(バンコク)-カンボジアの薬物使用者たちは、拷問、虐待、性暴力などの残虐行為が横行する収容所に恣意的に拘禁されている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表したレポートで述べた。カンボジアの麻薬使用者用の強制収容センターでは、本来の目的は「リハビリ」であるにも拘わらず、電気ショックや電線による鞭打ちなどの虐待、強制労働や厳しい軍事訓練などが横行している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが発表した93ページの報告書「薬物使用者に対する虐待:カンボジアで横行する違法逮捕、恣意的拘禁、拷問の実態」には、センターに収容されている人びとに対する暴行、強姦、強制的な献血、体罰などの実態が取りまとめられている。たとえば、体罰として「タルのように転がす」とか、炎天下で鎖に繋いで立たせるなどの、激しい苦痛を伴う体罰が行なわれている。また、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、被収容者の多くが、腐った食物や虫のたかった食べ物しか与えられず、栄養不足に起因する病気の症状を訴えている、と報告している。

「こうした施設に収容されている人びとは、治療もリハビリも受けていない。違法に収容され、たびたび拷問されている。」とヒューマン・ライツ・ウォッチの保健と人権局長ジョセフ・エイモンは言う。「改善ではとても追いつかない。施設を閉鎖すべきだ。」

本報告書は、令状なしでの逮捕や合理的理由のない恣意的逮捕が横行している実態をとりまとめた。逮捕は、肉親の要請や、警察が「望ましくない」とする人びとを一斉検挙する際に行なわれている。嘘の逮捕理由を告げられたり、逮捕理由を全く告知されない例も多数あった。逮捕後も、警察で弁護士と接見することはできないし、その後、麻薬センターに移送されてからも、弁護士に接見することはできない。

こうした薬物使用者用の強制収容センターは、憲兵隊や文民警察部隊など様々な政府機関によって運営されている。こうした施設で最も頻繁に使われている薬物依存「治療」方法は、軍事訓練、運動による発汗、労働である。一部の施設では、こうした「職業訓練」事業は、被収容者のためではなく、施設職員の利益のために行なわれているとみられる。

また、こうした施設に収容されている人のなかには、未成年の子どもや精神疾患を抱えた人も多い。本報告書は、こうした人びとの実態についても詳述。未成年の子どもや精神疾患を抱えた人びとも、上述のような虐待にさらされている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、カンボジア政府に、麻薬収容センターを閉鎖し、同施設内で起きた拷問・虐待・恣意的収容などの虐待行為に対する徹底的な調査を行うよう求めた。国際法上もカンボジアの憲法上も、カンボジア政府は、拷問及び非人道的な取扱いを行なうことを禁止されている。

「カンボジア政府は、麻薬強制センターで起きている拷問を止める義務がある」とエイモンは語る。「人権を尊重し、かつ、国際的な基準に沿った任意の地域密着型の外来治療を拡充することで、薬物依存の治療は十分に可能である。」

「薬物使用者に対する虐待:カンボジアで横行する違法逮捕、恣意的拘禁、拷問の実態」に収録されている証言の抜粋

「これはリハビリセンターじゃなくて拷問センターだと思う。」-カカダ、元収容者

「[職員は]みんなを殴るのに、電線を鞭として使っていた。・・・鞭には、人の皮膚がはがれてくっついてた」-Choam Chaoにある社会省「青少年リハビリセンター」内でムチ打ちを目撃したムノー(16歳)の話

「[逮捕された後]警察は私の身体検査をして、金を奪い、ヤクも取り上げた。・・・『金がないなら、俺と一緒に遠出しないか?』と言って・・・[警察は] 私をゲストハウスに車で連れていった。・・・どうやったらセックスを拒否できる?あんただって絶対そうするしかないわよ。警官は2人いた。それぞれと1回づつ[セックスをしたわ。]済んだら家に帰してくれた。」-ミネア(20歳代半ば)。警官2名にレイプされた様子を説明して

「[到着直後に]殴り倒された。収容されていた他の連中がオレを殴ったんだ。・・・やつらは毛布でオレをくるみ、それから暴行した。顔・胸・わき腹を殴られた。どのくらい続いたのか分からない。職員が連中に、オレを殴るように命令したんだ。その職員は『新入りのニワトリの到着だ。羽をむしって食っちまおうぜ!』と言ったんだ。」-デュオンチェム、元収容者