(ナイロビ)— 12月10日は世界人権デーであるが、アフリカ諸国政府は児童婚の悲劇の根絶のため、よりよい法律や教育、医療、啓蒙活動に向けて行動を協働させるべきである。サハラ以南のアフリカ諸国では、4割もの少女が18歳未満で結婚する。更に、世界でもっとも高い児童婚率の20カ国のうち15カ国がアフリカ諸国だ。

報告書「アフリカの児童婚廃絶を:教育・健康・暴力なき世界への扉を少女たちに開くとき」(全20ページ)は、児童婚が少女たちに生涯にわたる悪影響を与えているか、様々な人権侵害を受けていることに本人たちが気づく力を奪ってしまっている現実を示したもの。若年での結婚により、少女たちはしばしば学校をやめ、家庭内および性暴力の危険にさらされることになる。また、重大な健康リスクや若すぎる出産・HIV感染による死の確立を高め、貧困に陥れている。

A young, unmarried girl stands amid a herd of cattle outside Bor, the capital of Jonglei State.  Cattle carry significant social, economic, and cultural importance for South Sudan's pastoralist ethnic groups, which use cows for payment of dowry - a key driver of child marriage. Bor Jonglei State, February 2013. 

© 2013 Brent Stirton/Reportage for Human Rights Watch

ヒューマン・ライツ・ウォッチ アフリカの女性の権利局上級調査員のアグネス・オドヒアンボは、「アフリカ各国政府首脳は、児童婚の問題を正しく指摘することは多い。しかし、この悪影響を及ぼす慣習に終止符を打つための政治的なコミットメント、リソース、現場支援などはまだ見受けられない」と指摘する。

国連児童基金(UNICEF)は、もし児童婚の防止で進展がなければ、2050年までに既婚の少女の数は1億2,500万人から倍増超の3億1,000万人にまで上昇すると推計した。2015年9月にアフリカ諸国の首脳はそのほかの国々とともに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を採択。その中には、今後15年で児童婚を廃絶するという目標も含まれている。アフリカ諸国が同意したアフリカ女性と子どもの権利に関する人権条約は、婚姻適齢(結婚が法的に可能な年齢)は18歳以上でなくてはならないと明確に示している。

11月26日・27日に、アフリカ連合が児童婚廃絶に関する第1回アフリカ少女サミットを開催し、児童婚がもたらす少女の人生に対する破滅的な悪影響を指摘したほか、法改正を求め、グッドブラクティス(すぐれた取り組み)の情報共有を行った。そのほか、2014年に始まった児童婚廃絶キャンペーンなど、アフリカ全土にまたがるイニシアチブや、アフリカ連合の児童婚に関する特別報告者の指名、児童婚廃絶のためのアフリカ連合キャンペーンの親善大使の指名など、正しい方向への歩みが踏み出されている。しかし、よりよい協調体制が調えば、さらなる効果が期待できるだろう。

マラウイ南スーダンタンザニアおよびジンバブエでヒューマン・ライツ・ウォッチがこれまで行った調査で、児童婚に関する包括的な国家戦略の不在や、政府機関間の不十分な協力体制が、政府による努力の効果を半減させていることが分かっている。

前出のオドヒアンボ上級調査員は、「児童婚廃絶の万能薬はない」と指摘する。「アフリカ諸国政府は、法改正や、良質な教育へのアクセス、性とリプロダクティブ・ヘルスに関する情報とサービスへのアクセスなどに関し、包括的な改革にコミットすべきだ。」

児童婚の要因は多様だ。家族はしばしば貧困を理由に挙げる。娘を早く結婚させることで、養育あるいは教育の必要な子どもがひとり減るという、経済的なサバイバル手段とみなしているのだ。

アフリカの多くの国には多層的な法制度が存在する。民法、慣習法、宗教法が入り組み、しばしば互いに矛盾している。男女の役割をめぐる伝統的な考え方や女性および少女の従属的立場は、持参金や花嫁代などの多くの文化的な習わしが根底にあり、児童婚が存続する要因になっている。

