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スーダン:人権侵害と弾圧を止めよ

特使や国連そしてアフリカ連合は、スーダン全土での改革に向け与党に働きかけを

(ニューヨーク) スーダン政府はダルフールでの政府軍による民間人への攻撃を止め、2005年の包括和平協定(CPA)で構想された人権保護に向けた改革を行うべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した報告書で述べた。本日モスクワで会議を開催するスーダン特使、関係各国政府、国連、アフリカ連合の関係者らは、これらの法改正と政策転換を緊急優先課題として取り組むよう、スーダン政府に働きかけるべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

本報告書「進むべき道:人権侵害と弾圧のスーダン全土での終焉にむけて」(25ページ)は、首都ハルツーム(Khartoum)や北部諸州での人権侵害と弾圧、ダルフールで続く暴力、スーダン南部で民間人を危険に晒している戦闘について取りまとめている。報告の内容は、今年7月と8月にチャド東部とスーダン南部で行った現地調査に基づいている。

「スーダンは現在、分岐点にある」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局長ジョルジェット・ギャグノンは述べた。「約束を守るか、若しくは、弾圧で状況を一層悪化させるか、どちらかである。」

関係諸国政府と国連、アフリカ連合、アラブ連盟会議などの国際機関による本日のモスクワでの会議は、スーダンにとって重要な時機での開催となる。与党である国民会議党(NCP:National Congress Party)が率いる国民統一政府(GNU :Government of National Unity)は、この先数ヶ月の間、人権保護と政治面において、連動する試練に直面する局面にある。

この数ヶ月間進展が見られなかったダルフール和平会談だが、今月ドーハで再開の予定となっている。2005年包括和平協定の合意事項に基づいて、2010年4月に国政選挙が、また2011年1月に独立に関する南部の住民投票が予定されている。これらの投票での失敗は、スーダン全体の進展を台無しにする可能性がある。

「スーダンの民間人を守ろうとする人びとは、南部、ダルフール、ハルツームで現在とられている方策を変えるよう、与党に包括的で協調した強い圧力をかけ、人権保護を第一優先課題にするべきである。」とギャグノンは述べた。

スーダン政府は、ダルフールでの民間人に対する攻撃を直ちに止め、恣意的に逮捕して拘禁し続けている人びとについて、訴追するか、または釈放するかのいずれかの措置をとるとともに、民間の活動家への嫌がらせを止めるべきである。そして、人権保護と治安に関連する包括和平協定の条項の執行を優先するべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。これらには、政府の治安組織の真の改革、南北国境の設定、軍の撤退・縮小及び元民兵の統合のための治安合意などが含まれる。

恣意的逮捕

国家治安部隊法(NSFA)の強大な権限のもとで活動するスーダン治安部隊高官たちは、民間の活動家、野党指導者、反政府軍メンバーであると疑いを掛けた者を、ハルツーム、ポートスーダン(Port Sudan)、カッサラ(Kassala)、ダルフール、その他各地で逮捕。多くの場合、これらの人びとを長期間にわたり拘束し、家族や弁護士との面会も許可してこなかったことを、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は明らかにした。例えば、少なくとも7名の民主人民戦線(United Popular Front:UPF)のメンバーであるダルフールの学生が、今年4月から拘束されている。この学生たちのグループは、今年3月4日にスーダンのオマル・アル・バシール大統領を訴追した国際刑事裁判所(ICC)を支持するイベントを、スーダンの複数の大学で開催していた。

10月1日、治安当局はガジーラ州において、その学生グループのメンバーを更に2名逮捕した。大学でのダルフールに関するディベートの後の出来事だった。政府治安当局はまた、スーダン東部のカッサラ(Kassala)の活動家や、ハルツームと南コルドファン(Southern Kordofan)の野党党員に嫌がらせを行い逮捕した。

8月28日、治安当局はもう1名のダルフールの活動家、アブデルマジード・サレハ・アバケル・ハロウン(Abdelmajeed Saleh Abaker Haroun)氏を、ハルツーム市街で逮捕し、起訴なしでの拘禁を続けている。

 「スーダン政府は恣意的な逮捕を繰り返してきた。そうした違法な慣習をやめ、法的根拠なしに拘禁している人々を釈放若しくは起訴し、国家の治安に関する法律を抜本的に改正しなければならない。」

