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ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、バラク・オバマ大統領およびエリック・ホルダー司法長官に宛てた書簡で、報道の自由を危うくすることから、米国政府は国務省の機密公電を公表したウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジュ氏を訴追すべきではない、と述べた。また、国家安全保障の拡大解釈は、米国憲法と国際法が保障するところの表現の自由と対立するものであり、認めるべきでないと米国政府に強く求めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのジェネラルカウンシルであるダイナ・ポケンプナーは、「米国内外において、表現と情報の自由にとって非常に重要なときを迎えている。漏えい文書を公表したことを理由にウィキリークスを訴追すれば、恐ろしい前例を設けることに他ならない。正当な政治報道を封じようと企ててきた世界各国の政府が、米国の前例を利用しようとするだろう。」と述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ウィキリークス問題に関する一問一答(Q&A)の中で、ウィキリークスや他のメディア機関が公表する漏えい公電情報が、人権活動家を危険にさらす可能性に懸念を表明していた。その一方で、アサンジ氏を「テロリスト」として扱うべきという意見も、非難してきた。更に、何の司法判断もなしにウィキリークスへのサービス提供を停止した民間企業の問題についても指摘。ならびに、米行政管理予算局が「連邦職員は、機密を扱う適切な権限を持たない限り、すでに公表された文書へのアクセスを禁止ずる」と、近ごろ指示したことも批判している。

前出のポケンプナーは、「国務省公電がインターネット上に広がった後では、この種の形式的指令は、オバマ政権の現状対応不足という印象につながるだけだ」と指摘。「それだけでなく、機密文書が最初に開示された後、送信または入手した人は誰でも、1917年スパイ法適用範囲に含みうる、と政府が解釈するかもしれないという懸念も生じる。これは、ニューヨーク・タイムズ紙から、好奇心でネットサーフィンをする個人レベルにまで影響のでてくる問題だ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、可能な限り透明性確保と情報機密解除を優先するよう、オバマ政権に強く求めた。加えて、漏えい情報を公表するメディアの訴追や、すでにあいまいなスパイ法の規定の適用範囲を拡大しうる立法を自制するよう促した。

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