(ワシントンD.C.)― ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、28カ国対象の新たなオンライン調査結果を公表し、回答した5人に3人以上が、人間の介入なしに標的を選択して攻撃する兵器システム、通称「キラーロボット」の使用に反対していると発表した。
2020年12月に、市場調査会社のイプソスが実施したこの調査は、ヒューマン・ライツ・ウォッチが共同設立した「キラーロボット反対キャンペーン」の委託によるもの。回答者の62%が、完全自律型兵器とも呼ばれる自律型致死兵器システムの使用に反対、21%はその使用を支持し、17%はわからないと回答した。わからないと回答した人を除くと、うち75%が反対していたことになる。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ武器局アドボカシーディレクターであり、キラーロボット反対キャンペーンのコーディネーターのメアリー・ウェアハムは、「武力行使の自動化に対する人びとの懸念は、政治指導者たちが今すぐ行動を起こすべきだと示している」と述べた。「キラーロボットの禁止に向けた交渉を今すぐ始め、人類を守らなければならない。」
この世論調査では、28カ国を対象に、それぞれ500人から1,000人のサンプルを用いて、計1万9,000人近くを調査した。18カ国におけるサンプルは一般人口を代表するもので、その他の国のサンプルは、インターネット普及率の関係上、回線の整った比較的裕福な人口を代表するものとなっている。最も反対が多かったのはスウェーデン(76%)で、次いでトルコ(73%)、ハンガリー(70%)という順だった。
反対意見は女性(63%)と男性(60%)の両方で多くみられたが、男性(26%)は女性(16%)に比べて、キラーロボットの使用を支持する傾向が強いという結果になった。
キラーロボットへの反対は世代を超えて強く、年齢層が上がるにつれて増加する傾向がみられた。反対と答えた人の割合は、18~35歳では54%、50~64歳では68%となっている。
また、同じ世論調査では、キラーロボットに反対する人たちに、一番の懸念について質問している。3分の2(66%)が、自律型致死兵器システムは 「機械が人を殺すことは許されるべきではない、という道徳的な一線を越えてしまう 」と回答した。半数以上(53%)が、キラーロボットは「アカウンタビリティ(責任追及)がない」と答えており、また技術的な問題が発生するのではないかという懸念からの反対の声(42%)もあった。
世論調査全体の結果は、2018年12月に同じ会社が26カ国で行ったキラーロボットに関する類似した調査の結果とほぼ同様で、当時の結果は61%が反対、22%が支持、17%がわからないという回答だった。
イプソスが調査したすべての国は、自律型致死兵器システムの問題が取り上げられている特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の締約国会議に2014年以降参加している。しかし、2020年11月以降、CCWで2021年の作業計画について合意に至らなかったために、行き詰まっている。
キラーロボット反対キャンペーンは、65カ国172の非政府組織からなる連合で、完全自律型兵器の禁止に向けて活動している。
「完全自律型兵器に対する世論は依然として変わっていない」と前述のウェアハムは述べる。「今こそ強力な予防措置をとるべき時であり、これ以上の外交的不作為は許されない。」
Further Analysis of the Ipsos Surveys on Killer Robots
Overall Opposition to Killer Robots in 2020
The 2020 Ipsos poll was conducted in 28 countries: Argentina, Australia, Belgium, Brazil, Canada, China, Colombia, France, Germany, Great Britain, Hungary, India, Israel, Italy, Japan, Mexico, Netherlands, Norway, Peru, Poland, Russia, South Africa, South Korea, Spain, Sweden, Switzerland, Turkey, and United States.
The 2020 poll used the same question from the previous poll, which states:
The United Nations is reviewing the strategic, legal and moral implications of lethal autonomous weapons systems. These weapons systems would be capable of independently selecting targets and attacking those targets without human intervention. They are thus different than current day “drones” where humans select and attack targets. How do you feel about the use of such lethal autonomous weapons systems in war?
Of those who expressed a view, more than three times as many respondents said they opposed killer robots as those who were not opposed.
A majority of respondents in 26 countries opposed killer robots. The only countries where a majority of respondents did not oppose killer robots were France (47 percent) and India (36 percent).
In 21 countries, 59 percent or more of respondents were opposed: Sweden (76 percent opposed), Turkey (73 percent), Hungary (70 percent), Germany (68 percent), Norway (67 percent), Colombia (66 percent), Belgium (66 percent), Mexico (66 percent), Spain (66 percent), South Africa (66 percent), Peru (65 percent), Poland (65 percent), South Korea (65 percent), Australia (64 percent), Brazil (62 percent), Canada (60 percent), Switzerland (60 percent), Argentina (59 percent), Italy (59 percent), Japan (59 percent), and the Netherlands (59 percent).
Notably, a majority opposed killer robots in five countries most active in the development and testing of weapons systems with decreasing levels of human control: Russia (58 percent), UK (56 percent), US (55 percent), China (53 percent) and Israel (53 percent).