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Activists demonstrate in front of the Ministry of Economy, Trade and Industry on June 18, 2021 in Tokyo, Japan.  © 2021 Kazuki Oishi/Sipa USA

(東京) - 日本の事業者及び関係諸機関はミャンマーの暴力的な国軍が関与する不動産事業から撤退すべきである、と本日、ヒューマンライツ・ナウ、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、日本国際ボランティアセンター、ジャスティス・フォー・ミャンマー 、メコン・ウォッチの5団体は述べた。ヤンゴンで計画されているYコンプレックスはタッマドー(国軍)から賃借された土地に建設中である。ミャンマー国軍は長らく人権侵害を繰り返してきた歴史があり、2021年2月1日のクーデター以降この状況は悪化している。

参加企業の一つである東京建物は、クーデター以降Yコンプレックス事業を停止したと述べた。しかし、国際協力銀行(JBIC)株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、フジタ、東京建物などの事業関係者は停止の期間や事業再開の条件を公表していない。

「日本の政府や企業はミャンマーで事業を行う際にリスクを適切に判断しなかった」とヒューマンライツ・ナウ事務局次長の小川隆太郎は述べた。「日本の政府や企業はこの失敗を認めて責任を持って行動するべきである。さもなければ国軍に資金提供する危険がある。」

2013年10月15日付の「BOT土地賃貸借契約」によれば、Yコンプレックスにはショッピングモール、ホテル、賃貸オフィスが含まれ、ミャンマーの兵站総局が賃貸する「国軍所有の軍事博物館の跡地」に建設中である。この契約には、BOT契約が解除または期間満了となった時点で、土地と開発された建物や設備は「賃貸人」に譲渡されると記されている。したがって、Yコンプレックスに関与する企業は、契約終了後も収入を生み続けることができる長期的な固定資産を国軍のために作り出すリスクを負っている。ミャンマー国軍のスポークスパーソンは2020年6月22日に、国軍がYコンプレックスの用地を所有していること、また国防省がその賃料を受け取っていることを認めた

JBICは2021年3月5日、メコン・ウォッチからの質問に対し、土地賃料の支払いはすべてミャンマーの国防省が受け取っていると述べた。JBICはまた、賃料の支払いは最終的には国家予算法の下で政府の国家予算に含まれると主張したが、根拠は明らかにしなかった。JBICは外部の「ステークホルダー」が懸念を表明したことを受けて、こうした詳細をミャンマー政府と確認するために事業者や在ミャンマー日本大使館と連携していると述べたが、最終的な確認は発表されていない。

「我々はクーデター発生前から、国軍に資金が渡ることの危険性を指摘してきたが、日本政府、企業は十分な対応をとってこなかった。」とメコン・ウォッチの事務局長、木口由香は述べた。「日本政府の公的資金や企業の投資が、国軍の暴力の資金源になった可能性が高いことを強く非難する。」

軍事政権下で制定されたミャンマー の2008年憲法によれば、国防省は国軍の支配下にあり、国軍は民主的に選ばれた政府から独立している。憲法20条(b)は「国軍は、軍隊に関するすべての事柄を独立して管理し裁定する権利を有する」と定める。232条(b)(ii)の下、国防大臣は現役軍人の中から国軍総司令官によって任命される。また、憲法以外の法律も、Yコンプレックスの土地賃料の支払いについて、監視や説明責任が及ばない状態を作っている。例えば、連邦会計監査院長官法39条の下で国防省は監査対象から除外されているため、国防省への土地賃料の支払いは政府による監視を受けない。

国軍はラカイン州での人道に対する罪のほか、ミャンマー全域の少数民族地域での重大な国際犯罪に関与していた疑いが以前から持たれており、国軍による侵害行為はクーデター後さらに悪化している。政治囚支援協会(AAPP)によれば、2021年7月12日現在、治安部隊により900人以上が殺され、5,200人以上が当局によって逮捕や起訴、または刑の宣告をされた。国軍は少数民族地域での軍事作戦も強めており、無差別の空爆や地上攻撃によって学校や村、礼拝所、その他の民間人の建造物が破壊された。

「日本の企業や政府は、取引相手が文民統制下の国防省ではなく、長年にわたって数え切れない残虐行為をしてきた軍であることをわかっていた」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア・プログラム・オフィサーである笠井哲平は述べた。「日本の政府と事業者らは、国軍との営利事業を再開する意思がないことを明確にするべきである。」

上記5団体は2021年2月17日、国連の人権及び多国籍企業並びにその他の企業に関する作業部会への共同要請書で、Yコンプレックスがミャンマー国軍の資金源になっていないか調査を要請した。当時、Yコンプレックスに関与する日本の事業者はどれも、国連ビジネスと人権に関する指導原則が求める効果的な人権デュー・ディリジェンスを行っていなかった。

「Yコンプレックス開発に関与する企業が、国軍によりクーデターや恐怖政治の展開の後、同事業の状況について明確な説明をしていないことは嘆かわしい」とジャスティス・フォー・ミャンマーのスポークスパーソンであるヤダナーマウンは述べた。「国軍が、戦争犯罪や人道に対する罪を犯すために使う武器を購入する当の部局である兵站総局から土地を借りるのを正当化する理由は存在しない。日本政府と企業らはミャンマー国軍の愚行に加担するのを止めなければならない。」

国連ビジネスと人権に関する指導原則は「国家は、その国家が所有または支配する企業または国家機関から相当な支援やサービスを受けている企業による人権侵害からの保護について追加的な措置を取るべきである」とする。国連ビジネスと人権作業部会とミャンマーの人権状況に関する特別報告者は2021年5月12日、「人権に関する責任を果たし、軍事政権に重大な人権侵害を止めるよう圧力をかける」よう企業に呼びかけ、「ミャンマーでの活動を続けた場合に人権侵害を助長、あるいは犯罪に加担するのを避けるために」指導原則に沿って行動するべきだと付け加えた。

日本政府は2020年10月16日に「ビジネスと人権」に関する行動計画を発表し、「企業活動により人権への悪影響を受ける人々の人権保護・促進、ひいては、国際社会を含む社会全体の人権の保護・促進に貢献することが期待される」と述べた。

「日本の政府と企業は人権に真剣に取り組み、国の行動計画や企業方針に示されているコミットメントに責任ある形で積極的に従うべきである」と日本国際ボランティアセンターの海外事業グループマネージャーである渡辺直子は述べた。「そうしなければ、ミャンマー国軍に資金提供するだけでなく、自らの評判をさらに損なう危険を冒すことになる。」

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