腐敗や不正と闘うための 効果的な政策が必要
2010年04月13日

  (ワシントン)-アンゴラでは汚職及び不正が蔓延しているが、アンゴラ政府はこうした腐敗と闘うための対策を十分とっていない。そのため、原油資源が豊富なアンゴラでは、国内総生産(GDP)は過去6年間で400%以上増加してきたのに、国民生活の改善はこのGDPの成長にまったく見合っていない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日公表したレポートで述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2004年にも、アンゴラでの汚職の実態を明らかにした報告書を発表。その報告書で、原油収入のうち数十億ドルが中央銀行を違法に迂回し、使途不明金として消えてしまっている実態を暴露した。今回の31ページのレポート「アンゴラでの透明性と説明責任の確保:最新情報アップデート」は、2004年以降も、透明性を高めるための政策をアンゴラ政府がほとんどとっていない実態を明らかにするとともに、新たに明らかになった腐敗と不正の実態を詳述している。また、こうした腐敗と不正のパターンを食い止めるための政策の提言も行なってる。

「アンゴラ国民の権利が、腐敗と秘密主義によって損なわれている。これと闘うために、政府は、断固たる措置をとる必要がある」ヒューマン・ライツ・ウォッチのビジネスと人権プログラムのアーヴィンド・ガネサン局長は語る。「豊富な国家収入にもかかわらず、国民は貧困に喘いでいる。」

世界金融危機と原油価格下落を受けて、国際通貨基金(IMF)はアンゴラ政府との間で合意を成立させた。その条件がきちんと履行されるのであれば、改善に向け、多少の期待をもてる。

アンゴラ政府の原油収入金額の公表には改善がみられる。しかし、アンゴラの人的指標は惨憺な数字のままであり、国家が急速に豊かになっている度合いにまったく見合っていない。アンゴラは、サハラ以南アフリカで最大の原油生産国。しかし、アンゴラ国民数百万人が、基礎的な社会サービスにさえほとんどアクセスできないでいる。国連開発計画(UNDP)の開発指数でアンゴラは182ヵ国中143位である。

トランスペアレンシー・インターナショナル(腐敗撲滅に取り組む国際NGO、Transparency International)の「腐敗認識指数」(Corruption Perceptions Index)で、アンゴラは2008年の180ヵ国中158位から、2009年には162位に転落している。

本報告書は、新たに明らかになった腐敗と不正に関する新証拠も列挙。例えば、1999年から2002年までアンゴラ中央銀行総裁を務めたアギナルド・ジャイム(Aguinaldo Jaime)博士による不正もそのひとつ。2010年2月の米国上院報告書に取りまとめられているとおり、ジャイム博士は、米国の銀行宛に5000万ドルもの一連の疑わしい送金を行なおうとした。横領の可能性に懸念を抱いた銀行が送金を拒否、若しくはその金を受領直後に返還。3年間にわたるジャイム氏の中央銀行総裁の任期中、アンゴラ政府にはおよそ24億ドルの使途不明金がある。

アンゴラのジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントス(Jose Eduardo dos Santos)大統領が最近の出した声明によれば、アンゴラ政府は腐敗と闘う意思を明確にしていると見える。ドスサントス大統領は腐敗に対して「一切容赦しない」政策を指示、また米国上院がアンゴラなど各国で腐敗の調査を行った際には、政府職員による腐敗を削減するため、新たな行政監査法の導入も発表した。

しかしながら、大統領と与党が権力の座について30年以上が経過し、その全期間において原油マネーに煽られた腐敗が蔓延していたことを考慮すると、サントス大統領の一連の指示が実際に行動に移されるのか、まだ予断を許さない。その上、制定されたばかりの新憲法は、すでに30年以上権力の座にあるドスサントス大統領が、更に13年以上大統領として留任することを可能にしている。

「ジャイム博士の行為からしても、説明責任の必要性ははっきりしている」と前出のガネサンは語る。「アンゴラ政府が透明性と改革に真剣に取り組む意思があるなら、政府職員を断固として監査し、支出に関する監査結果を公表すべきだ。ドスサントス大統領の腐敗に対して『一切容赦をしない』という公約に基づき、本当に行動すべきだ。」

アンゴラ政府が近時発表した改革は全く不十分なものである。その一方、国際通貨基金(IMF)との新しいスタンドバイ取決め(Stand-By Arrangement)は、アンゴラにおける実質的な改善と腐敗との闘いに向けた枠組み、そして、国際的な推進力となりうる。

このIMFとのスタンドバイ取り決めは、中国政府にとっても透明性と説明責任を改善させる絶好の機会となりうる。中国政府と中国企業は、アンゴラの最大の投資家であるとともに、貿易相手であり、アンゴラ産原油の消費国。中国政府と中国企業は、アンゴラなどの投資相手国の行政の問題について基本的に口をつぐむ一方、原油関連のインフラに数十億ドルも投資してきた。

中国投資基金(China Investment Fund)は有数の中国民間企業であるが、同基金はアンゴラ国営の原油会社ソナンゴル(Sonangol)と強いつながりをもっていて、特に懸念材料が多い。同基金は、アンゴラやギニアなど各国で、中国投資基金関連の問題や疑惑が相次いでいる。

米国や中国などの国際通貨基金(IMF)の理事国は、アンゴラがスタンドバイ取決め(Stand-By Arrangement)の規定を順守するようしっかり確保するとともに、とりわけ、国営原油企業サノンガルに対する監査を公表し、アンゴラ政府の歳出に関する新しいデータを定期的に明らかにしていく必要がある。

米国には、国際通貨基金(IMF)の理事国としての役割以外にも役割が期待されている。オバマ政権は腐敗に対してハッキリとものを言ってきた。しかし、真の変革をもたらすとは考えられないような禁止政策もある。一方、米国上院は、外国の腐敗した政治家たちが彼らの汚れたカネを米国内で使うために米国の金融機関を使っているという問題に対処するための勧告を出している。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、オバマ政権に対し、実現の望み薄の政策を追求するかわりに、この米国上院の勧告を完全実施するよう強く求めている。

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