アフリカの少なくとも20カ国で、婚姻適齢を定める法律や、保護者の同意や司法承認に向けた例外の形で、18歳未満の少女の結婚が容認されている。男女の婚姻適齢を18歳以上と定めている国々でさえ、その執行が十分でないためにほとんど実効性のない状態だ。警察はこれらの問題を扱うための訓練を十分に受けていなかったり、児童婚の阻止を任務と考えていなかったり、保護者の意思に任せてしまったりしている。

教育へのアクセスが不十分なこともまた、児童婚の原因となりうる。学費が高すぎたり、遠方にある、または教育の質が低い場合など、多くの家族は娘の通学をやめさせてしまい、児童婚のリスクが高くなる。水道および衛生施設の不整備が、特に月経が始まった少女の通学率減少の原因になっている場合もある。

前出のオドヒアンボ上級調査員は、「各国政府は婚姻適齢を18歳以上と定め、これが完全に執行されるようにするべきだ。これには警察や婚姻証明書の発行を担当する役場の訓練も必要である」と述べる。「政府の力だけでは変化をもたらすことができない問題であることから、社会・文化規範を形成する影響力のある宗教や地域のリーダーとも協働するべきだ。」

未婚の少女の妊娠や、少女が妊娠するかもしれないという恐れも、児童婚を促進してしまう理由に挙げられる。思春期の未婚・既婚少女たちのためのリプロダクティブ・ヘルスの情報とサービスへのアクセスが限定的なことも、こうした状況を悪化させている。

妊娠・出産に起因する合併症は、15〜19歳の少女の間で世界2番目の死亡原因となっている。そのほかでは分娩時のいきみが原因の産科ろう孔(フィスチュラ)の問題がある。膣と直腸の間に裂け目ができて、常に尿や便が漏れた状態になる。この症状に苦しむ少女たちは通常、家族やコミュニティから疎外されてしまう。児童婚はこうして、少女や若い女性を夫婦間レイプ、性暴力や家庭内暴力、精神的な虐待といったリスクにさらすことになる。

オドヒアンボ上級調査員は、「少女および少年には身体や妊娠、避妊、そして健全な関係についての情報が必要だ」と述べる。「思春期の性の問題はタブーな話題ととらえられがちだが、若者に情報やサービスへのアクセスを与えることこそ、児童婚や性別に基づいた暴力に対する闘いに欠かせないものなのだ。」

Selected testimonies from Human Rights Watch research:
“I faced a lot of problems in marriage. I was young and did not know how to be a wife. I was pregnant, had to look after my husband, do housework, deal with in-laws, and work on the farm. My worst time was when I was pregnant; I had to do all this and deal with a pregnancy while I was just a child myself.”
–Elina V., 19, married at age 15 to a 24-year-old man; Mangochi district, Malawi; September 2013

“This man went to my uncles and paid a dowry of 80 cows. I resisted the marriage. They threatened me. They said, ‘If you want your siblings to be taken care of, you will marry this man.’ I said he is too old for me. They said, ‘You will marry this old man whether you like it or not because he has given us something to eat.’”
–Aguet N., married at age 15 to a 75-year-old man; South Sudan

“I got complications during delivery. I was unable to push and I was weak with no energy. The nurses said I was getting complications because my body was not fully developed. To pull out the baby, the nurses forced their hands inside my body and pulled the baby out. I felt so much pain that I was not able to walk for a whole month after delivery.”
–Aisha S., married at age 17; Kahama, Tanzania; April 2014

“After me he married two more wives. His other wives did not want me – they chased me away but when I tried to go back to my family my aunt and mother also turned me away saying they had already accepted lobola (bride price) from him. He used to beat me and shout at me. He refused to let me continue with school. After two years of marriage, life was so difficult for me that I tried to kill myself by drinking rat poison. I was in hospital for one week after which my family finally took me back. Child marriage ruined my life. Now I do not work and cannot find a job because I stopped going to school.”
–Confidence S., 22, married at age 14 to a 42-year-old man; Zimbabwe