A video posted to YouTube by activists from Quseir, Syria shows ZAB 2.5 incendiary submunitions burning in the playground of the Ghaleb Radi school following an airstrike on December 3, 2012.

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(ジュネーブ)-シリア政府は過去1年間で少なくとも56回も焼夷弾を使った攻撃を行った。ヒューマン・ライツ・ウォッチは焼夷兵器使用の即刻停止を求めて本日、焼夷兵器攻撃を裏付ける証拠の詳細を明らかにした調査報告書メモを発表した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今週スイス・ジュネーブで開催される、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の年次会合で、本件への懸念を表明する。

シリア政府による焼夷弾空爆に関する全20ページの覚書(メモランダム)は、現場検証を含む詳細な調査によって収集した証拠に基づき作成された。添付資料として攻撃現場のビデオ映像地図も作成されている。焼夷兵器は、可燃性物質の化学反応によって熱と炎を生じさせる。そして、治療困難な激痛を伴う火傷を生じさせると同時に、火災を発生させて攻撃目標とインフラを破壊する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ兵器担当上級調査員ボニー・ドチェルティは「シリア政府は、焼夷弾を使って空爆を行っている。その犠牲者の多くは子どもなどの一般市民だ」と指摘。「しかし、国際社会はこれに抗議していない。各国政府は、シリアによる化学兵器やクラスター弾の使用に抗議したのと同様、焼夷兵器の使用についても非難すべきである。」

全政府はシリア政府に対し、焼夷兵器使用の即時停止を求めるとともに、焼夷兵器の使用の全廃あるいは最小限化を目指し、国際法の強化に取り組むべきだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は、2012年11月から2013年9月にかけてシリア空軍が、焼夷兵器を使用した攻撃を少なくとも56回にわたり実施したことを示している。調査は、現地調査、目撃者の証言、写真や映像の検証などの方法で行われた。ヒューマン・ライツ・ウォッチとシリア人権侵害証拠収集センター(Violations Documentation Center of Syria)は、そのうち4つの焼夷兵器攻撃について、詳しく証拠を検証して詳細をまとめた。この4つの攻撃で一般市民少なくとも41人が死亡、71人が負傷した。うち2つの攻撃の標的は、住宅地内の2つの学校だった。

英国人の救急医療医サレイハ・アフサン(Dr. Saleyha Ahsan)氏が2013年8月26日、アレッポの病院でボランティア活動をしていたときのこと、試験勉強中の10代の学生で一杯の学校に焼夷兵器攻撃が行われ、負傷者数十人が運び込まれた。氏はヒューマン・ライツ・ウォッチにこう述べた。「ある男性患者は、全身の9割に3度熱傷を負いながらも、息のある状態で病院に搬送された。衣服はすべて焼け落ちていました。これほどひどく負傷した、存命の患者は見たことがなかった。動いていたのは目だけでした。」

この患者は、特別治療のためにトルコに搬送される直前、火傷が原因で死亡した。

シリア政府は、1980年の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)と、「人口稠密」地域に対する焼夷兵器の空中投下を禁止する同議定書Ⅲのどちらも批准していない。同議定書には10月25日時点で、国連安全保障理事会常任理事国全5か国を含む、107か国が加盟している。

前出のドチェルティ調査員は「焼夷兵器の使用を制限する現行の国際法を強化する方法は様々ある。しかし、シリア政府による焼夷兵器攻撃のあまりのひどさからすれば、全面禁止こそが最良の解決策というべきだ」と指摘する。

人口稠密地域内または付近での焼夷兵器を使用したシリア政府による空爆は、無差別攻撃であるため、国際人道法(戦時国際法)に違反する。意図的又は重過失(deliberate or reckless)による無差別攻撃は、戦争犯罪に該当する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが収集した映像証拠と目撃者の証言の大部分は、焼夷兵器の投下に使われているのが、シリア空軍の固定翼ジェット機とヘリコプターであることを示している。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、シリア政府軍が使用する空中投下型焼夷兵器のうち、少なくとも3種類を特定。これらすべての焼夷型航空爆弾が、旧ソ連製だった。

シリア政府がこれらの焼夷兵器を入手した時期や方法、また焼夷兵器全体の保有量に関しての情報は入手できていない。

ドチェルティ調査員を含むヒューマン・ライツ・ウォッチの代表団は11月12日午後1時15分、在ジュネーブの国連第XXIV 号室で行われるブリーフィングで、シリア政府による焼夷兵器の使用について報告する。