市民社会に対する嫌がらせと情報の隠蔽{じょうほう}

北部諸州とダルフールで行われている人権侵害の正確な規模は、政府がメディアに対する検閲を行っているため不明である。国際刑事裁判所(ICC)による訴追の後、スーダンの人権保護団体が3つ閉鎖され、スーダン全域での人権についての情報量が一層制限された。同時期に国際人道団体13団体がダルフールから追放されたことも、人道援助の必要性についての情報の制限に拍車をかけている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査して取りまとめたところによると、印刷前の検閲措置の方針は、国家治安部隊法に従い、治安当局者が、新聞を検閲したり発行停止にする形で続いている。また、2010年4月の選挙に向けた準備が始まるなか、特に選挙関連の市民活動も妨害にあっていることが判明した。

この4ヶ月の間、少なくても6回にわたり、ハルツーム、ポートスーダン、メダニ(Medani)その他北部諸州の各地、及びダルフールで、市民団体と政党が選挙について話し合いを持とうとしたのを、スーダンの治安当局や人道援助当局が妨害若しくは阻止したことを、ヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。ある事例では、ハルツームでパンフレットを配布していた共産党党員を治安当局が拘束し尋問した。

「スーダン政府は、今、最も重要であるはずの基本的な政治的自由を、市民団体や政党を弾圧し、制限している。」とギャグノンは述べた。

治安当局は1月から6月の間に、厳しい検閲を通して少なくとも10回にわたり新聞の発行を停止し、ジャーナリスト及びダルフール関係の本の著者への嫌がらせを行ったり逮捕したりし、ジャーナリストにトレーニングや支援を提供する団体を閉鎖した。9月には、政府の検閲により主要新聞が少なくとも2紙廃刊に追い込まれた。

バシール大統領は9月29日、政府は印刷前の検閲はやめると発表したが、その一方で、ジャーナリストに対し、「危険ライン」を超えるなと警告。この声明が、市民にとり重要な事柄に関する表現の自由の拡大につながるのか、まだ予断を許さない。

いまだに続くダルフールでの衝突

政府与党率いるスーダン軍と反政府軍との間の9月の衝突と、無差別爆撃の継続はダルフールでの戦争が終わっていないことを明らかにしている。9月17、18日に発生した政府軍による陸と空からのコルマ(Korma)と北部ダルフール周辺村々への攻撃では、女性を含む民間人16名が殺害され、幾つかの村が焼失した模様。

北ダルフールのウム・バル(Um Baru)出身の目撃者たちはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、今年5月の政府による爆撃が水のポンプに命中し、多数の民間人の死傷者を出したと伝えた。

「政府軍は一日に12発も爆弾を落とした」とある目撃者はヒューマン・ライツ・ウォッチに語った。「政府軍は、町の全域を爆撃したんだ。」

今年2月に南ダルフールのムハジャリヤ(Muhajariya)にて発生した政府軍と「正義と平等運動 (JEM)」の武力衝突では、政府軍が激しい空爆作戦を展開し、多くの民間人が殺害され、4万人の避難民を生み出した。ダルフールの国内避難民キャンプにいる推計270万とチャドの難民キャンプにいる20万の人びとは、政府軍兵士と政府関係の民兵による攻撃や、性暴力などの暴力行為の恐怖のため、自分たちの村に帰ることが出来ないでいる。

不安定な南部スーダン

国民統一政府(GNU)は、包括和平協定に規定されていた南北国境の設定や、軍の撤退と縮小を実施していない。このことが、南北スーダン国境沿いのアビエイ(Abyei)やその他の危険地域に暮らす民間人を一層の虐待の危険にさらしている。両軍とも、和平合意の安全保障協定で義務付けられた、軍の縮小と元民兵の完全統合に失敗している。

2月にマラカル(Malakal)で起きた、北部スーダン政府軍部隊と南部のスーダン人民解放軍(SPLA)の衝突の際には、軍が統合に失敗した元民兵が暴力と人権侵害を煽動。国民会議(NCP)が支援していた元民兵をマラカルから排除し、更なる暴力の危険性を低下させるための十分な措置を大統領はまだ取っていない。

南部スーダン各地では、激しい民族間の紛争が起こり、今年6月までの半年で少なくとも1200名の民間人が殺害された。スーダン人民解放運動が率いる南部スーダン政府は、民間人同士の戦闘や、2008年9月以来中央及び西部エクアトリア(Equatoria)で活動する「神の抵抗軍(Lord's Resistance Army)」の絶え間なく続く攻撃から、民間人を守れないままだ。

「南部スーダンの人びとは激しい民族間の戦闘、反政府軍の攻撃、南北両軍の衝突の被害をうけてきた」とギャグノンは語った。

南部政府とスーダン政府ともに、暴力の発生を防ぎ、民間人を保護するために一層の努力が必要だ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。スーダンの平和維持活動のための国連スーダン・ミッションもまた、暴力の防止と民間人保護のために一層努力しなければならない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

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