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ビルマ:ムスリムと仏教徒のコミュニティで衝突 保護必要

外国メディアと援助関係者の迅速な立ち入り 認めよ

 

(ニューヨーク)- ビルマ西部アラカン(ラカイン)州では仏教徒とムスリムの間で暴力的な衝突が起き、複数の死者(人数不明)が発生している。危険にさらされているコミュニティを守るため、ビルマ政府は必要なあらゆる処置をとるべきだ、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。政府のこれまでの措置は、アラカン人仏教徒とロヒンギャ・ムスリム間の暴力を停止させ、責任者を訴追するには不十分だ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは同国政府に対し、外国メディア、援助関係者、外交官の迅速なアクセスを許可するよう強く求めた。ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレイン・ピアソンは「死者を出したアラカン州の暴力的衝突は、政府の統制が効かないほどに悪化している」と指摘。「独立した国外のオブザーバーに対しこの地域への立ち入りを許可すれば、衝突のすべての当事者に対し、自らが厳重な監視下にあることを告げるシグナルになる。」

ビルマ西部アラカン州で暴力事件が発生したのは2012年6月3日のこと。アラカン族仏教徒約300人がムスリムを乗せたバスを襲撃し、乗客10人を殺害した。未成年のアラカン女性が5月下旬、ロヒンギャの容疑者3人によって強かん後に殺害されたとの情報があり、怒りに満ちた群衆はこれに反応していた。襲撃時に容疑者3人の身柄は警察にあったとされる。衝突は同州最大の都市シットウェーまで広がり、ロヒンギャの群衆はアラカン族の家や商店に放火した。軍隊の発砲によりロヒンギャ側に死者が出たと伝えられる。ロヒンギャとアラカンの群衆は棒や刀で武装し、多数の死者を出す暴力事件を起こしていると伝えられている。
ビルマ政府は6月7日、今回の衝突を調査すると発表。しかし事態の激化を受け、テインセイン大統領は6月10日にこの地域に非常事態宣言を出し、国軍の完全な管理下に置いた。

ロヒンギャは過去数十年にわたり、超法規的処刑、強制労働、土地の強制収用、移動の自由の制限などビルマ国軍による人権侵害を絶えず受けてきた。アラカン人もまた国軍による人権侵害を受けている。治安回復に国軍を用いることは、恣意的逮捕や強制失踪、拷問を発生させる危険があると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

「ビルマ国軍はこれまでアラカン州で深刻な人権侵害を行ってきた。今回、国軍に法の執行を委ねることで事態がより悪化しかねない」と前出のピアソンは懸念する。「ビルマ政府は危険にさらされているコミュニティを保護しなければならないが、国際的なプレゼンスがまったくない状態で実施すれば、保護自体が実現しない可能性もある。」

安全が確保された上で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの国際機関がアラカン州の現場に展開し、可能な限りの支援と保護を提供するべきだ。

これまで数十年間、ロヒンギャは軍事政権による暴力的な国家建設策の矢面に立たされてきた。ロヒンギャはビルマ国籍が正式には認められておらず、直近の国勢調査(1983年)からも除外されている。ビルマ国内では、ロヒンギャを「ベンガル人」つまりバングラデシュ国籍者と見なすことが多い。1960年代以降、ロヒンギャの国外追放を意図した軍事作戦がビルマ政府により何度も行われ、人権侵害が繰り返し発生してきた。ビルマ国内のロヒンギャの人口は約80万人。隣国バングラデシュには20万人が暮らすが、うち3万人が環境の劣悪な難民キャンプで生活する。

「ビルマ政府の迫害政策がロヒンギャへの敵意を増幅させてきた」とピアソンは指摘する。「長期的に言えば、ロヒンギャに対する長年の差別と放置という状況を解決し、人権侵害の責任を明らかにするメカニズムを実施し、ロヒンギャに他のビルマ国民と同等の権利を保障するため、どうすべきかをビルマ政府は考えるべきだ。」

現在のアラカン州での暴力的衝突が示すのは、民主化に向けた最近の動きの一方で、ビルマの人権状況改善のためにはいまだ多くの課題があるという事実である、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。民族的少数者が居住する地域の多くが、改革プロセスの恩恵をほとんど受けていない。外国メディアと援助関係者も、ビルマの大部分で、未だにアクセスが制限されている。
米国、日本、オーストラリア、EU諸国などビルマに影響力を持つ政府は、改革プロセスが緒に就いたばかりの段階で影響力の行使をすべて止めるのではなく、国軍を完全な文民統制下に置き、法の支配の構築を行うよう、ビルマ政府への強い働きかけを引き続き行うべきだ。

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