(キンシャサ)— コンゴ民主共和国政府は、武力紛争地帯の生徒と学校の保護措置を強化すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。政府は国際・学校保護宣言に調印し、それを執行すべきである。

報告書「学校が戦場になった:子どもの徴兵と軍事利用の場と化したコンゴ民主共和国東部の学校」(全58ページ)は、武装組織が学校を襲撃し、学校や通学中の生徒たちを徴兵する実情を調査・検証したもの。非国家武装勢力および政府軍は学校施設を軍事利用している。多くの子どもや両親が、拉致やレイプを恐れて学校を避けている現状についてヒューマン・ライツ・ウォッチに証言した。

A Congolese rebel fighter walks through an abandoned classroom that had been used as an armory by the Congolese army in Bunagana, a town the rebels overran near the Ugandan border, July 7, 2012. 

© 2012 Reuters / James Akena

ヒューマン・ライツ・ウォッチ子どもの権利局 局長代理で、本報告書の共同執筆者でもあるビード・シェパードは、「子どもの教育へのアクセスは、コンゴ民主共和国の大部分において、ほとんどライト(権利)ではなくファイト(戦闘)と化している」と指摘する。「学校での子どもの安全確保は、コンゴで恒久的な平和を構築する試みの中心に据えられるべき課題だ。」

本報告書は、紛争が続くコンゴ民主共和国東部の南北キヴ州の生徒や教師、そこを拠点に活動する教育省および国連関係者など、120人超への聞き取り調査を基にしている。

ある教師はヒューマン・ライツ・ウォッチに、「戦闘員が教室のドアをノックすれば、開けるよりほかありません」と、ある生徒が拉致された時の様子を詳述する。「女生徒はいるかと聞かれ、拒否はできませんでした。彼が指名した少女を呼ぶと、彼女は一緒に教室を去っていきました。戦闘員は銃を持ってはいなかった。でもその衛兵たちが持っていたんです。」

コンゴ政府は国連安全保障理事会決議2225および2015に応じ、学校の軍事利用を削減する具体的な措置をとるべきで、かつ速やかに国際的な学校保護宣言を採択すべきだ。攻撃から教育を守るコミットメントも含まれた同宣言に調印した政府は、10月の時点で49カ国にのぼる。また、政府軍の方針・実戦・訓練を見直し、最低でも確実に「武力紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドライン」に準拠すべきである。なお同ガイドラインは、武力紛争当事者が生徒の安全と教育への悪影響を回避すべき方法を示した手引きだ。

政府はまた、政府軍の士官および非国家武装勢力の指揮者が子どもを徴兵・拉致しているケースについて捜査し、その責任を問うべきだ。そのほかの国際人権および人道違反、たとえば学校・生徒・教師に対する不法攻撃についても同様にすべきである。

Munitions removed from the latrines at the Institut Bweremana in Minova, South Kivu province, in June 2013. Altogether, nine 107mm rockets, two boxes of AK-47 ammunition, and two recoilless rockets were found. The Congolese army had previously occupied this school and at least 41 others in the area in late 2012.

(c) 2013 Lane Hartill / Human Rights Watch

戦闘員による学校への攻撃およびその軍事利用は、2012年はじめに政府軍が東部の反政府勢力M23に対する軍事作戦を開始した時期から急激に増加した。19カ月にわたる反乱は、政府軍と国連平和維持活動部隊にM23が敗北した2013年11月に終わる。しかしながら、南北キヴ州における敵対状態はそれでは収束せず、ほか多くの武装勢力がこれらの州に現在も展開している。

ある住民は地元にある学校の状況を次のように説明する。「最初にM23が襲撃にやってきたとき、政府軍が学校を占拠していました。政府軍がM23に追い出されると、今度はM23が学校を占拠したのです。学校は戦場になってしまいました。」

交戦状態の紛争当事者が学校を軍事目的で使用する場合、一部の教室または校庭のみを占拠することもあれば、学校全体を軍事基地、兵舎、訓練場あるいは兵器や弾薬の貯蔵庫に作り変えてしまうこともある。学校にとどまる部隊により、生徒や教師は不法な徴兵や強制労働、暴力および性暴力のリスクにさらされる。

学校の軍事利用は、もともと十分ではない教育インフラをさらに劣化・損傷・破壊してしまう。学校を占拠した戦闘員はしばしば木でできた校舎の壁や机、いす、本などを調理や暖房の燃料として燃やす。トタン屋根などの素材は、兵士の個人的利益のために略奪されたり、運び出されたりすることもままある。

軍事展開のために学校を使用することは、学校施設を敵対勢力による攻撃の正当な標的とする可能性につながり、結果として施設の更なる損傷を引き起こしかねない。部隊が引き上げたとしても、もし武器や未使用の弾薬が置き去りにされるような場合には、子どもにとっていずれも危険な環境となる。

平等な教育の機会が不十分なためすでに様々な困難に直面している国で、軍事利用により損傷を受けた学校は、教育の展望と生徒の未来にとって足かせになってしまうのである。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2012年〜14年にかけて、学校が軍事利用されたり、攻撃を受けたケースについて調査・検証した。その当事者は政府軍、M23、国内の様々なフツ族系民兵組織(Nyatura、Mai Mai Sheka、その他Mai Mai 系派生グループ)、ルワンダ解放民主軍(FDLR)だ。

2013年〜14年にかけては、次に挙げる軍や組織が学校をめぐる攻撃・略奪、軍事利用に関係したとして、国連が確認している:民主同盟軍(ADF)、政府軍、ルワンダ解放民主軍、イトゥリ愛国抵抗戦線(FRPI)、M23、Mai Mai LaFontaine、Mai Mai Yakutumba、Nyatura系派生グループ、コンゴの自由と独立のための愛国者同盟 (APCLS)、the Raia Mutomboki、平和のためのコンゴ愛国者連合(UPCP)

2013年の初め、コンゴ民主共和国の防衛相が閣僚命令を軍に対して発し、学校を軍事接収して有罪判決を受けた軍関係者はすべて、重大な刑事的かつ懲戒的な措置に処するとした指令を出した。しかしながらヒューマン・ライツ・ウォッチは、学校の軍事利用を明示的に禁じ又は規制する、あるいはそれを犯罪と定めるいかなる国内法または軍規の存在も確認していない。

前出のシェパード局長代理は、「コンゴ民主共和国全土の親たちが、子どもを就学させるのに必要なお金をかき集めるためにあらゆる努力をしている。教育に大変な価値を置いているからだ」と述べる。「コンゴ東部の将来的発展と安定はまさしく、政府が学校を安全な場所にし、子どもがよい教育を受けられるようになるか否かにかかっている。」