「彼らは私を窒息させようとして頭にビニール袋をかけた。これを3回やられた。…模擬処刑も行われた。…彼らは私にライフル銃を向け、何度も引き金を引いた。」
これは、ミャンマーで数カ月前に反軍政デモに参加したために逮捕され最近解放された被収容者がヒューマン・ライツ・ウォッチに対して説明した、国軍施設での尋問の際にミャンマーの兵士が用いた拷問の手段である。その人はその尋問の前でさえひどい暴力を受けていた。「背骨が折れているように感じられた」とその人は言った。「跪いているところを何度も頭を蹴られた…ひどい出血があった。生きて出てこられるとは本当に思えなかった。」
長らく虐待的だったミャンマーの治安部隊が拷問を行っているという情報が着実に記録に残されるようになっている。10月28日にAP通信が出した暴露記事には、この数カ月で解放された28人の被拘束者が受けた拷問について、被害者、鑑識家、虐待を目撃した国軍離脱者からの情報を含め、信頼でき首尾一貫した証言が盛り込まれている。
ミャンマーの軍政は10月18日、一部の囚人に対する恩赦を発表した。この発表では「抗議活動に参加した」1,316人が恩赦を受け、4,320人の起訴が取り下げられるとのことだった。しかしながら対象者の多くはまだ解放されておらず、解放された中には収容中に受けた虐待についての悲惨な体験を話した人もいる。
解放された複数の女性がミャンマーのメディアに対し、ヤンゴンにある尋問所で模擬処刑や性的暴行などの虐待を受けたことを話した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2月1日に軍事クーデターで民主的に選ばれた政府が倒されて以降、この尋問所やその他の施設で同様のことがあったとする報告を記録した。
軍政に批判的な人の拷問や、広範で組織的な殺害・その他の残虐行為について一貫した報告があることから、ヒューマン・ライツ・ウォッチは2月のクーデター以降の残虐行為が人道に対する罪に相当するとの結論を下すに至っている。
関係各国政府はこの残忍な弾圧を止めるためにミャンマーにさらなる圧力をかけるべきである。残虐行為を監督する国軍指導部にこれまで科されてきた限定的制裁は十分ではない。各国政府は軍政が管理するミャンマー国外の銀行口座への外貨取引を阻止するべきである。これには石油・天然ガス、採鉱、材木事業から軍政が管理する事業体に支払われる何十億ドルもの収入が含まれる。国連安保理は武器禁輸措置をとり、ミャンマーの状況を国際刑事裁判所に付託するべきである。行動しなければ、いっそうの免責とさらなる拷問を招くだけである。