ニューヨーク大学・ルーヴル美術館・グッゲンハイム美術館 活動家逮捕に沈黙
2011年04月12日
グッゲンハイム美術館、ニューヨーク大学、ルーヴル美術館は、活動家たちに対する恥ずべき弾圧に対し、公けに声をあげるべき責任を負っている。
サラ・リー・ウィットソン、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局長

(ニューヨーク)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、 アラブ首長国連邦(UAE)サディヤット島に支部を置く国際組織は、UAE政府による人権活動家弾圧を強く非難する旨、関係当局に明確に伝えるべきであると述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは当該諸機関に次の書簡を送付。「2011年4月8日以降、 政治的な動機によると見られる政治改革派への弾圧が組織的に展開されており、その一環として3名の活動家が拘禁されている。グッゲンハイム美術館、ニューヨーク大学、フランス国立美術館連合(ルーヴル・アブダビの運営主体)は、その即時釈放を強く求めるべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局長サラ・リー・ウィットソンは、「グッゲンハイム美術館、ニューヨーク大学、ルーヴル美術館は、活動家たちに対する恥ずべき弾圧に対し、公けに声をあげるべき責任を負っている」と述べる。「アラブ首長国連邦内で自由を求めて声をあげた知識人たちを、政府が沈黙させている状況を傍観すべきでない。こうした芸術・学術機関が、芸術や研究分野におけるUAE発展の一端を担おうという真のビジョンを有するのであれば、率直に意見を述べる必要がある。」

4月8日、著名な人権活動家で詩人のアフメド・マンソール(Ahmed Mansoor)氏が、 政治的自由と選挙に基づく議会を求めた後に逮捕拘束された。4月12日現在、政府関係当局は家族や弁護士に同氏の所在を知らせておらず、面会も拒んでいる。同氏の弁護士はヒューマン・ライツ・ウォッチに、「警察は現在、氏にアルコール違法所持容疑をかけている」と話した。マンソール氏はヒューマン・ライツ・ウォッチの中東アドバイザリー委員会のメンバーでもある。

同氏の逮捕以降、更に2名の民主改革派活動家が拘束された。4月10日に治安部隊は、研究者のナセル・ビン・ガイス(Nasser bin Ghaith)氏を拘束。同氏はパリのソルボンヌ大学アブダビ校の経済学教授で、政府が抜本的な政治改革に取り組んでいないとして政府をくり返し批判してきた人物。前日の9日には、ネット上で活発な意見表明をしているブロガーで活動家のファハド・サレム・アル=シェヒー(Fahad Salem al-Shehhy)氏も拘束された。

前出のウィットソンは、「研究者が政治的信念によって政府に迫害されている時に、ニューヨーク大学はアブダビで学ぶことの素晴らしさを宣伝し続けるつもりか」と疑問を呈す。「市民に発言する自由がないのに、グッゲンハイム美術館とルーヴル美術館は、アラブ首長国連邦での芸術を鑑賞する自由を賞賛し続けるのだろうか?」

本書簡内でヒューマン・ライツ・ウォッチは、「国際組織は、こうした政治的動機による拘束を非難するという社会的役割を果たすのに適役である」と指摘。たとえばグッデンハイム美術館は近ごろ、中国政府に拘束されたアイ・ ウェイウェイ(艾未未)氏の釈放を求める署名活動を開始した。

前出のウィットソンは、「アラブ首長国連邦政府と提携している国際組織の沈黙は、改革派に対する弾圧への黙認と受け取られるだろう」と述べる。「これらの公的国際機関がUAEに支部を設置した理由は、利益のためだけではないと世界に信じてもらいたいのであれば、自らが原則とする価値観を守るためにはっきりとその考えを表明すべきだ。」