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日本:武力行使に人間の制御を維持すべき

新たな禁止条約を作り、キラーロボットの脅威に対処を

© 2012 Russell Christian for Human Rights Watch

(東京)- 日本は、人間の関与なしに標的を選び、攻撃する兵器システムを禁止する声の高まりを支えるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。ヒューマン・ライツ・ウォッチの武器局アドボカシー・ディレクターで、「キラーロボット反対キャンペーン」のグローバル・コーディネーターを務めるメアリー・ウェアハムは、9月7日に赤十字国際委員会(ICRC)が主催し、東京大学で行われる「自律型兵器の発展と人間による制御」に関するシンポジウムでパネリストとして登壇する。

「国際法は機械ではなく人間を対象として定められた。キラーロボットがもたらす深刻な脅威に対処するために国際法を緊急に強化する必要がある」とウェアハムは述べた。「日本は、武力行使に関する有意な人間の制御を維持しなければならないとの発言を行動に移し、志を同じくする政府と力を合わせ、新たな禁止条約の交渉開始を目指すべきである。」

日本は2014年から、完全自律型兵器または「キラーロボット」としても知られる、自律型致死兵器システム(LAWS)に関する国際協議に参加している。同国はLAWSを開発する「計画がない」ことをたびたび明言しており、武力使用に関する有意な人間の制御を維持する必要性を強調してきた。だが新条約の交渉を支持しておらず、完全自律型兵器の禁止をはっきり支持する29カ国の輪には加わっていない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチとキラーロボット反対キャンペーンは、各国に対し、武力行使に有意な人間の制御を必須と定める新条約の交渉(つまり、そうした制御を欠く武器の禁止を実質的には意味する)を開始するよう求めている。標的を選び、攻撃するシステムが、倫理的価値観を揺るがすことなく、つねに有意な人間の制御下におかれるためには、禁止と積極的義務がともに必要だ。

2013年に創設されたキラーロボット反対キャンペーンは、過去1年間でほぼ倍の規模に拡大し、現時点では57カ国113の非政府組織が参加している。日本の難民を助ける会(AAR-Japan)は、同キャンペーンの運営委員を務める。

2019年8月、日本など93カ国等が、自律型致死兵器システム(LAWS)に関する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の政府専門家会合(GGE)の第8回目の会期に出席した。ロシアと米国の度重なる反対により、会議では信頼に足る成果文書の合意には至らなかった。つまり、さらなる外交協議が続き、完全自律型兵器の将来的な登場を防ぐ規制措置はないということだ。

ロシアと米国は、会合の最終報告書が武力行使に関する「人間の制御」の必要性に言及することを重ねて拒否し、ロシアはLAWSの潜在的な脅威をめぐる議論について「実際に生産されるまでは」「時期尚早」だと主張した。しかし一旦生産されてしまうと、使用を防ぐ難しさは一気に増す。米ロは多額の資金を投入し、標的の選択と攻撃という重要な機能に関する人間の制御を抑えた兵器システムを開発している。

キラーロボットが引き起こす、多くの根本的な道徳的、倫理的、法的、運用的、技術的懸念、また拡散や国際的安定性をめぐる懸念などは、減少するどころか増加している。7月9日、欧州安全保障協力機構(OSCE)議員会議は、OSCE加盟57カ国に対して「致死的自律型兵器を禁止する国際交渉への支持」を求める宣言を採択した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、完全自律型兵器が戦争の性質を根本から変えてしまうだろうことを示す証拠は増えている。数千人の科学者と人工知能の専門家、20人を超すノーベル平和賞受賞者宗教指導者やさまざまな宗派の組織160人以上も、キラーロボットの禁止を支持している。2018年、Googleは、兵器に使用する人工知能を開発しないとの誓約を含む一連の倫理原則を公表している。

キラーロボットの禁止を求める29カ国は、アルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、ボリビア、ブラジル、チリ、中国(使用のみ)、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ジブチ、エクアドル、エルサルバドル、エジプト、ガーナ、グアテマラ、ローマ教皇庁、イラク、ヨルダン、メキシコ、モロッコ、ニカラグア、パキスタン、パナマ、ペルー、パレスチナ、ウガンダ、ベネズエラ、ジンバブエである。

「対人地雷禁止条約とクラスター爆弾禁止条約を支持した過去から、日本は、深刻な人道的脅威に対応するために、独立かつ原則的な立場を取ることの価値を理解している」と前出のウェアハムは述べた。「日本はキラーロボットに関する国際交渉の後方に控えるのではなく議論の先頭に立つべきだ。そしてこの不可欠な条約の交渉をリードし積極的に支援すべきである。」

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