(ベルリン)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは11月20日の「世界こどもの日」にあわせ、教育機関の軍事利用が世界中の子どもたちに危険と悪影響を及ぼしている実態を明らかにするビデオを6カ国語(日本語含む)で発表した。すべての政府軍と武装集団は、紛争下で学校を軍事利用するのをきっぱりやめるべきである。

紛争中の国々のほとんどで、政府軍や武装集団が学校を軍事利用している。その結果、子どもたちの身の安全と教育を受ける権利がひどく侵されている。軍は学校を兵舎や拘禁尋問施設、軍事訓練基地、武器弾薬貯蔵所、作戦本部などに変えてしまう。多くの場合軍は学校の一部を接収するので、勉学を続けようとする生徒たちは大きな危険に直面することになる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ子どもの権利局局長代理のビード・シェパードは、「本来学校には生徒がいるべきだ。兵士がいるべきではない」と述べる。「武装した軍隊が学校を接収すれば、子どもたちの身の安全と教育そのものを砲火にさらしてしまう。」

子どもや教師が死傷し、学校施設は損壊、あるいは破壊されている。対立勢力の学校利用を理由に軍隊が攻撃をしかけるからだ。ほかに長期の学校閉鎖や出席率・入学率の低下、生徒・教師・共同体の心理的ダメージといった弊害もある。学校の軍事利用はとりわけ、女子教育に悪影響を及ぼす。女生徒たちは武装部隊からの性的嫌がらせなどの危険があるからだ。

 

2005年から2012年の間に、アフリカアジア欧州中東南米で紛争下にある24の国々で、武装軍隊あるいは武装集団が教育機関を軍事利用した。

本ビデオにはヒューマン・ライツ・ウォッチ調査陣が調査中に収集した写真や映像、ならびにマグナム・フォトとゲッティ・イメージズ所属写真家の協力による写真や映像が含まれている。

また、パキスタンで女子教育を推進した結果タリバンに銃撃された少女、マララ・ユサフザイさんの記録映像もあり、彼女の父がかつて責任者をつとめていた学校を訪ねる様子もこのビデオでみることができる。この訪問の際マララさんの家族は、タリバン支配下のスワート渓谷から避難していた間に、学校がパキスタン政府軍に占領・軍事利用されていたことを知った。

学校に軍隊はいらない、と支援の声をあげようと望む生徒や教育者の方々向けに、ウェブサイトEMUScampaign.org(日本語:https://www.facebook.com/GakkoniGuntaihaIranai)で支持を表明する顔写真を募集している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは現在、学校や大学を軍事利用から守るための国際的ガイドライン(日本語:http://protectingeducation.org/sites/default/files/documents/draft_lucens_guidelines_jp.pdf)を新たに策定すべく、国連諸機関・団体の連合体である「教育を攻撃から守る世界連合」(GCPEA)や専門家陣、各国政府と協同中だ。

すべての国には当ガイドラインの策定過程を支援するとともに、2014年半ばにガイドラインが完成したあかつきには当ガイドラインへの支持を表明してほしい。また世界各国政府には、教育機関を保護し、当ガイドラインを軍事規律・手引・研修に取り入れるため、国内法を制定したり方針を示したりすることも求められる。

前出のシェパード局長代理は、「各国は、来年の世界こどもの日までに自国軍による学校の軍事利用を禁ずるべきだ」と述べる。「今こそ、学校をふたたび軍隊から子どもたちの手に戻すべく、一歩を踏み出すべきなのだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチとGCPEA作成の本ビデオは、日本語英語オランダ語フランス語ドイツ語スペイン語で視聴可能となっている。