Keisuke Honda

© 2018 Reuters
(ニューヨーク) -国際的に活躍するサッカーのスター選手・本田圭佑氏がサッカーのカンボジア代表の実質的な監督に就任し、殺人や戦争犯罪の疑いがあるカンボジア政府の高官サオ・ソカ氏と仕事をしている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは2018年12月3日付の本田選手宛ての書簡で述べた。サオ・ソカ氏はカンボジアのサッカー連盟の会長で、その経歴は書簡内に詳述されている。

本田選手は2008年から2016年サッカー日本代表のメンバーだった。オランダ、ロシア、イタリア、オーストラリアなどのプロチームでプレーをしている。サオ・ソカ氏はカンボジアサッカー連盟の会長であり、カンボジア王国軍の総司令官代理とカンボジア王国警察隊の総司令官でもある。フン・セン首相とも親しい中である。

「本田圭佑選手が戦争犯罪の疑惑があるサオ・ソカ氏と8月の記者会見で一緒にいた時の写真を見たときはショックを受けた」とヒューマン・ライツ・ウォッチアジア局局長のブラッド・アダムスは述べた。「世界レベルのサッカー選手が世界レベルの人権侵害者と一緒に仕事をすることでサオ・ソカ氏に根拠なき信頼性を与えかねない上、長年苦しんできたカンボジア国民に対し与える印象について懸念を表明した。」

2018 年 6 月に発表したヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書『カンボジアのダーティーな 12 人:フン・ セン政権下の将官たちによる長い人権侵害の歴史』にあるように、サオ・ソカ将軍が率いる部隊は超法規的処刑、拷問、違法逮捕、非暴力の抗議運動に対する攻撃などといった人権侵害を犯してきた。

カンボジア王国軍の一部であるカンボジア警察隊は人権侵害の疑いがあり、カンボジアの人権状況に関する 国連特別報告者(当時)は同組織の解体を求めた。ヒューマン・ライツ・ウォッチはサオ・ソカ氏の総司令官職からの解任、氏に対する犯罪捜査の実施、彼の犯した人権侵害行為にふさわしい訴追を求めている。

サオ・ソカ氏が 2006 年にカンボジア・サッカー連 盟会長に指名された際、国際サッカー連盟(FIFA)は選挙不正を理由として、この人事 の承認をしなかった。プノンペン・ポスト紙の記事によれば、「FIFA(本 部)代表のジョゼフ・S.ブラッター氏が署名したカンボジア・サッカー連盟(CFF)宛の書 簡には、『FIFA が受領したすべての書類を審査したところ、FIFA 規程 17 条について、 政治的な干渉を理由とした明白な違反があったと結論した。(中略)FIFA としてはこの 選挙なるものを認める立場にはない』と書かれている」。つまり、フン・セン首相が、代表職に適正に選ばれた自身の政治的ライバルに近 い人物を退け、サオ・ソカ氏を代表に就任させたと見られる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチなどからの懸念に応え、FIFA は最近 FIFA 規程に人権促進条項を追加。すべてのオペレーションに適用される人権政策を採用し、人権ディレクターを雇用し、人権アドバイザリー・ボードを設置した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは FIFA と定期的に協議し、こうしたプライオリティ事項について助言を行うと共に懸念点も伝えている。