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コンゴ民主共和国:和平プロセスが揺らぎ、人道危機が深まる

戦闘再開により、コンゴ東部で市民10万人以上が避難民に

(ゴマ)-コンゴ民主共和国東部で戦闘再開、人道的状況が急激に悪化し民間人が多大な被害をこうむっていると、コンゴ・アドボカシー連合(Congo Advocacy Coalition) (83の援助団体と人権団体で構成)は本日述べた。同連合は、民間人をもっと保護し、脆弱な立場にある人びとへの支援を緊急に増大するため、緊急に行動を取るよう求めた。

2008年8月28日以来、コンゴ軍、ローラン・ンクンダ将軍の率いる反政府組織人民防衛のための国民会議(CNDP)及びその他の武装勢力の間の戦闘が再開。1月23日に調印されたゴマ和平協定以来続いた束の間の停戦は破られた。従前の戦闘による余波で既に避難していた多数の人びとを含む推定10万人の民間人が、最近の戦闘により避難を余儀なくされた。複数の目撃者によると、民間人の中には戦闘地域に取り残され、コンゴ軍兵士や他の武装勢力により殺害、負傷、レイプ又は違法に拘束された者もある。

「民間人の状況は絶望的で、戦闘が継続すれば状況は更に悪化する恐れがある」と、イナフ・プロジェクト(Enough Project)のレベッカ・フィーリーは述べた。「ゴマ和平協定に調印した全関係者は、民間人を保護し、国際人道法及び国際人権法を尊重するという約束を厳守すべきである。」

 

本戦闘は、停戦の調印以来最も激しい戦闘。北キブ州ルツルで始まり、南キブ州マシシ、そしてカレヘへと拡大していった。1月23日以来、国連平和維持ミッションであるMONUC(国連コンゴ民主共和国ミッション)は、南北キブ州で250以上の停戦違反を記録してきた。戦闘の度に、新たな民間人が避難を余儀なくされている。自宅に帰還しながらも再度避難を余儀なくされるケースも多く、正確な人数を推測する事は困難であるが、国連は現在120万人以上が、南北キブ州で国内避難民となっていると見ている。


本戦闘で、多くの民間人が集中攻撃に巻き込まれ負傷・殺害された。また、子どもを含む民間人も拉致され、強制的に徴兵れているという報告もある。キロツシでは、9月11日、CNDPとコンゴ軍兵士による街の支配権を巡る戦闘の際、地元の医療センターの女性労働者が腹部を撃たれた。ンヤムビングワ(Nyamubingwa)村から避難したある女性は、武装した戦闘員にレイプされた3人の女性を残し逃げてきた、と語った。彼女の村の家はほとんどが略奪された。


 「幾度も幾度も攻撃された。そのたびに避難。いつも家は略奪される。だから財産もなく、手ぶらで避難しなければならなくなってしまった」と、ある男性は語った。彼が9月10日にンヤムビングワ村から避難した後、彼の家は2つの武装勢力に略奪された。

 コンゴ軍と武装勢力が設置したバリケードのため、多くの民間人は安全な場所に避難できなくなっている。戦闘から避難してきた民間人は、通行料を支払ったり、選挙カード(コンゴでは身分証明書として使われている)や自宅から辛うじて持ち出した物等を渡した場合に限り、通行を許される場合がある。

 戦闘地域の外でも、増派されたコンゴ軍の兵士たちは、財産を略奪し、略奪の過程などで民間人を殺傷している。例えば、ミノバ(Minova)や南キブ州周辺の村々では、略奪中の兵士たちによる無差別発砲により4人の民間人が殺害されている。ある地域では、コンゴ軍兵士及び武装勢力のメンバーたちは、両キブ州にまたがる金とスズの豊富な鉱山での違法採掘や、民間人への組織的な恐喝(特に非合法の「税金」を課す事)に関与している。

 「コンゴ軍の将校及び武装勢力のリーダーたちは、自らの軍隊を直ちに管理統制しなければならない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級調査員、アニク・ヴァン・ウーデンベルグは述べた。「上官たちには、兵士や戦闘員たちが、住民を殺害したり、嫌がらせや残虐行為などを行うのを防ぐ責任がある。」


援助要員たちも攻撃を受け、北キブ州と南キブ州の幾つかの地域で活動停止を余儀なくされた。そのため、多くの避難民たちが支援の無い状態に置かれている。兵士や武装勢力の戦闘員は、医療センターを略奪し、人道支援用トラックをハイジャックし、軍事目的に転用している。群集は、援助活動家の役割を国連平和維持軍(MONUC)と混同し、要員に投石し、バリケードの通過を拒絶。MONUCが紛争を終結させられず住民の保護にも失敗しているのに怒っていると、群衆は話した。

