(2020年2月18日、東京)日本政府は対北朝鮮方針を元に戻し、同国での人権状況に関する責任追及の努力を再開するべきだ、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチなど300近くの非政府団体や関係者が安倍晋三首相宛ての書簡で述べた。
日本は2019年、それまで10年以上堅持した方針を変え、国連人権理事会で毎年審議される重要な北朝鮮非難決議案の共同提案を見送ることに決めた。安倍首相は5月、条件を付けずに金正恩朝鮮労働党委員長と会談する用意があると述べた。これは、首脳会談を行う以上は日本人拉致問題の進展がなければならないとしていた以前の方針からの転換だった。
「安倍首相そして日本政府は過去、拉致問題を含む北朝鮮政府による北朝鮮における様々な残虐行為に光を当てて批判する国際的な取り組みをリードしていた」とヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は述べた。「日本政府は、北朝鮮に対する姿勢を軟化させる方針を見直し、北朝鮮の人権侵害を調査し同国政府関係者の責任を問う国際的努力の先頭に再び立つべきだ」。
この共同書簡には、アジア、ラテンアメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカから、300近くの非政府団体を代表する連合組織を含む54の団体と個人が署名した。
日本政府は人権理事会における非難決議の共同提案を見送る決断について十分な説明を行わなかった。ある政府関係者は5月に匿名で朝日新聞に対し、北朝鮮政府は国際社会からの批判に非常に敏感であるため、より融和的なアプローチを取れば外交上の成果が出るかどうか試してみる価値がある、と述べた。
共同書簡は、今年の国連人権理事会での北朝鮮決議を再びリードする立場に戻るよう日本政府に求めている。
「安倍首相が日本人拉致問題を真に解決したいのであれば、人権問題に対する姿勢を軟化するのではなく強化するべきだ」と土井は述べた。「日本政府の弱腰をみて北朝鮮政府は、人権侵害を継続してもなんの代償も伴わないというメッセージとして受けとるだろう」。