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Demonstrators shout slogans at a protest against an amendment to Myanmar’s public assembly law in Yangon, March 5, 2018.  © 2018 Thein Zaw/AP Photo

(ヤンゴン)- ミャンマーで初めて民主的に選出された文民政府が、多くの平和的な政府の批判者を訴追し、基本的人権を侵害している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。これに対し、関係各国政府は、表現および集会の自由を保障し、平和的な言論に刑罰を下す法律を国際基準に見合ったものに改正するよう、ミャンマーに強く求めるべきだ。

報告書「へし折られた希望:ミャンマーにおける平和的な表現の自由の刑罰化」(全87ページ)は、アウンサンスーチー国家顧問が率いる与党・国民民主連盟政府が、活動家やジャーナリスト、および一般市民に対し、広く漠然とした文言で定められた国内法を適用している実態について調査・検証したもの。今ではメディアやインターネット上でさまざまなトピックが盛んに議論されるようになった同国だが、政府や軍、その関係者、そしてラカイン州やカチン州における人権侵害について批判的な発言をすれば、しばしば逮捕や訴追の対象となってしまう。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア担当法律顧問で、本報告書を執筆したLinda Lakhdhirは、「ミャンマーの新政権下で、報道に対する権力濫用が特に著しくなっている」と指摘する。「アウンサンスーチー氏と国民民主連盟が新しいミャンマーを約束したのに、政府は依然として平和的な発言や抗議をする人びとを訴追し、古く弾圧的な法律を改正せずにいる。」

本報告書は、ミャンマーでの聞き取り調査と2016年以降の法改正や政策変更に関する分析に基づいたもの。電気通信法、平和的集会・デモ行進法、およびミャンマー刑法を含む国内法の適用について検証した。政府は平和的な言論および集会に対する刑法の適用をやめ、表現・集会・報道の自由の保護を強化すべく、立法改革を実行すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

新政府は電気通信法第66条(d)の適用を急激に拡大している。政府や軍を批判または「侮辱」した、あるいは政府や軍を何らかの不当な形で描いたとされる人びとを訴追するために、名誉毀損を犯罪とする当該法やその他の国内法が繰り返し適用されている。ごく最近の例としては、2018年12月に3人の平和的な活動家が、カチン州で起きた新たな戦闘で避難を余儀なくされた人びとの保護を求めたのち、軍を中傷したとして有罪判決を受けた。4月には、8人の高校生が風刺的な反戦劇で軍を中傷したとして有罪判決を下され、その劇を動画配信した男性も電気通信法第66条(d)に抵触したとして有罪判決を受けている。

動画配信したHtun Htun Oo氏は、「軍は、青年たちが舞台で語っていたことが気に入らなかったのだと思います」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチに語った。「戦争中であれば、兵士たちはレイプし放題と言っていました。そこが気に入らなかったのでしょう。」

ジャーナリストたちは、電気通信法、非合法結社法、国家機密法、メディア法、航空法の下で逮捕されている。ロイター通信の記者、ワーロウン(Wa Lone)氏およびチョーソーウー(Kyaw Soe Oo)氏に対する懲役7年の実刑判決は世界的な注目を浴びたが、両氏は植民地時代の国家機密法違反罪に問われていた。Inn Din村で起きたロヒンギャ・ムスリムの虐殺事件を報じたことへの報復とみられている。また、ジャーナリストたちが、紛争地域への立ち入りや政府の政策およびプログラムにまつわる情報へのアクセスを認めてもらえない状況も続いている。

多くの逮捕と訴追がミャンマーにおける報道に深刻な萎縮効果をもたらした、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

集会の組織またはそれへの参加に対する訴追は、全国で一連の反戦集会が行われたのちの2018年に顕著になった。45人以上のデモ隊が逮捕され、その大半が平和的集会・デモ行進法の下で訴追に直面している。

Lakhdhir法律顧問は、「アウンサンスーチー国家顧問が率いる政府は、軍事政権下が使っていた弾圧の道具を廃止する真の機会を手にしていたのに、それを平和的な批判者や抗議者に差し向ける道を選んだ」と指摘する。「しかし、政府が誤った道を後戻りし、ミャンマーにおける言論と集会の自由を全面的に保障する道を歩む機会はまだ残されている。」

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