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ロシア、米国、リビア、チャドの人権活動家が受賞

2013年アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞の受賞者、発表される

(ニューヨーク)-たゆまぬ活動を続ける勇敢な人権活動家4人に、2013年の名誉ある「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞」を授与する予定であると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、発表した。

リビアのハッサン・アルアミン氏、米国のアリーナ・ディアズ女史、チャドのジャクリーヌ・ムーデイナ女史、ロシアのナタリア・タウビナ女史は、それぞれの国で人びとの人権と尊厳を守るために絶え間なく活動し、社会正義の実現に向けて指導者的役割を果たしている。4人は、昨年の同賞受賞者2人と共に2013年11月に世界各国12都市、さらに2014年3月と4月に9都市で開催される、ヒューマン・ライツ・ウォッチ「Voices for Justice」アニュアル・ディナーで表彰される予定だ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表のケネス・ロスは「受賞者である人権活動家の皆さんは、危険で困難な状況下で、世界で最も弱い立場にある人びとのために、毅然と行動してきた」と述べる。「紛争や暴力が荒れ狂う移行期の最中にあっても勇気と粘り強さが変化をもたらせることを、受賞者の皆さんは示してくれている。」

この賞はアリソン・デ・フォージュ博士にちなんで命名された。博士は約20年にわたってヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局のシニア・アドバイザーを務めていたが、2009年2月12日にニューヨークでの飛行機事故により非業の死を遂げた。デ・フォージュ博士はルワンダの人権状況、そして同国でおきた1994年の大虐殺およびその後の情勢に関する世界的な権威だった。ヒューマン・ライツ・ウォッチが毎年授与するこの賞は、人権活動へのデ・フォージュ博士の傑出した尽力に敬意を表すと共に、人権侵害や差別、弾圧のない世界を目指し、その実現に命をかける個人たちの勇気を称えるものだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの2013年「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞」の受賞者は以下の通り。

 

  • ナタリア・タウビナ女史はロシア人活動家で、警察による人権侵害の被害者を保護すると共に、法執行期間に透明性を求める活動をしている。タウビナ女史は、警察による拷問と汚職、実効的な捜査の欠如、ロシア法執行機関による不法行為などの被害者に無料法律相談とリハビリ支援を提供する機関である「パブリック・バーディクト(民衆審判)」を運営している。
  • アリーナ・ディアズ女史は、米国における女性の農業労働者の権利促進のために活動する、アリアンザ・ナシオナル・デ・カンペシーナ(全国女性農民労働者同盟)の副代表であり同団体の創立メンバーの1人だ。ディアズ女史は政策立案者と市民に対し、女性農業労働者が直面している危険について、情報を提供している。
  • ハッサン・アルアミン氏は、活動家および独立系ウェブサイトのリビア・アルムスタクバル(Libya al-Mostakbal)の創立者として、人権侵害を明らかにすると共に民主主義を促進するべく、30年にわたり活動してきた。カダフィ政権への民衆蜂起であるアラブの春では、アルアミン氏は一般市民への人権侵害を取りまとめた。彼は、暫定議会の議員を務め、その後にウェブサイトを復活させた。
  • ジャクリーヌ・ムーデイナ女史は弁護士で、現在セネガルで政治的殺人・組織的拷問・「民族浄化」の各容疑で裁判を受けているチャドの元独裁者イッセン・ハブレを裁判にかけるための活動のリーダーである。

 

タウビナ氏とディアズ氏は、シリコンバレー、サンフランシスコ、サンタバーバラ、ロサンゼルスで、アルアミン氏はシカゴとトロントで、ムーデイナ氏はパリとジュネーブで、各々開かれるディナーにて、その栄誉を称えられる見込みだ。

2012年の同賞受賞者で今年、北米と欧州を回るのは以下の2人である。

 

  • アベ・ブノワ・キナルグ氏はコンゴ人聖職者で、反政府武装勢力「神の抵抗軍」が犯した人権侵害を暴き、被害者の社会復帰に向け活動する「正義と平和を求めるダング=ドルマ教区委員会」の委員長を務める。ロンドン、ミュンヘン、アムステルダムを回る。
  • コンスエロ・モラレス氏はメキシコの「麻薬戦争」での人権侵害を明らかにした「人権支持市民の会」(本拠地モンテレー)の事務局長を務める。ニューヨークに赴く。

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチのスタッフは、世界90カ国以上で行っている調査の一環として、人権活動家たちと密接に協力し合いながら活動している。今回の受賞者となった人権活動家たちは、アムステルダム、ベイルート、ベルリン、ブリュッセル、シカゴ、フランクフルト、ジュネーブ、クウェイト市、ロンドン、ロサンゼルス、ミュンヘン、ニューヨーク、オスロ、パリ、サンフランシスコ、サンタバーバラ、シリコンバレー、シドニー、東京、トロント、チューリッヒで開催される「2013/2014・ヒューマン・ライツ・ウォッチ・Voices for Justice・アニュアル・ディナー」で、その栄誉を称えられる見込みだ。

