、オバマ大統領の実現した改革を評価し、問題を分析するとともに、今後の課題について勧告・提言を行っている。 「オバマ大統領は、就任後2日目に、グアンタナモ収容所を閉鎖し、CIA拘禁施設を禁止する大統領令を発し、素晴らしいスタートをきった」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、テロ・テロ対策局長ジョアン・マリナーは述べた。「しかし、オバマ政権が、ブッシュ政権時の『対テロ戦争』の枠組みの大部分を撤回しなかった事には、大いに失望した。」 オバマ政権が達成した主な成果として、CIA秘密拘禁施設の閉鎖、拷問その他の虐待の禁止、グアンタナモ軍事強制収容所の1年以内の閉鎖などを定めた命令を、ヒューマン・ライツ・ウォッチは挙げた。 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ブッシュ政権時、尋問の際に行われていた虐待に関して、司法省が4つの法律覚書を公開したことを歓迎し、さらに拷問を承認した責任者たちの責任を追及するようオバマ大統領に強く求めた。 一方、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、オバマ政権が3月13日、裁判所に対し、アルカイダやタリバンを支援し、もしくはその関係者と疑われる者を、世界のあらゆる場所で逮捕し軍収容所に無期限に拘束する権限を有すると申し立てたことを批判。 「オバマ政権の重大な試金石は、グアンタナモ収容所をどのように閉鎖するのか、という事だ」と、マリナーは述べた。「グアンタナモ収容所の閉鎖が、もし収容者たちを単に米国本土に移して、そこで、裁判のないまま無期限に拘束することに終わるならば、ほとんど意味がない。」 オバマ政権が虐待行為を禁止したことで、米国は外国政府の協力をより得やすい立場となったので、テロリズムとの闘いにも、前向きな影響が出るだろう、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。ブッシュ政権時に行われたグアンタナモ収容所やアブグレイブ刑務所などでの虐待は、テロリストの募集を容易にし、その数を増やしてきた、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
米国:テロ対策改革、オバマ大統領就任100日の評価
ブッシュ政権時の主要な虐待政策は撤回されたものの、更なる改革が必要
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