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イラン:クルド地域での弾圧を止めよ

権力を平和裏に批判をした人びとが投獄され、出版物は発禁に

(ニューヨーク)-イラン政府は、クルド地域での平和的な権力批判を弾圧するために多用されている治安維持関連法(広範かつ曖昧な文言からなる)を改正もしくは廃止し、こうしたクルド人たちに対する恣意的逮捕を止めるべきだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、本日発表した報告書の中で述べた。

42ページの報告書「イラン:クルド地域での表現と結社の自由に関する報告書」は、表現と結社の自由を行使しただけのイランのクルド人に対し、イラン政府当局が治安維持法、出版法、その他の法律を用いて逮捕・訴追している実態を明らかにしている。こうした法律を利用して基本的人権が弾圧されること自体は目新しいことではないが、2005年8月にマフムード・アフマディネジャド大統領が政権に着いて以来、こうした傾向がさらに顕著となっている。

「イラン政府は、政治的な批判に対して、イラン国内の至る所で寛容のかけらもない対応に終始しているが、なかでも、分離独立運動の歴史がある少数派地域では、特別に敵対的な対応をとっている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局局長代理、ジョー・ストークは述べた。

クルド人は、イラン全人口6900万人のうち450万を占め、主に同国の北西地域に居住。同地域での政治運動は、多くの場合、より高度な自治を求める運動だ。歴史の長いイランの主要クルド政党は、武力闘争路線を否定している。イラン政府も、1990年代初頭以来、こうした組織が武力闘争を行なっているとの容疑をかけたことはない。

「政府が、暴力を鎮圧する権利を有することに異議はない」と、ストークは述べた。「しかし、イランのクルド地域で起きていることは、そうではない。ここでは、合法的かつ平和的に反対意見が表明されているに過ぎない。しかし、イラン政府は、これに日常的な弾圧を加えている。」

この報告書は、イラン政府が、政府を反対・批判した容疑で、ペルシャ語、クルド語をとわずに新聞社や雑誌社を閉鎖し、書物を発禁処分にし、発行者・ジャーナリスト・文筆家らを処罰する実態を報告。非政府組織(NGO)の正当な活動に対しても、イラン政府当局は、団体登録を拒絶したり、こうした組織で働く個人を虚偽の公安容疑で訴追するなどして、弾圧を加えている。

こうしたイラン政府の弾圧の犠牲者の一人に、カマヤラン(Kamayaran)市の高等学校の校長で、クルディスタン人権保護協会(Organization for the Defense of Human Rights in Kurdistan)の活動家のファルザッド・カマンガル氏がいる。同氏は、2006年7月に逮捕されて以来、拘禁されたまま。拘禁中のカマンガル氏が密かに施設外に持ち出してもらうことに成功した手紙(イラン当局が同氏尋問中に拷問した様子を明らかにしている)も本報告書におさめられている。

2008年2月25日、イランの革命裁判所第30支部は、「国家の治安を危険にさらした」との容疑で、カマンガル氏に死刑を言い渡した。検察は、同氏が、トルコを拠点とするクルド労働者党(PKK)の一員であるとの容疑で訴追をしたが、その主張を裏付ける証拠は示されなかった。7月、最高裁判所は死刑判決を支持。カマンガル氏の弁護人は、死刑に対抗する唯一の残された手段たる司法長官の介入を要請している。

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