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日本:トルクメニスタンに、人権保護に向けた強い働きかけを

トルクメニスタン大統領の訪日は人権改善に向けた改革を働きかける重要なチャンス

(東京)-中央アジア・トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領がまもなく来日する。日本政府は、この訪日において、トルクメニスタンの悲惨な人権状況について懸念を表明するとともに、具体的な改革に向けた働きかけを行なうべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。ベルドイムハメドフ大統領は2009年12月16日から3日間、日本を公式訪問する予定で、鳩山首相や天皇陛下との会見などが予定されている。

トルクメニスタンの刑務所には、多くの政治囚(但し、正確な数は不明)が投獄されているほか、表現の自由、集会の自由、移動の自由、宗教の自由が、極端に厳しく制限されたまま。独立した市民社会やメディアは、仮に存在したとしても、オープンに活動することはできない。政府の政策に疑問を投げかける者には、政府は、どんなに控えめな疑問であろうと、脅迫や嫌がらせ、逮捕で応じている。

「ビルマや北朝鮮と並び、トルクメニスタン政府は、世界で最も弾圧的な政府の1つである」とヒューマン・ライツ・ウォッチの欧州・中央アジア局長ホリー・カートナーは述べた。「今回のトルクメニスタン大統領の訪日では、ビジネス案件や援助などが話し合われるとみられ、日本政府の立場は強い。日本政府は、日本とトルクメニスタンの良好な二国間関係のためには、人権保護に向けた改革が不可欠だと明確に伝える必要がある。」

今回の訪問は、前政権下の8月に発表された。以来、日本とトルクメニスタンのビジネス界のリーダーたちが、ガス・石油関連の案件などを含む経済的結びつきをより強化するための議論を行なってきたことが伝えられている。大統領来日中には、投資や具体的案件などについての二国間の経済会議の開催が予定されているほか、日本政府は、トルクメニスタンに対する経済援助の強化を発表すると見られる。

日本政府のODA大綱には、援助実施の決定の際、開発途上国の人権状況を考慮するという原則が明らかにされている。一方、日本政府がこれまでに援助実施の決定でこの原則を適用したと明らかにしたのは、ビルマとジンバブエだけとなっている。

この夏、トルクメニスタン政府は、新たな渡航制限を課し、学生たちが外国の私立大学に留学するために出国することを認めない方針をとった。この渡航制限は、ヒューマン・ライツ・ウォッチが日本の指導者に提起するよう強く求める事項のひとつである。

「トルクメニスタン大統領が自由に日本を旅行する一方で、数百名の学生たちが、自国に閉じ込められ、自らの選択した教育を受ける権利を恣意的に奪われている」とカートナーは語った。「日本の指導者たちは、こうしたひどい制限を撤廃するとともに、人権侵害を解決するために直ちに措置を講ずるべきであると、トルクメニスタン大統領に働きかけるべきである。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、日本政府に対し、トルクメニスタン政府に以下に掲げる具体的な改革を働きかけるべきであると求めた。

  • 人権活動家アンナクルバン・アマンクリチェフ(Annakurban Amanklychev)とサパルダルディ・カージエフ(Sapardurdy Khajiev)、そして反体制派グルジェルディ・アンナニアゾフ(Gulgeldy Annaniazov)など、政治的理由で投獄されている全ての政治囚を釈放すること
  • 政治的理由で訴追が行われた事件を、透明性のある手続きで全国的に洗い出し、もって、政治囚の正確な数を明らかにするとともに、被害者たちに対する補償を行なうこと
  • 活動家や反体制派の親族などに課された渡航制限を取消すとともに、トルクメニスタンへの出入国を恣意的に制限することを可能にしている現在のシステムを廃止すること
  • 活動家や市民団体、ジャーナリストが、迫害のおそれなく自由に活動できるようにすること
  • 人権機関に対し、トルクメニスタンへの入国を認め、拘禁施設を含む全国へのアクセスを認めるとともに、トルクメニスタン訪問を要請しているすべての国連調査官の入国を受け入れること

背景

トルクメニスタンでは、膨大な数の悲惨な人権侵害が起きてきた。トルクメニスタンを21年間支配し、終身大統領を自ら宣言していたサパルムラト・ニヤゾフ大統領(Saparmurat Niazov)の死亡にともない、2006年12月、ベルドイムハメドフ大統領は同国大統領となった。大統領就任当初の一年で、ベルドイムハメドフ大統領は、ニヤゾフ大統領の行なった政策のうち最も問題の大きかった政策のいくつかについてこれを廃止。しかし、こうした政策変更も、真の人権状況の改善をもたらすことはなかった。

数百名、おそらくはもっと多数の人びとが、政治的動機に基づくと見られる容疑で、トルクメニスタンの刑務所に投獄中である。非公開裁判や中立独立な人権監視がないなど、トルクメニスタンの司法制度に透明性が欠如していることから、正確な政治囚の数を推測することは不可能であるほか、囚人たちにかけられた容疑が正当なのかについて分析評価することも不可能である。

投獄中であることがわかっている著名な政治囚には、人権活動家アンナクルバン・アマンクリチェフとサパルダルディ・カージエフなどがいる。両名は、亡命トルクメニスタン人からなる人権団体に属しており、2006年、弾薬所持という仕立てられた犯罪の濡れ衣をきせられ、7年の刑を宣告された。もう1人の著名な政治囚として、反体制派グルジェルディ・アンナニアゾフがいる。彼は、以前にも政治囚として投獄されたことがある。2008年6月、難民認定されていたノルウェーから帰国したところ、その翌日に逮捕され、2008年10月に11年の刑に処された。

トルクメニスタンは、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの独立した人権組織に対して門戸を閉じたままであり、ヒューマン・ライツ・ウォッチはこの10年間、同国への訪問が出来ていない。2008年9月、国連の特別報告者として初めて、宗教の自由に関する特別報告者が同国を訪問。しかし、訪問を要請しているその他の9名の国連人権専門家の調査に対しては、すでに随分前から訪問を要請しているにも拘らず、トルクメニスタン政府は招待を拒否し続けている。

トルクメニスタンは、豊富な天然ガス埋蔵量を誇る。そのため、米国や欧州連合など多くの関係国や機関が、トルクメニスタンとの関係強化にむけて活発に動いている。

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