 「ゴマ和平協定に調印した当事者たちは、民間人を保護し、バリケードを撤去し、援助を必要とする人びとへの人道的アクセスを認める事に合意をした。でも、地元の人びとは、実際には、正反対の行動が取られているのを目撃してきた」と、オックスファム英国の在コンゴ民主共和国局長、ジュリエッタ・プロドハン(Juliette Prodhan)は述べた。「全当事者は、約束したとおり、こうした攻撃を即時終結させなければならない。」

10年前の今月、国連の国内避難民に関する指針が人権委員会に初めて提出され、恣意的な強制的移動からの保護、避難中に保護及び支援を受ける権利、そして安全な帰還の保証など、全ての国内避難民に対する基本的権利を正式に認めた。

「コンゴ東部では、国内避難民の基本的権利の多くが甚だしく侵害されている」と、ノルウェー難民評議会のウルリカ・ブロム・モンドレーン(Ulrika Blom Mondlane)は述べた。「国連の同指針は単なる高尚な願望にとどまるべきではない。コンゴ東部の住民たちは、この画期的な文書に詳述されている保護と支援の基本水準が実現されることを切実に求めている。」

コンゴ・アドボカシー連合は、ゴマ和平協定の当事者、国際ドナーや和平プロセスの国際ファシリテーター(米国、EU,アフリカ連合や国連)に対して、同協定を実施し、国連の同指針が世界最悪の人道危機の一つである今回の緊急事態の中で尊重される事を確実にするための更なる努力を求めている。


コンゴ・アドボカシー連合は各関係者に対し、特に以下を求めている。

  • ゴマ和平協定とナイロビ・コミュニケで定められた民間人保護と人権尊重の責務を順守する。コンゴ東部人権特別アドバイザーを任命し、人権問題が和平交渉の中心課題となるよう確保する。
  • 避難を余儀なくされた人びと及びその受け入れ家庭やコミュニティーに対する援助を大幅かつ緊急に拡充・改善する。
  • 人道支援要員や国連職員への暴力を扇動する者に対して制裁措置を取る。MONUCと人道支援組織の役割と権限の違いに関する情報を住民に伝える。
  • MONUCの救出活動及び作戦マネジメントの中で、人びとを保護するというマンデートが重視されるよう確保する。
  • 紛争当事者による違法な天然資源搾取の問題及び経済利権の問題が、二国間及び多国間対話で明示的に解決されるよう確保する。


背景 

2008年1月23日、コンゴ政府と22の武装勢力は、即時停戦と国際人権法の遵守を定めるゴマ和平協定に調印した。ゴマ和平協定は、2007年11月のコンゴとルワンダ両政府の間で交わされたナイロビ・コミニュケに引き続いて行われたものである。ナイロビ・コミニュケは、コンゴ東部におけるルワンダの武装勢力たるルワンダ解放民主勢力(FDLR)問題を解決することが目的。2008年4月、コンゴ政府は、東部コンゴでの和平実現にむけた調整の目的で、アマニ・プログラム(Amani Program)を設定した。

国連国内避難民に関する指針は、全ての国内避難民の基本的権利について定めているが、コンゴ東部での実施状況は不十分である。南北キブ州での避難民の多くは、十分な医療サービス、食糧、教育へのアクセスがない。栄養失調の割合が非常に高くなっており、様々な病気が流行している地域もある。例えば、9月初旬よりコレラ患者数が非常に増加していることが北キブ州の6保健地区で記録されている。


現地の食料品価格は高騰し、貧困と栄養失調の状況を悪化させたが、世界食糧計画(WFP)は食料不足のため、コンゴ東部における食糧配給の削減を余儀なくされた。国内避難民などの社会的弱者は、家族を養うため、リスクの高い方法を取らざるを得なくなっている。軍の兵士や武装勢力の戦闘員の残虐行為の餌食となる危険があるにも関わらず、自宅に戻り、自分の農地を耕すしかない者もいる。女性や少女は最も被害を受けやすい。故郷の家に戻る途中や、薪拾いや水汲みに行く途中でレイプされる者も多い。他にも、恣意的に逮捕されたり、違法な税金の支払いを強制されるケースがある。何とか自宅にたどり着いても、家は略奪されていたり、武装勢力や盗賊に占拠されていたりする場合が多い。

 避難民家族の子どもたちは、家族が授業料を支払えなかったり、避難民キャンプ内や周辺に学校がなかったりするため、ほとんど教育を受けられない。生き延びるのに必死な状況で、子どもたちは働かざるを得ない。ある少年が援助要員に語ったように、「働かなきゃ、食べられないんだ」。女性同様、子どもたちも弱い立場にあり、戦闘員による襲撃の格好の餌食となっている。例えばマシシ周辺では、子どもは午前3時に薪拾いに行く。徴兵の目的で捕えられたり、レイプされたりといった、民兵からの虐待を避けるためである。

家を捨てて避難せざるを得なかった人びとの大多数は、受入れ家族(ホスト・ファミリー)と共に生活しているが、その家族自体も避難民と同様に貧しい。こうしたホスト・ファミリーの多くは、数ヵ月から数年にわたり、かなりの数の避難民を保護してきたのだが、これまでほとんど何の関心も支援も受けられずにいる。時に村の人口が倍になれば、現地の乏しい物資は逼迫し、避難民たちはさらに別の場所へと移動せざるを得なくなる。

