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アジア人権報道賞、新たな共催団体を迎える 部門の新設も

タイと台湾の外国特派員協会、アリゾナ州立大とヒューマン・ライツ・ウォッチによる共催の輪に加わる

(バンコク)タイと台湾の外国特派員協会は、ヒューマン・ライツ・ウォッチとアリゾナ州立大学ジャーナリズム・マスコミュニケーション研究所(ウォルター・クロンカイト・スクール)と共に、アジア人権報道賞を共催すると発表した。同賞については、「亡命ニュースルーム」による最優秀報道を表彰する部門が新設される。

同賞の共催団体が増え、部門が新設されたことは、アジア地域の人権報道がいっそうの課題に直面し、新たな現実を抱えている実情の表れだ。アジアでは自国で安全に活動することができなくなっているジャーナリストがますます増えている。

「今回、『亡命ニュースルーム』部門を設ける背景には、自国での安全な取材が不可能になったために、国外に転じて引き続き自国の人権問題を報道する、多くの勇敢なジャーナリストの存在がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのティラナ・ハッサン代表は述べた。「真実を明らかにするかれらの役割は、かつてないほど重要なものとなっている」。

アジア人権報道賞には長年の立派な歴史があり、アジア地域の傑出した人権報道を表彰してきた。以前は香港外国特派員協会(FCGHK)の主催だったが、2020年6月に中国政府が香港で国家安全保障法を強引に施行し、少なくとも9つの報道機関が閉鎖されたことを受け、実施が見合わされた。

その後2022年にヒューマン・ライツ・ウォッチとアリゾナ州立大学が運営を引き継いだ。今年2023年には台湾外国特派員協会(TFCC)とタイ外国特派員協会(FCCT)が共催団体に加わる。

「共催団体が増え、アジア人権報道賞は世界最高の人権報道賞にまた一歩近づいた」と、クロンカイト・スクール所長のバティント・L・バッツ・ジュニア博士は述べた。「クロンカイト・スクールが、この重要なプロジェクトで中心的な役割を果たせることができて光栄である」。

アジア人権報道賞の目的は、人びとの基本的権利がいっそう尊重されるようにするとともに、そうした権利が保障する自由を脅かす動きに注意を促すことにある。同賞には毎年、アジア全域から数百件の応募がある。2024年には、既存の16部門が整理され、前出の「亡命ニュースルーム」を含む計7部門の構成となる。

過去の受賞者には、フィリピンのジャーナリストで2021年のノーベル賞平和賞を受賞したマリア・レッサや、ロサンゼルス・タイムズ紙のフォトジャーナリストでピューリツァー賞(ニュース速報写真部門)を受賞したマレーシア生まれのマーカス・ヤムがいる。

「タイは、2021年2月のクーデター後、ミャンマー軍事政権の弾圧から逃れるため、亡命を余儀なくされた勇敢なビルマ人ジャーナリストの最前線だ。タイ外国特派員協会は、本賞を通じて、こうしたジャーナリストたちの実に素晴らしい仕事ぶりを称えるにふさわしい存在である」と、リサ・マーティンFCCT代表は述べた。「東南アジアで最も歴史のある外国特派員協会として、大きな危険を冒して重要な人権問題を報じるアジア各地のジャーナリストを称えるという、この重要なパートナーシップの一員となることを誇りに感じている」。

2つの外国特派員協会はともに、増え続ける亡命ジャーナリストを受け入れている。「台湾は、中国語圏と東アジア地域を担当するジャーナリストにとってますます重要な拠点になっている。台湾における自由、安全、そしてロケーションによって、中国やアジア地域を担当する記者らの安全地帯である」と、トンプソン・チョウTFCC会長は述べた。「尊敬する諸団体と協力し、2023年のアジア人権報道賞を主催できることは、当協会にとって名誉あることだ。新設される『亡命ニュースルーム』部門は、アジアのジャーナリズムの現状をうまく言い当てている。中国、香港、ミャンマーなどを重点的に扱う多くの記者やメディア機関が、対象とする国の外での活動を余儀なくされている」。

2024年の受賞者は、2024年5月3日の世界報道自由デーに発表される。

応募は次のページで行うことができる

https://cronkite.submittable.com/submit/281186/human-rights-press-awards-2024

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