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アウンサンスーチー氏が率いる文民主導のビルマ新政権は、ビルマの人権状況に新時代を告げるかもしれません。しかし強い高揚感に包まれる前に、国連人権理事会はビルマが直面する多くの課題を考慮すべきです。

Soldiers parade to mark the 70th anniversary of Armed Forces Day in Burma's capital Naypyidaw, March 27, 2015. © 2015 Reuters

新政権が直面する体系的な問題を大きく取り上げることは避けられません。ビルマの少数民族居住地域での国軍の作戦行動は、複数の民族組織との部分的な停戦が全国的な停戦だと喧伝され、そして時には誤って伝えられる一方で、実際には昨年を通じて増加しました。戦闘の再開により、政府軍と民族武装勢力による重大な戦時国際法違反行為が疑われるなか、民間人数千人が住む家を追われ、強制労働や拷問、虐待、女性への性暴力などが発生しています。

国軍を後ろ盾とするビルマ現政権は警察と裁判所を使い、政治的動機による容疑で人びとを投獄しています。政治囚の数はおよそ100人へと増えており、他に400人が非暴力活動を理由に刑事訴追されています。この数は2012年に政治囚が大量釈放されて以来、最大のものです。

人権侵害的な多数の法律が法文として残っており、新政権もそれが使われるのを防ぐことはできないでしょう。軍が起草した現憲法は国軍に対し、警察を監督する内相だけでなく、防衛相と国境問題相の任命権を与えています。改革がまだ行われていない司法は腐敗し、無能で、軍の言うなりです。国軍は依然として文民統制を外れており、過去から現在に至る犯罪行為の責任をまったく問われずにいます。

人種と宗教も未解決の火だねとして残っています。少数者であるロヒンギャ・ムスリムは長年にわたり政府による抑圧の標的で、最近の選挙では投票権を剥奪されました。130,000人以上が衛生状態の悪い避難民キャンプで生活し、それ以外の110万人は移動の自由などの基本的権利を日々制限されて暮らしています。アウンサンスーチー氏がロヒンギャを支援するそぶりを見せたことはありません。

今週(3月第2週)にジュネーブで行われた国連人権理事会での協議で、EUやその他政府は、新政権が発足してすらいないにもかかわらず、国際的な監視の緩和に前向きな姿勢を示しました。一部の国はビルマを「アイテム4」(深刻な人権問題がある国についての議題カテゴリ)から外し、「アイテム10」(人権侵害への懸念が低く、技術的支援のみを必要とする国向けのカテゴリ)に移行させようとすらしています。

たった一度の選挙と統治からの軍の部分的な撤退によって、状況が一変するというのは希望的観測です。ビルマの人権状況は劣悪なままです。この段階で国際的な監視を緩めるのはタイミングとして誤っています。そうではなく国連人権理事会にとっては、きわめて根深い人権侵害に対処するために新政権と協力することを通して、ビルマの人権状況に全面的に関与する重要な時期なのです。人権侵害的な法律の撤廃、政治囚の無条件釈放とその他数百人への訴追の取り下げ、ロヒンギャへの差別と閉じ込めの停止、文民支配下での真に民主的な政治体制をもたらす憲法改正への行程表の作成などが求められています。国連人権理事会はビルマに対し、人権の促進と保護に関する完全なマンデートを備えた人権高等弁務官事務所のビルマ事務所の速やかな開設に同意するよう求めるべきです。

ビルマ国内の有力勢力がそれぞれの方法で改革を止めようとするでしょう。国連人権理事会と国連加盟国には、改革プロセスが終わるまで自分たちはビルマ国民を支援するとの強力なメッセージを発することが求められているのです。

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