コンゴ・アドボカシー連合は、コンゴ東部の和平プロセスで民間人の保護と人権尊重に焦点をあてようと2008年7月に設立された国内・国際NGOの連合体。同連合は、ゴマ和平協定、ナイロビ・コミニュケ、コンゴ政府主導のアマニ・プログラムの当事者たちに対し、国際人権法を尊重し、民間人保護を確保するというコミットメントを順守するようアドボカシー活動を行っている。 コンゴ・アドボカシー連合の運営委員会のメンバーは以下の団体のメンバーである。

アクションエイド、イナフ・プロジェクト(ENOUGH Project)、 ヒューマン・ライツ・ウォッチ、インターナショナル・レスキュー・コミッティ(International Rescue Committee) (IRC)、マーシー・コープス(Mercy Corps)、ノルウェー難民評議会(NRC)、オックスファム(Oxfam)、Conseil Régional des Organisations Non Gouvernementales de Développement (CRONGD) - 北キブ州、Promotion et Appui aux Initiatives Féminines (PAIF) - 北キブ州、Initiative Congolaise pour la Justice et la Paix (ICJP) - 南キブ州、Association des Femmes Juristes du Congo (AFEJUCO) - 南キブ州。  

 その他の署名団体


国際NGOs: Agency for Technical Cooperation and Development (ACTED),  Beati i Costruttori di Pace (Blessed are the Peacemakers), CAFOD, CARE International, Catholic Relief Services (CRS), Global Witness, International Alert, La Benovolencija, Merlin, Refugees International, Save the Children UK, Scottish Catholic International Aid Fund (SCIAF), War Child Holland, Women for Women International, World Vision.  
 
コンゴの国内NGOs: ACP/Sud-Kivu, Action de Promotion et d'Assistance pour l'Amelioration du Niveau des Vies des Populations (APANIVIP), Action Paysanne pour la Reconstruction et le Développement Communautaire (APREDECI), Action pour la Promotion de la Participation Citoyenne (APPC), Action pour la promotion et la défense des droits des personnes défavorisées (APRODEPED), Action Sociale pour la Paix et le Développement (ASPD), ADEF, Aide et Action pour la Paix (AAP), Association Africaine de Défense des Droits de l'Homme (ASADHO)/Sud-Kivu, Association des jeunes pour la défense des droits de l'enfant et la lutte contre la racisme et la haine (AJERH), Association des Voluntaires du Congo (ASVOCO), BEDEWA, Blessed Aid, Caritas Goma, Centre de Recherche sur l'Environnement, la Démocratie et les Droits de l'Homme (CREDDH0), Centre pour la Paix et les Droits de l'Homme - Peace and Human Rights Center (CPDH-PHRC), CEPROSSAN (Le Centre de promotion socio-sanitaire), CEREBA, Change Agents Peace Program (CAPP), Children's Voice, Coalition pour mettre fin a l'utilisation d'enfants soldats en RDC, Collectif des Associations des Femmes Pour le Developpement (CAFED), Collectif des ONGs de Droits de l'Homme (CODHO),Collectif des Organisations des Jeunes Solidaires du Congo, (COJESKI) /Nord et Sud Kivu. Construisons la Paix et le Développement (COPADI), CPP (Campagne Pour la Paix), Dynamique des femmes juristes (DFJ), Fédération des Organisations des Producteurs Agricoles du Congo (FOPAC), Femmes Plus/ Sud Kivu, GAM, Goma Pax Christi, Groupe de Voix de Sans Voix (GVSV), Heritiers de la Justice, Human Dignity in the World (HDW), IGEE, La Ligue Adili, LDGL, LUNACOP, Ministère de l'Eglise du Christ au Congo pour les Réfugiés et les Urgences (ECC MERU)/ Sud Kivu, Mouvement International des Droits de l'Enfant, de la femme, de l'homme veuf et de leur promotion sociale (MIDEFEHOPS), PAMI, PFPA, PRODES, Promotion de la Démocratie et Protection des Droits Humains (PDH), PROPREAD, Reseau d'initiative Local pour le développement durable (REID), Réseau Femme et Développement (REFED)/Nord-Kivu, Réseau Provincial des ONGs de Droits de l'Homme (REPRODHOC)/Nord-Kivu, Solidarité Féminine pour la Paix et le Développement Intégral (SOFEPADI)/ Nord-Kivu, Solidarité pour la Promotion sociale et la Paix (SOPROP), SOS/Grands-Lacs, Syndicat des Associations Féminines pour un Développement Intégral (SAFEDI), Synergie des femmes pour les victimes des violences sexuelles (SFVS), Uwaki, VAS, Villages Cobaye (VICO), VOVOLIB.  

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