Internally displaced people (IDPs) stand near temporary structures in the Arunachalam camp at Manik Farm in northern Sri Lanka on August 19, 2009.

© 2009 Reuters

(ニューヨーク)-スリランカ政府は、キャンプに強制的に収容中の国内避難民(当初数27万3千人)のうち、今年の年末までに帰還させる目標は10万人と発言し始めた。スリランカ政府は今年5月、2009年末までに国内避難民の80%を解放すると発表しており、今回の新しい目標は、収容所に拘束中の人びとと国際社会への約束を破るものである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

今年5月に内戦が終結して以来、政府は僅か2万7千人しか解放しておらず、いまだに24万5千人の民間人がキャンプで拘束されたまま。

「もういいかげんに十分だ」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは述べた。「強制収容所の民間人を解放するはずだった時はとうに過ぎた。各国政府は、スリランカ政府に対し、これ以上約束を破るのは受け入れられない、と伝えるべきである。」

内戦で避難民となったタミル人から自由を奪うなど、スリランカ政府のタミル人被災者に対する対応は、国際的な批判をよんでいる。政府は、これに対し、速やかな帰還(スリランカ政府は「再定住」と呼ぶ)を約束して、批判をかわしてきた。国内避難民となったタミル人被災者たちは、強制収容キャンプ(政府は「福祉村」と呼ぶ)に拘束されている。このようにして、自由への権利の侵害をしたり、移動の自由の剥奪をすることは、国際法に違反する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、故郷が安全ではないことから直ちに帰郷できないような場合であっても、キャンプ内のすべての人にキャンプから去る自由を与えるべきだと、繰り替えし求めてきた。避難民のほとんどは、キャンプの外の親戚や受入れ家族とともに生活することが可能であるし、どこにも行く当てのない人びとは、キャンプに留まることを選んでもよい。しかし、キャンプに残るというのは、あくまで自主的な選択であるべきである。そうすれば、キャンプの過密状態は緩和され、人びとの生活状況は改善されるだろう。国連や米国、EU、インドの各政府は、スリランカ政府に対し、キャンプに拘束している民間人を可能な限り速やかに解放するよう求めてきた。

スリランカ政府は、最近、2009年末までに強制収容キャンプから解放する人びとの人数を大幅に減らした発言を行なっている。

●5月7日、スリランカ政府の公式ポータルサイトであるhttp://www.news.lk/は、「政府は避難民の80%以上を今年末までに再定住させる計画である」と公表した。

●潘基文国連事務総長との5月23日の会談で、スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ大統領は、「180日以内に国内避難民(IDPs)の殆どを再定住させる計画に基づいて、政府は既に活動を開始している」と語った。

●スリランカ政府に26億ドルの資金貸付を認めた国際通貨基金への7月16日の同意書(Letter of Intent)で、政府は「年末までに70%から80%の国内避難民を再定住させる予定だ」と述べた。

●しかしながら、10月6日、サラス・アムヌガマ(Sarath Amunugama)財務副大臣は、ブリュッセルで、世界銀行と国際通貨基金の年次会議に出席し、「スリランカは年末までにキャンプから10万人を再定住させるかもしれない」と語った。

●10月16日、リシャルド・バティウディーン(Rishard Bathiudeen)再定住・災害救助大臣は、「我々の計画は今年末までに10万人の人々を再定住させることだ」と語った。

こうした最近の発言に基づけば、2009年末までにキャンプから解放されるのは、当初の強制収容キャンプ住民の37%にしか達しないこととなる。

また、スリランカ政府が国内避難民をまさに解放するという趣旨の発言をしたにも拘わらず、実は解放はなかったという例も多くあった。

●8月29日、政府のニュース・ポータルは「現在、福祉キャンプに生活する5万人近くの人々を、間もなく故郷のジャフナに再定住させる計画が進行中だ」と公表した。

●9月3日に発表された公式声明で、G・A・チャンドラシリ北部州知事は「バブニヤ地域の35の村に国内避難民3万人を再定住させる全ての準備が整った」と語った。

●9月24日、アヌラ・プリルヤダルシャナ・ヤパ(Anura Priryadarshana Yapa)マスメディア・情報大臣は 「一時的にバブニヤの福祉キャンプに収容されていた人々の再定住プロセスはフル稼働し、現在までのところ、政府は4万人の民間人を故郷に再定住させた」と語った。

●9月25日、国防省は「10月中旬までに推定10万人の民間人を再定住させるための準備が活発になっている」と公表した。

国連によれば、スリランカ政府が10月9日現在に収容キャンプから解放したのは国内避難民の出身地への再定住者13,502名及びその他13,336名(受入れ家族との同居または老人ホームへの入所)に過ぎない。

メディアは、10月14日、スリランカ政府が、インドからの地方議会議員の代表団に対し、来週中にもキャンプから58,000人の国内避難民を解放する予定と約束したと報道。

「スリランカ政府は、内戦で被災し難民化してしまった人々の命と希望をもて遊んでいる」とアダムズは語った。「タミル人コミュニティーの惨状を今解決しなければ、スリランカの未来に大きな影をおとそう。」