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(ワシントンDC)-フェイスブック(Facebook)のグローバル・ネットワーク・イニシアティブ(以下GNI)への参加は、人権尊重の強化に向け大変重要な一歩である、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。GNIは、テクノロジー関連企業による表現の自由とプライバシーの権利の保護を確立するために、2008年に設立された。

フェイスブックは、1年間のオブザーバー期間を経て、この度GNIに正式加入した。同社は正規メンバーとして、表現の自由とプライバシーの権利尊重のため、一連の人権保護原則の順守を約束。また、同イニシアティブの基準に従っていることを示すため、独立した第三者によるモニタリングも受けることとなる。

「フェイスブックは、10億人以上の利用者の人権を守る重大な責任を負っている。同社は、グローバル・ネットワーク・イニシアティブへの参加を通じ、利用者の人権を支持し、説明責任を果たす決意を示した」とヒューマン・ライツ・ウォッチのビジネスと人権局長兼GNI運営委員であるアービンド・ガネサンは述べた。

グローバル・ネットワーク・イニシアティブ(GNI)は、表現の自由とプライバシーの権利に関する、テクノロジー業界の企業責任についてグローバルな基準を確立するべく、2008年に設立された。フェイスブックはGNIへの参加により、適切な人権保護対策の実行を約束。GNIはメンバー団体に対し、団体の取り組みと進捗状況に関するモニタリングを受け入れることを義務付けており、この点において他の自主的な業界基準とは異なる。もしメンバーがこれらの義務に従わなければ、同イニシアティブから除名される可能性もある。

人権活動家と市民社会団体は、政府やその他組織の説明責任を追求するために、これまで以上にソーシャルメディアを活用するようになってきている。インターネット以外の、伝統的な「オフラインメディア」(新聞、ラジオ、テレビなど)が厳しく規制されている国々では、ソーシャルメディアは中立なニュースの情報源として、また市民による議論の場として重要な役割を担っている。ジャーナリストや活動家にとっては、情報発信のもうひとつの手段として極めて貴重な位置を占めている。一例としてマレーシアでは、2013年5月の選挙前に、独立系ラジオ局やネット新聞社のウェブサイトを狙って連続したサービス妨害攻撃が発生。この攻撃によりウェブサイトがダウンしてしまったのを受け、フェイスブックやその他ソーシャルメディアでの情報発信に切り替えた。フェイスブックの企業方針は、利用者が同サービスを使い、自らの表現と情報の自由に関する権利、そしてプライバシーを守る権利を行使するための力を大きく左右しうる、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

その一方、フェイスブックは、オンライン上での女性への暴力を支持しているようにみられる投稿やサイトに対する明らかに恣意的なアプローチや、その他の情報を検閲する要求に対し、広範な批判に直面している。GNIは、これらの問題を対処できるフォーラムであり、そうすることは、GNIの原則を実現するためにフェイスブックが受け入れた責任である。

また、インターネットは検閲や弾圧のための有効なツールとなり得ることを、各国政府も気付き始めていることは懸念すべきことである。ネット上の掲載情報を検閲し、活動家や人権保護に携わる人びとを監視するために、当局はインターネット企業への協力要請を強めている。ソーシャルメディア企業は、コンタクトリスト、所属グループ、そして時にはEメールやチャットの記録を含む、慎重に扱うべき個人情報を収集保管しているが、政府はこれらの情報にアクセスできるよう、企業への圧力強めつつある。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ブロガーの逮捕や拘禁、ウェブサイトとその掲載内容への制限、そして平和的な政治活動家に対するオンライン上の脅迫と監視が、近年増大していることを確認している。

フェイスブックをはじめとするインターネット関連企業は、人権に敵対的な環境の中で事業を行うことが多い。よって、オンライン上の人権を保護し、政府から検閲や利用者情報へのアクセスの要求があった際の意思決定の指針となる、有効な方針と手続きを備えるべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは考える。ヒューマン・ライツ・ウォッチはGNIの創設メンバーであり、理事の一員を務める。大きくなる企業責任の中で、GNIのような自主的な枠組みは重要な構成要素だが、最終的には、全インターネット関連企業が利用者の人権を尊重することを確保する規制も必要である。

フェイスブックの他には、これまでにグーグル、マイクロソフト、ヤフー、音声録音サービスのEvoca、ソフトウェアメーカーのウェブセンスの5が、GNIに参加している。 本イニシアティブは、人権団体や社会的投資を行なうグループ、研究機関、中立な専門家を含む、多様なステークホルダーで構成される理事会が運営している。

「オンライン、そしてオフラインの人権保護責任を認識する企業が増えている。フェイスブックはその一部だ」と前出のガネソンは指摘する。「インターネット業界全体において、有意義な企業の説明責任が達成されなければ、ネット関連企業は人権の守り手になれないのみならず、抑圧に加担してしまう危険性さえある。」

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