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(ニューヨーク) - 世界各国は、武力紛争下で学校が軍事利用された結果として引き起こされる危害から、生徒・教師・学校をまもるため行動すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。

報告書「軍事利用から学校をまもる:法律、政策、軍事ドクトリン」(全101ページ)は、学校や大学を守る行動を開始した、アフガニスタンからイエメンまで40カ国の法律および実践法を紹介している。その多くは現在も、または最近まで武力紛争に関与してきた国だ。つまり、当事者である政府や武装勢力が学校の軍事利用による悪影響をよく知り、こうした流れを抑えるための実践的な解決策を見出していることのあらわれといえる。世界各国の国内法や裁判所の裁判例、軍事政策および戦闘教義などのなかに、こうした対応の例の数々をみることができる。各国政府もこれに続き、学校の保護措置を採用・遵守すべきだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ子どもの権利局局長代理ビード・シェパードは、「武力紛争下にある大半の国々で、教室が軍事基地や壕、武器の貯蔵庫に作り変えられ、戦闘地域の一部と化してしまっている」と指摘する。「しかし今、学校を紛争に巻き込まないと誓う国の数は増えつつあり、軍事利用からどう学校をまもるのか、その方法を示している。」

2017年3月28日・29日に、アルゼンチンが首都ブエノスアイレスで学校保護に関する第2回国際会議を共催する予定だ。会議では各国政府代表者が集まり、生徒・教師・学校に対する攻撃や、関連する学校の軍事利用という世界規模課題について議論することになる。 

Students and teachers from around the world call for schools and universities to be protected from military use.  © 2015 Bede Sheppard/Human Rights Watch

ヒューマン・ライツ・ウォッチはまた、2015年に採択された「学校保護宣言」を含む国際法や国際基準に照らし合わせ、学校を軍事利用からまもる様々な方法を再検討した。「学校保護宣言」は、生徒・教師・学校にとってより安全な環境を武力紛争下で確保するために、一定の具体策を講じることを国が政治的に誓約するもの。具体的には学校の軍事利用を控えることへの同意などからなる。

この宣言は2015年、ノルウェーとアルゼンチン政府が主導して起草された。これまで59カ国が調印しており、アルゼンチンでの会議でさらに多くの国の参加が期待されている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチもメンバーの「教育を攻撃から守る世界連合 (GCPEA)」によると、2007年以降、武力紛争下や不安定な状況にある少なくとも29カ国で、政府軍や非国家武装勢力による軍事利用が明らかになっている。過去10年間に武力紛争を経験した国の過半数に該当する。

学校や大学は一部、あるいは丸ごと軍事基地や兵舎に変えられてきた。拘禁・尋問施設として、戦闘訓練場として、または武器・弾薬の貯蔵庫や隠し場所にも使用されている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2009年以来、アフガニスタンコンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、インドイラク、パキスタン、パレスチナ、フィリピンソマリア南スーダンシリアタイウクライナイエメンで、学校が軍事利用された事案を調査している。

軍事目的での学校の使用は生徒・教師を危険にさらし、重要な教育インフラの破損・破壊を招く。そして、生徒の教育を受ける権利を侵害する可能性がある。

シェパード局長代理は、「紛争下でも子ども・生徒の安全を確保する実践的な対応が可能であることを知った国の指導者は、その実施を道徳的義務と感じるべきだ」と指摘する。「すべての国が学校保護宣言を支持する必要がある。その上で、学校の軍事利用が世界規模の問題であり、国際的な関心と対応が必要と認識してほしい。」

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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