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Satellite Imagery of the Sawa military camp, including the Warsai Yikealo Secondary School, recorded in January 2015. Imagery © DigitalGlobe - Maxar Technologies 2019; Source: Google Earth

(ナイロビ)- エリトリアは、中等教育(訳注:日本では中学校と高校がこれにあたる)を介して生徒を無期限の奉仕活動に送り込み、かつその教師たちを徴用している結果、生徒および教師が強制労働や虐待の犠牲になっている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。

報告書「教育を受けられない、奴隷にされている:無期限徴用が若者の権利、教育を受ける権利を侵害」(全87ページ)は、若者、時に子どもまでが毎年、数千から万の規模で学校教育を終える前から強制的な軍事訓練に駆り出されている実態を調査・検証したもの。またエリトリア政府は、献身的かつ良質なプロの中等教育教師陣を養成する責務を果たさず、実際には教職は徴用により一方的に決定している。教師はいつどこで教えるか、そもそも教師になるか否かも選択権がない。こうした政策は教育に壊滅的な悪影響を及ぼし、多くの若者が国外に流出する結果となっている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ担当上級調査員レティシア・ベイダーは、「エリトリアの中等教育が国民を統制する抑圧的制度の震源地となっている」と指摘する。「エチオピアとの和平が回復した今、若者の権利や自由を皮切りに、次は人権改革を行う必要がある。」

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We spoke with Senior Researcher Laetitia Bader about Eritrea’s conscription program and the huge risks teachers and students take to escape from it.

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エリトリアにおける教育の未来はいつも暗かったわけではない。エチオピアからの独立後、政府は中等教育およびそれに続く高等教育を無償化した。しかし、1998年からエチオピアとの激しい国境紛争が2年間続き、その後長く膠着状態に陥ったことが、中等教育制度に壊滅的な悪影響を及ぼした。政府は「戦争も平和もない」状況を利用し、かなりの割合の成人に無期限の奉仕活動を、軍事、民間双方で強制してきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2014〜18年にエリトリアで高校生だった、あるいは徴用されて教師をしていた73人(現在はスーダン、エチオピア、イタリア、スイスで庇護下にある)から聞き取り調査を行うとともに、ナショナルサービス(国民奉仕活動)の人権侵害的な性質とそれが若者の中等教育を受ける権利に与える悪影響に詳しい専門家18人(エリトリア人及び国際エキスパート)に対し、聞き取り調査を行った。

エリトリア政府は、これまで主に初等教育および職業訓練の分野で一部教育改革を進めてきた一方で、生徒の権利や質の高い教育へのアクセスを侵害する制度の解体は拒否。毎年、中等教育最終学年の全生徒が遠隔地のサワ軍事基地に送られている。

サワ軍事基地を管理・運営する軍関係者は生徒たちに対し、軍事訓練や虐待、軽度な違反行為に対する体罰、そして強制労働を課している。2015年にサワ基地へ送られたある若者は、その時の経験を次のように語った。「サワでは自分の頭ではなく彼らの頭で考えます。私はあそこで未来は見えなかった。すべての希望を失ったんです。」

中には意図的に落第して低学年に止まる生徒もいれば、中退して政府の一斉検挙を恐れながら生きる生徒もいる。学生証を持たない若者は、直接、軍事訓練や国民奉仕送りになる可能性が高いからだ。

生徒たちは卒業すると、そのまま無期限の徴兵か大学に送られる。大学に進学した場合は卒業後、中等教育教職をはじめとする政府関係の仕事に無期限に就くことになる。2015年以降、政府はこうしたナショナルサービスの教師に給与を支払うようになったが、教師たちの証言によると基本的な生活ニーズにも追いつかない額で、家庭を持っている場合はなおさらだという。

© 2019 Human Rights Watch

2018年に国外脱出した25歳の青年は、サワ基地での教師に任命されたことについて、「それは無期限の奉仕でした」と語った。「物理教師として徴用されれば、一生物理教師として働くことになるのです。」

多くの教師が国外に流出しているなか、教師がいない、あるいはいてもやる気がなく、中等教育の質は多くの場合よくない。生徒が何週間も教師なしで過ごさなくてはならないこともある。

ほとんどの生徒や教師にとって、この制度を回避するために可能な数少ない選択肢の1つが、国脱出だ。逃亡の最中に捕らえられると、劣悪な条件での長期的拘禁、場合によっては拷問を含む暴力のリスクにさらされる。毎年何万人ものエリトリア人が国外に庇護を求めて流出しているが、生徒と教師がかなりの割合を占めている。国連難民高等弁務官事務所によると、エリトリアから欧州に到着した人の多くは同伴者のいない未成年者だ。

エリトリア政府は、現在行っている教育改革にこの抑圧的な制度を解体するための具体的な措置を確実に盛り込むべきだ。中等教育の生徒を対象にした軍事訓練をやめ、18歳未満が強制的に徴用されることのないようにし、かつ教職はそれを希望する有資格者とすべきである。

諸外国政府はエリトリア政府に対し、人権改革の促進を求めなくてはならない。ナショナルサービスの期間を制限するための具体的な対策を模索し、中等教育の生徒がどこで12年生(高校3年生)を終えるのかを自ら選べるようにすべきだ。また、強制的な軍事訓練と中等教育を切り離すとともに、教えることを自らの意志で自由に選び、研修を受けた良質な教師を養成すべきだ。

ベイダー上級調査員は、「人権を侵害する無期限のナショナルサービスを廃止し、この人権侵害に責任を負う軍当局を統制し、生徒が自らの将来を決定できるようにすることこそが、エリトリアの前途を明るいものにする鍵となる」と述べる。「エリトリアの未来を信じられるようになれば、祖国を捨てる人は減るだろう。」

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