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中国:人権侵害に対する前例のない抗議行動が全土で発生

新型コロナウイルス感染症が蔓延し、経済的な課題が持ち上がるなか、習国家主席は権力を強化

Hundreds of people demonstrate against Chinese President Xi Jinping's “zero-Covid” policy at Liangmaqiao district in Beijing, November 27, 2022. © 2022 Yomiuri Shimbun via AP Images

(ジャカルタ)- 2022年後半、中国全土の人びとは街頭に出て、政府の強権的な新型コロナウイルス感染症対策に平和的に抗議するとともに、自由と人権を求めたと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した『世界人権年鑑2023』で述べた。

2022年10月、習近平国家主席は与党・中国共産党の総書記として、前例のない3期目の続投を成功させ、権力を強化した。中国当局は昨年1年を通して、いわゆる「ゼロコロナ」政策の下、何億もの人びとに不意打ちのロックダウンを何度も強いたため、人びとは医療や食料、その他の必需品へのアクセスが難しくなった。

「中国全土で、人びとは並外れた危険を冒しながら、みずからの人権のために公然と抗議行動を行った」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国担当局長ソフィー・リチャードソンは述べた。「各国政府は、言論の自由と平和的な抗議の権利を支持し、国内外での人権侵害について中国政府の責任を追及すべきである」。

今年で33年目を迎える『世界人権年鑑=ワールドリポート2023』(全712頁)で、ヒューマン・ライツ・ウォッチは約百ヵ国の人権状況を検証している。その序文ティラナ・ハッサン代表代行は、権力が移動した世界では、一握りのグローバルノースの政府をあてにして人権擁護を実現することは、もはや不可能なのだと指摘した。ロシアによるウクライナ戦争をめぐる世界の動きは、各国政府がグローバルな規模で人権擁護の義務を再認識したときに実現されるたぐいまれな力を思い起こさせるものだった。大小を問わず、それぞれの国が自国の政策に人権枠組みを適用し、人権の保護と促進のために力を合わせて取り組む責任を果たすべきなのである。

昨年1年を通し、中国政府は不均衡かつ強硬な新型コロナウイルス感染症対策を続け、全国で人びとを突発的かつ長期的なロックダウン状態においた。食料や医療が入手しにくくなったとの声がいくつも報じられており、死に至る事例もあった。また、脆弱な人びとが食料、医薬品、その他の必需品を入手できなくなったとの報告がいくつもあった。ネットで拡散された動画には、警察官や新型コロナウイルス感染症取締担当職員が、新型コロナウイルス感染症の規制に抵抗する人びとを殴ったり引きずったりしている様子が映っていた。

中国内外で起きた抗議行動では、人びとは新型コロナウイルス感染症対策に伴う中国政府の人権侵害、経済的困難、検閲、習主席の権力拡大に抗議した。10月、北京では、ある男性が橋の上に2本の横断幕を掲げ、習近平を罷免せよと訴えた。11月、広州では住民数百人が街頭に出て、人権侵害をもたらすロックダウンの命令に抗議し、バリケードを破壊した。ロックダウン下の新疆ウイグル自治区で発生したマンション火災では、少なくとも10人が死亡した。この事件をきっかけに、11月から上海、北京など多くの都市で抗議デモが発生した。

中国政府は、人権侵害を行ってきた元警察官の李家超(ジョン・リー)を香港特別行政区行政長官に任命した。香港政府当局は根拠なしにジャーナリストを扇動罪で起訴し、平和的な抗議者を厳格な国家安全法に違反したという疑いで逮捕した。香港では多くの人びとが1989年の天安門虐殺の追悼行事を続け、禁止されているプロテストソング「香港に栄光あれ(願栄光帰香港、Glory to Hong Kong )」を堂々と唱和した。

中国政府はチベット人への弾圧を強化し、DNAサンプルの強制収集キャンペーンを拡大した。3月にはチベット人歌手ツェワン・ノルブ氏が抗議の意を示して焼身自殺した。

6月、米国では「ウイグル強制労働防止法」が施行された。これにより、新疆ウイグル自治区産の産品は強制労働で作られたものと推定され、輸入が禁止された。8月には、当時の国連人権高等弁務官が新疆ウイグル自治区に関する報告書を発表し、同自治区での人権侵害は 「人道に対する罪を構成する可能性がある」と結論づけた。

国際社会は、人権侵害をめぐる中国政府への圧力を強めた。8カ国が2022年中国冬季五輪大会での外交ボイコットを実施した。欧州連合(EU)は、新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由の1つとして、企業の人権デューデリジェンスのグローバル・スタンダードを確立するための法案を提出した。

中国政府はロシアのウクライナでの戦争犯罪を非難せず、外交官は国連の人権機構を攻撃した。また、中国領事館職員が英国で香港の民主化運動参加者を暴行したことは、各国による大きな批判を招いた。

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