アリーナ・ディアズ氏、米国出身

アリーナ・ディアズ女史は、米国における女性農業労働者の権利促進に向けて活動する、アリアンザ・ナシオナル・デ・カンペシーナ(全国女性農民労働者同盟)の副代表であり同団体の創立メンバーの1人。数十万人の女性と少女が、日常的に労働現場での性的暴力とセクハラに遭う高い危険に晒されている。ディアズ女史はその活動を、コミュニティーの福祉教育者として移民コミュニティーを訪問し、家庭内暴力・性的人権侵害・他の虐待を告発する権利について認識を高めることで始めた。同同盟の副代表としてディアズ女史は、女性農業労働者の意見を国レベルで聞いてもらえるよう支援し、そこで女性が直面している危険について、政策立案者と一般市民政策立案者に情報を提供する活動をしている。米国における農業労働者への酷い人権侵害の根絶に向けて献身したディアズ女史の活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表しその功績を称えるものである。

ハッサン・アルアミン氏、リビア出身

ハッサン・アルアミン氏は、リビアでの人権侵害を明らかにすると共に、民主主義を促進するべく、30年にわたり活動してきた。1983年にカダフィ政権の治安部隊によって逮捕・暴行された後、氏は英国に逃れ、そこで独立系ウェブサイトの「リビア・アルモスタクバル」を設立し、亡命リビア人反体制派として最も活動的な人物となった。カダフィ政権に対する蜂起「アラブの春」の際の2011年、アルアミン氏は当時政府軍に包囲されていた故郷ミスラタに戻り、人権侵害を取りまとめた。カダフィ政権崩壊後、氏は暫定議会議員に選出され、人権・市民社会委員会の委員長として、恣意的逮捕と囚人への拷問を調査すると共に、武装解除を拒否していた有力な反カダフィ派民兵組織を批判。2013年3月に民兵組織から殺害脅迫を受け、アルアミン氏は議員の職を辞してロンドンに戻り、そこで「リビア・アルモスタクバル」を再開した。リビアでの人権侵害を明らかにすると共に人権保護に向けて献身したアルアミン氏の活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表しその功績を称えるものである。

ナタリア・タウビナ女史、ロシア出身

ロシア人活動家のナタリア・タウビナ女史は、警察による人権侵害の被害者を保護すると共に、法執行機関に透明性をもたらす活動をしている。タウビナ女史のリーダシップの下、「パブリック・バーディクト(民衆審判)」は成功裏に改革要求活動を行い、説明責任を向上させた。2012年にブラディミール・プーチン氏が、ロシア大統領に返り咲いて以降に行われるようになった市民社会への厳しい弾圧を、タウビナ女史は先頭に立って批判してきた。女史の批判に対応して当局は、「パブリック・バーディクト」を閉鎖しようとしてきており、同団体は現在法廷闘争中。ロシアでの警察による人権侵害の被害者を守り、社会正義実現に向けて献身したタウビナ女史の活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表しその功績を称えるものである。

ジャクリーヌ・ムーデイナ女史、チャド出身

ジャクリーヌ・ムーデイナ女史は、セネガルに亡命中のチャド元独裁者、イッセン・ハブレの残虐な犯罪の責任を追求し、チャドのハブレ被害者にとっての社会正義を達成する活動のリーダー。2001年の暗殺未遂事件で負傷したにも拘らず、ムーデイナ女史はハブレ起訴を求め続け、今年初めに重要な勝利を得た。セネガルの特別法廷が元独裁者を、「人道に対する罪」・戦争犯罪・拷問罪の各容疑で起訴すると共に、拘留したのである。チャドのハブレ被害者にとっての社会正義達成と、人権保護に向けて献身したムーデイナ女史の活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表しその功績を称えるものである。

アベ・ブノワ・キナルグ氏、コンゴ民主共和国出身

アベ・ブノワ・キナルグ氏は、反乱軍である「神の抵抗軍(以下LRA)」が行った人権侵害を暴露すると共に、その被害者の社会復帰に向けた活動をしている。LRAは子どもを含む一般市民を殺害・レイプ・拉致し、アフリカ中央部の一般市民を恐怖のどん底に陥れている。キナルグ氏は、LRAの仕業と思われる事件を、ラジオを通して報じる、「早期警戒ネットワーク」の設立を支援すると共に、LRAの手から逃げた被害者に向けた社会復帰プログラムに関しても活動している。氏はまた、LRAの指揮官たちを裁判にかけるよう国際社会に強く求める、指導的役割を精力的に果たしている。一般市民を守り、LRAによる脅威を終わらせようとして献身したキナルグ氏の活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表しその功績を称えるものである。

コンスエロ・モラレス氏、メキシコ出身

コンスエロ・モラレス氏はメキシコで人権侵害犠牲者を保護し人権侵害を行った者の責任を問う活動を続けている。治安部隊は民間人に拷問・レイプ・「強制失踪」などの人権侵害を広く行っているが、それらの犯罪は事実上全く捜査されたことがない。脅迫が続く中、モラレス氏の団体はヌエボ・レオン州で、それらの人権侵害を取りまとめ、主な事件で訴訟を起こし、治安部隊と暴力を振るう麻薬組織の双方の犠牲者にとって、極めて重要な支援を提供するなどの活動を率いて来た。メキシコでの人権侵害の犠牲者を支援し、不処罰問題を終わらせようとするモラレス氏の勇気ある活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表しその功績を称えるものである。

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